第107話

黒の時代 5話☪*
4,067
2023/03/31 11:00
最終話(ちょっと長めです)
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ズバババババ
コツ…コツ
ミミック構成員
ハァ…ハァ…
あなた
トドメを刺す前に…言い残すことはある?
ミミック構成員
美しき姫君よ…戦ってくれて…
ありがとう
あなた
ミミック構成員
司令官はこの先だ…彼も救ってやってくれ
あなた
…えぇ、わかってるわ
ドスッ
私は…全て救うと約束したから


















太宰side
サクサクサク
太宰治
太宰治
ハァ…ハァ…
織田作ッッ









太宰治
太宰治
『私が行く理由はひとつです…彼が友達だからですよ』
あの言葉に嘘は無い
私と彼は友人だ
助けるべき人だ
何があったとしても
太宰治
太宰治
(ッッ間に合え!






















コツ…コツ
ジイド
ジイド
おや…作之助ではなく、姫君の方が来たのか
あなた
残念だったわね…子ども達も店長もみんな無事よ
ジイド
ジイド
なるほど…姫君の方が余程強者と見える
あなた
その姫君って呼び方、貴方が広めたのね…おかげで嫌な気分だわ
ジイドは私に銃を向けた
ジイド
ジイド
俺は…軍人として死ぬと仲間に誓った
ジイド
ジイド
姫君…俺と戦ってくれること、嬉しく思う
あなた
私は、全てを知ってる
この後に起こることも…その結末も
あなた
それは私にとって、耐え難いものだから…だから私はここにいる
ジイド
ジイド
そうか…姫君、名を聞いてもいいか…俺の人生、最後の敵の名を聞いておきたい
私は異能を発動し、ジイドへ向ける
あなた
若葉あなた
ジイド
ジイド
若葉あなた…良き名だ
チャキッ
バッ
マリオネットが素早く後ろに回り込む
しかし、ジイドはそれを交し私へと銃口を向ける
私はそれを異能で弾き、懐へ潜り込む
ジイドが後ろへと飛ぶが、私の指先がジイドの体に触れた
これで十分
ジイドから奪った異能が私の体へと移る
ジイド
ジイド
姫君の異能は素晴らしいな…我々祖国にいれば敵無しだっただろう
あなた
私の居場所はポートマフィアだけ…
他の居場所なんてないわ
異能は奪った
後はジイドを私の異能で殺すだけ
ズアァ
ジイドに向かって異能を放つ
パァンッパァンッ
ジイドは持っている銃で迫り来る糸を弾く
ビュンッッ
追撃をする
ズザァ
ジイドは下に避けながらこちらへと迫る
チャキッ
銃を向ける
パァン
引き金を引く
キィン
異能で放たれた弾を弾く
ジイド
ジイド
フッ…至近距離の銃弾すら弾くか!!
ビュンッッ
四方八方からジイドに鋭い糸が迫る
バッ
空中に避けるジイド
ズァ
それを追う糸
パパパバパパパパバパッッ
カランカランカランカランカランカランカランカランカラン
迫り来る糸を全て銃で弾く
スタッ
着地と同時にリロードし、再びこちらに銃を向ける
タタタタ
ひとつの迫り来る音
自身の後ろから来るその音に思わず反射で振り向く
太宰治
太宰治
ハァ…ハァ…織田作ッッ!!
あなた
…!?
視界に入った人物に思わず意識を取られる
ドクンッッ
あなた
!!
突然、頭の中にある情景が浮かんだ
それはジイドの異能・・・・・によるもの
そこに浮かんだのは…
太宰さんが撃たれる光景
あなた
…ッッ!!
バッ
あなたは咄嗟に走る
パァン
広い室内に響いたひとつの銃声
放たれたその弾は
あなたの左胸を貫通した
あなた
…カハッ
ポタポタ
貫通した穴から血が垂れる
自身の前で驚いた顔をしたままの太宰さんを見る
怪我は無い
太宰さんは無事だ
ジイド
ジイド
なぜだ!なぜ庇った!姫君…!
呼吸を整えジイドの方を向く
あなた
…もう、終わりだからよ
ズバババババッッ
ジイド
ジイド
!?!?
ジイドの足元から無数の糸が針のようにジイドの体を貫通した
ドサッ
ジイドは地面へと倒れる
ジイド
ジイド
視覚外からの攻撃…さすがは、姫君…いい攻撃だ…
ジイドは銃を持ったまま息絶えた
あなた
ハァ…ハァ…
足に力が入らずその場に倒れる
太宰治
太宰治
ッッ姉さん!!
冷たくなっていく私の体を太宰さんが抱える
あなた
…治くん…怪我は?
太宰治
太宰治
私の事より姉さんだ!早く手当をッッ
ギュッ
太宰治
太宰治
…ッッ!
僅かに入る力で太宰さんの手を掴む
あなた
治くん…いいの
治くんが無事ならそれで
太宰治
太宰治
そんな事言わないでくれ!
私は良くない!姉さんが死ぬなんてッッ
あなた
…私ね、言っておきたいことが
太宰治
太宰治
ダメだ!姉さんッッ助かるから!
そんな風にッッ
あなた
お願いッッ聞いて
太宰治
太宰治
ッッ!!
あなた
これは…私の最後のお願い
あなた
一つ目は…織田作さん
太宰治
太宰治
…織田作
あなた
子ども達もみんな無事…彼はまだ人を殺してない…だから、彼をポートマフィアから逃がして
太宰治
太宰治
あなた
彼に…小説を書かせてあげて…
太宰治
太宰治
…うん、わかった
あなた
ハァ…ハァ…二つ目は治くん
あなた
貴方には…何にも囚われず、自由に生きてほしい
あなた
出来れば自殺はしないで欲しいけど…貴方が本当に望むなら構わない
あなた
もっと…自分に素直に生きて…
あぁ…視界が薄れていく
もう少し…もう少しだけ
薄れゆく視界で見えたのは
綺麗に輝く太宰さんの瞳
あなた
…治くんの瞳…綺麗
太宰治
太宰治
…ッッ!あなた…ちゃんッッ
もう上がらない腕では太宰さんに触れることも出来ない
ごめんなさい…最後まで守れなくて
何も言えず消えることを許してください
織田作さん…安吾さん…
芥川くん…銀ちゃん…
紅葉様…首領…
中也さん…
あなた
治くん…
太宰治
太宰治
!!…なんだい?
ニコッ
あなた
愛してるよ
太宰さんの手を握っていた手にはもう力が入らない
もう視界も見えなくなる
まだ…二人を救えていない
出来ればもう一度
二人の元に
あなた
(太宰さん…中也さん…















