それからも、
蓮と亮平は頻繁に連絡を取り合っていた。
塾で会って、
帰りも一緒。
休日も時々遊ぶ。
そんな日々が続いていた。
ある日の夜。
蓮は机に向かって勉強していた。
しかし、
参考書を開いているのに全く集中できない。
理由は簡単だった。
スマホの画面。
そこには亮平とのトーク画面が開かれている。
「勉強進んでる?」
数時間前に送られてきたメッセージ。
蓮は思わず笑った。
気づけば毎日考えている。
何をしているんだろう。
今日は何してたんだろう。
次はいつ会えるんだろう。
そんなことばかり。
そこでふと手が止まった。
胸が少しざわつく。
会いたい。
声が聞きたい。
話したい。
それは友達だから?
違う気がした。
その瞬間、
頭に浮かんだのは亮平の笑顔だった。
優しい声。
楽しそうに笑う顔。
自分の名前を呼ぶ声。
考えただけで心臓が速くなる。
蓮は顔を覆った。
耳まで熱い。
そこでようやく気づいた。
初めて自覚した恋心だった。
一方その頃。
亮平と家でレポートをまとめていた。
しかし、
こちらも全く進まない。
なぜなら。
スマホの待ち受けに、
この前一緒に撮った蓮との写真があるからだ。
ため息をつく。
でも嫌なため息ではない。
むしろ幸せなため息だった。
写真の中の蓮は楽しそうに笑っている。
その顔を見るだけで嬉しくなる。
疲れていても元気になる。
会いたくなる。
亮平はふと呟いた。
そして自分で笑った。
もう認めるしかない。
初めて会った日から、
ずっと気になっていた。
一緒にいるだけで楽しくて。
連絡が来るだけで嬉しくて。
他の誰かといると少しだけ嫉妬してしまう。
それはもう答えだった。
亮平は静かに呟く。
初めて自分の気持ちを認めた瞬間だった。
翌日
塾
2人はいつもの席に座っていた。
2人は笑う。
だけど、
今日は少し違った。
お互いが相手を意識している。
目が合うだけで緊張する。
隣にいるだけで心臓がうるさい。
亮平が聞く。
蓮は慌てて目を逸した。
すると亮平も同じように視線を外す。
その様子が少しおかしくて、
2人とも吹き出した。
でも、
わかっていた。
自分たちが何を感じているのか。
もう気づいている。
認めている。
だけどまだ言えない。
もし伝えて、
今の関係が壊れたら。
そう思うと怖かった。
帰り道
駅へ向かう途中。
横断歩道の人混みで、
蓮が少しだけ人にぶつかりそうになる。
その瞬間。
亮平が咄嗟に蓮の腕を引いた。
ぐいっと引き寄せられる。
気づけば、
2人の距離はほんのわずかだった。
蓮の心臓が跳ねる。
亮平も固まった。
近い。
近すぎる。
お互いの鼓動が消えそうなくらい。
先に離れたのは亮平だった。
蓮も顔が真っ赤だった。
沈黙。
だけど嫌な沈黙じゃない。
むしろ、
もっと一緒にいたいと思ってしまう沈黙。
その時。
2人は同じことを考えていた。
やっぱり好きだ。
友達じゃない。
憧れでもない。
ただの仲いい相手でもない。
蓮は亮平が好き。
亮平は蓮が好き。
2人とも、
完全に恋に落ちていた。
だけどまだ、
相手も同じ気持ちだとは知らない。
だからこの恋は、
もう少しだけすれ違いながら進んでいく。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!