ut視点
そうだ、ずっと " 死にたかった " 。
朝起きたら呼吸止まって死んでないかな、
この世から僕の存在ごと消えて無くならないかな、
重い病気にかかって苦しまないで即死できないかな、
そんな事思う毎日だった、
はずだ。
苦しい。
首絞めで死ぬのって、きつくない?
やだなぁ。痛いのは怖いし嫌い。
頭にある血管が破裂しそう。
押されてる足が折れそう。
首が圧迫されて呼吸が止まりそう。
最後の最後まで無能やったなぁ。
廊下じゃ邪魔やし、せめて部屋で死ねば良かったか。
一瞬、全てが静まり返る。
トンちが優しい顔をして一般兵のすぐ横に立っている。
目の前の一般兵も驚いていたということは、誰もこの距離までトンちの存在に気付けなかったという事だ。
トンちの身体が ぴくり、と動く。
怒ってる……?
すると、瞬く間にトンちが僕の首を絞めている一般兵の手首をぐっ、と掴んでいた。
僕には瞬間移動したようにしか見えなかった。
それは一般兵達にも同じように見えたらしい。動揺が隠せていない。
僕の首を絞めていた手が緩まり、やがて離れる。
トンちは、無表情のまま一般兵から 手を離すと、別の一般兵に目を向けて、また腕を掴む。
無慈悲。一般兵の腕からメキメキと痛々しい音が鳴ったと思えば、鈍い音が鳴ってほぼ同時に悲鳴が上がる。
そう言えば、四人は怯え、千鳥足で逃げていった。
やっぱ強いなぁ、トンち。
腕折るのはやりすぎやけど。
そう言うと、僕の頭に手を置いて、優しく撫でてくれる。
温かい手…ぽかぽかする……。
思わず声に出た笑み。
懐かしさ、というか…優しさというか。
トンちは目を丸くした後、悲しそうに微笑んだ。
最後にもう一度そう呟いてから、立ち去って行った。
始終、僕の心が潰されそうなくらい、悲しそうな表情だった。
どうしてそんなに謝るん?
なんでそんなに悲しそうなん?
申し訳なさそうな顔してさ、
どこまで優しいんや、
そんなんじゃ生きてけないよ。
全部見えて辛くなるやろ。
……
僕は見れないからさ、
ごめんね、トンち。
やっぱ…死ねば良かったかな、
スクロールお疲れ様です。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。