ガチャッ
織田作之助
織田作之助
幸介、克巳、優、真嗣、咲楽!!
幸介
幸介
あっ!織田作兄ちゃん!
克巳
克巳
兄ちゃんだ!
優
兄ちゃんが来た!
真嗣
真嗣
織田作兄ちゃん…
咲楽
咲楽
お帰り!
織田作之助
織田作之助
みんな…無事なんだな…?
咲楽
咲楽
うん!お姉ちゃんが来て、私たちが危ないって…
幸介
幸介
凄かったんだぜ!俺たちそっくりの人形作りだして、全員抱えて建物の上をピョンピョン飛んでさ!
克巳
克巳
俺たちが怖いやつらに狙われてるから、安全な場所に連れていくって姉ちゃんが言って、ここにみんな来たんだ
優
カメラがあって、織田作兄ちゃんが見えたら迎えに来るからって…
真嗣
真嗣
部屋から出ないように言われて、ご飯とかはおじさんが作ってくれたの…
織田作之助
織田作之助
店長もいるんだな?
幸介
幸介
おう!今疲れて寝ちまってるけどな!
咲楽
咲楽
ねぇ…お姉ちゃんはいないの?
織田作之助
織田作之助
…お姉ちゃんはな
プルルルル
織田作之助
織田作之助
…太宰?
ピッ
太宰治
太宰治
>織田作…
織田作之助
織田作之助
太宰…?
太宰治
太宰治
>良かった…やっぱり無事だった
今どこにいるんだい?
織田作之助
織田作之助
…あなたが、子ども達を逃がしてくれていた
織田作之助
織田作之助
俺はあなたに渡されたメモの場所に向かって、子ども達と出会ったところだ
織田作之助
織田作之助
太宰は今どこに…
太宰治
太宰治
>そうか、ちょうど良かった
織田作之助
織田作之助
太宰治
太宰治
>織田作、君はポートマフィアを離反しろ。マフィア家業から足を洗うんだ
織田作之助
織田作之助
…いきなり何をいい出すんだ?
太宰治
太宰治
>あなたちゃんが、織田作がマフィアを抜ける為の手筈を作ってくれている
太宰治
太宰治
>それを使って君は、マフィアとは無縁の場所へ…子ども達も連れて一緒に逃げてくれ
織田作之助
織田作之助
太宰…あなたがそばにいるのか!?
太宰治
太宰治
>……織田作、君の小説を楽しみにしている
プツッ
織田作之助
織田作之助
おい太宰!太宰!
ツー…ツー…
それから何度かけても、太宰は電話に出なかった
俺はあなたが用意したという方法で子ども達と店長を連れ、マフィアの本拠地のある横浜から遠くへと離れた
あなたの生死も太宰の行方も分からないままだった





















