最終話(ちょっと長めです)
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ズバババババ
コツ…コツ
ドスッ
私は…全て救うと約束したから
太宰side
サクサクサク
織田作ッッ
あの言葉に嘘は無い
私と彼は友人だ
助けるべき人だ
何があったとしても
コツ…コツ
ジイドは私に銃を向けた
私は異能を発動し、ジイドへ向ける
チャキッ
バッ
マリオネットが素早く後ろに回り込む
しかし、ジイドはそれを交し私へと銃口を向ける
私はそれを異能で弾き、懐へ潜り込む
ジイドが後ろへと飛ぶが、私の指先がジイドの体に触れた
これで十分
ジイドから奪った異能が私の体へと移る
異能は奪った
後はジイドを私の異能で殺すだけ
ズアァ
ジイドに向かって異能を放つ
パァンッパァンッ
ジイドは持っている銃で迫り来る糸を弾く
ビュンッッ
追撃をする
ズザァ
ジイドは下に避けながらこちらへと迫る
チャキッ
銃を向ける
パァン
引き金を引く
キィン
異能で放たれた弾を弾く
ビュンッッ
四方八方からジイドに鋭い糸が迫る
バッ
空中に避けるジイド
ズァ
それを追う糸
パパパバパパパパバパッッ
カランカランカランカランカランカランカランカランカラン
迫り来る糸を全て銃で弾く
スタッ
着地と同時にリロードし、再びこちらに銃を向ける
タタタタ
ひとつの迫り来る音
自身の後ろから来るその音に思わず反射で振り向く
視界に入った人物に思わず意識を取られる
ドクンッッ
突然、頭の中にある情景が浮かんだ
それはジイドの異能によるもの
そこに浮かんだのは…
太宰さんが撃たれる光景
バッ
あなたは咄嗟に走る
パァン
広い室内に響いたひとつの銃声
放たれたその弾は
あなたの左胸を貫通した
ポタポタ
貫通した穴から血が垂れる
自身の前で驚いた顔をしたままの太宰さんを見る
怪我は無い
太宰さんは無事だ
呼吸を整えジイドの方を向く
ズバババババッッ
ジイドの足元から無数の糸が針のようにジイドの体を貫通した
ドサッ
ジイドは地面へと倒れる
ジイドは銃を持ったまま息絶えた
足に力が入らずその場に倒れる
冷たくなっていく私の体を太宰さんが抱える
ギュッ
僅かに入る力で太宰さんの手を掴む
あぁ…視界が薄れていく
もう少し…もう少しだけ
薄れゆく視界で見えたのは
綺麗に輝く太宰さんの瞳
もう上がらない腕では太宰さんに触れることも出来ない
ごめんなさい…最後まで守れなくて
何も言えず消えることを許してください
織田作さん…安吾さん…
芥川くん…銀ちゃん…
紅葉様…首領…
中也さん…
ニコッ
太宰さんの手を握っていた手にはもう力が入らない
もう視界も見えなくなる
まだ…二人を救えていない
出来ればもう一度
二人の元に
ガチャッ
プルルルル
…太宰?
ピッ
プツッ
ツー…ツー…
それから何度かけても、太宰は電話に出なかった
俺はあなたが用意したという方法で子ども達と店長を連れ、マフィアの本拠地のある横浜から遠くへと離れた
あなたの生死も太宰の行方も分からないままだった
その後
ポートマフィア全体に、下級構成員_織田作之助、五大幹部_太宰治の離反
そして首領専属秘書_若葉あなたの死が伝えられた
太宰治に対して捜索隊が出されたが、何一つ手がかりは出なかった
若葉あなたはミミックを一人で食い止め、マフィアの損害を最大限に抑えたとされ、マフィアの下の者からは崇められるようになった
その采配を全て首領がしたとされたが、実際はあなたの独断による行動なので、この件は公には出されなかった
グッ
拝啓_森鴎外様
勝手な振る舞いをお許しください。
私は、結局マフィアではなく大切な人を選んでしまいました。
けれど、後悔はありません。
私は命より大切な人が幸せなら、それが私の幸せです。
もし、私が死んでいたら、ひとつワガママを聞いて欲しく思います。
これは首領ではなく森先生へのお願いです。
どうか、織田作さんと治くんを見逃して下さい。彼らを自由にして欲しいのです。
どうか、お願いします。
私の大好きなポートマフィアへ…
若葉あなたより
最初で最後の…ね
ある居酒屋で二人の男が話している
一人は和装の男
もう一人は、砂色の外套を着ている
和装の男が扇子を広げヒソヒソと話す
向かいに座る砂色の外套を着た男は前え乗り出す
口角を上げ微笑む
そして彼は言った
これにて黒の時代編は終了になります!
最後の話、長くなってすみません💦
良かったら感想をコメントしてくれると作者的にはかなり嬉しいです!
次はあなたちゃんの死を知った人達の話と敦くん達の物語へ続く序章編です。
いつも読んで下さりありがとうございます!
まだまだ続きますので、今後もどうぞよろしくお願いします!!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。