エマがボールを抱えて勢い良くハウスを飛び出す
優しく微笑んでママがエマの襟を直す
そんなエマの様子を見たレイが「ガキ」とわざと聞える声で零した
そんなレイにエマが頬を膨らませて、仕返しと言わんばかりに「レイだってあなたの手掴んじゃってさー!」と言い返す
通りすがりのノーマンが「レイ、あなたの事好きだもんねー?」と声をかけると、レイは顔を赤くして「うるせー!!」と怒ってしまった
レイが私の手首を掴んでる以外はいつもの光景を見てママはクスクスと笑う
エマの髪を耳にかけてあげて、エマがお返しにママの頬にキスをする
ママに返事をしたエマが走って私達の横を通り抜けた
ママが聞こえない距離で、聞こえない大きさでコッソリと手短に言葉を交わす
少し先で待っていたノーマンにエマが追いついて、「お待たせ、行こう!」と声をかける
ちなみに手首を掴む必要性を訪ねたら「うるさい」という1言を頂いた
たまに彼の言動がよくわからない
怪しまれないようバラバラに森へ集合して、調べた結果発信機は耳にあることを2人に共有する
「場所」の次、それは───
エ・ノ・レ 「「「壊し方」」」
取り出して調べても、髪をかき上げるフリをして触られれば即刻バレてしまう
すると、ノーマンが何かに気付く
迂闊に触れない、でも壊さないと逃げれない
普通なら、ここでお手上げ状態だ
けれど私は、レイが発信機を壊す方法を編み出したのを知っている
その期待通りレイは「心当たりがある」と言って名乗り出てくれたため、発信機の件はレイに一任することにした
これまでのループでも、みんなに説明して説得するのはすごく大変だった
レイに親指で刺されながら、痛い所を突かれて何も言えなくなる
そう、どの人生でも死んでしまったのは殆どが私の体力の無さが原因だ
一度は振り切れて隠れても、体力が切れた状態で見つかると動けない
エマが申し訳無さそうにこちらを見てくる
─ママ視点─
自由時間
レイはいつも通り木陰で本を読んでいるが、他の子供たちが見当たらない
彼が特別視しているあなたが珍しく外に出ているのを見たため、てっきり側に居るかと思ったが、どうやら違うようだ
本から一切目を離さず、興味無さげに答えているものの、少しつまらなそうな雰囲気があった
と、少しからかう口調で言ってみる
途端に顔を赤くして「別に、そんなんじゃ……」と否定するレイが面白くて思わず笑ってしまった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。