その後
ポートマフィア全体に、下級構成員_織田作之助、五大幹部_太宰治の離反
そして首領専属秘書_若葉あなたの死が伝えられた
太宰治に対して捜索隊が出されたが、何一つ手がかりは出なかった
若葉あなたはミミックを一人で食い止め、マフィアの損害を最大限に抑えたとされ、マフィアの下の者からは崇められるようになった
その采配を全て首領がしたとされたが、実際はあなたの独断による行動なので、この件は公には出されなかった
森鴎外
森鴎外
あなたくん…君は、私にひとつもワガママを言ったことがなかったね…
森鴎外
森鴎外
そうだと言うのに…このタイミングでこんな手紙を渡されたら…
グッ
森鴎外
森鴎外
聞き入れざるおえないじゃないか…
エリス
エリス
…リンタロウ
拝啓_森鴎外様
勝手な振る舞いをお許しください。
私は、結局マフィアではなく大切な人を選んでしまいました。
けれど、後悔はありません。
私は命より大切な人が幸せなら、それが私の幸せです。
もし、私が死んでいたら、ひとつワガママを聞いて欲しく思います。
これは首領ではなく森先生へのお願いです。
どうか、織田作さんと治くんを見逃して下さい。彼らを自由にして欲しいのです。
どうか、お願いします。
私の大好きなポートマフィアへ…
若葉あなたより
森鴎外
森鴎外
エリスちゃん…私は首領失格だね
エリス
エリス
そんな事ないわ…これはあなたの最後のワガママなんだもの
最初で最後の…ね























ある居酒屋で二人の男が話している
一人は和装の男
もう一人は、砂色の外套・・・・・を着ている
和装の男が扇子を広げヒソヒソと話す
向かいに座る砂色の外套を着た男は前え乗り出す
口角を上げ微笑む
そして彼は言った
太宰治
太宰治
“人を救う仕事が出来ますか?”






















これにて黒の時代編は終了になります!
最後の話、長くなってすみません💦‬
良かったら感想をコメントしてくれると作者的にはかなり嬉しいです!

次はあなたちゃんの死を知った人達の話と敦くん達の物語へ続く序章編です。

いつも読んで下さりありがとうございます!
まだまだ続きますので、今後もどうぞよろしくお願いします!!

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