夕方の風が静かに吹いていた
あなたと神楽は並んで歩いている
その時、数人の男が道を塞ぐ
軽い声、けれど目は笑っていない
神楽が前に出る
一人が手を伸ばした瞬間、神楽が軽く拳を入れる
男はよろける
だがその直後
後ろから衝撃
神楽の体が揺れ、そのまま地面に倒れる
あなたは駆け出そうとするが、腕を掴まれる
振りほどこうとするが押さえ込まれる
神楽は囲まれている
何度も体を揺らされ、地面に押さえつけられる
叫ぶ、胸が苦しい
鼓動が速い、耳鳴りがする
神楽が苦しそうに息を吐くのが見える
その瞬間
あなたの中で何かが切れた
視界が狭くなり、音が遠のく
掴まれていた腕を振り払いゆっくり歩く
男の前に立つ、表情がない
目が、空っぽ
一瞬で状況が変わる
男たちは次々と倒れていく
あなたは止まらない
倒れて動かなくなった相手にも手を伸ばす
呼吸が荒い
何も聞こえていない
神楽の声、届かない
ただ、壊れたように同じ動作を繰り返す
そこへ駆けつける足音
土方と沖田
目の前の光景に固まる
土方が腕を掴む
反射的に振り払う
神楽も止めに入るが押し返される
あなたの目は、誰も認識していない
沖田が近づく
真正面から肩を掴む
低い声
強い声
あなたの手が止まる
沖田は続ける
少しだけ震えた声
その言葉が、ゆっくり届く
あなたの瞳が揺れる
視界が戻り、足元に倒れている人たちに目が入る
息を整える土方、神楽
自分の手は震えている
一歩下がる
呼吸が乱れる
胸を押さえる
空気が入らない
目が見開かれる
涙があふれる
声が震える
焦り、恐怖
自分が何をしたのか理解した瞬間、全身が冷える
頭を押さえる
過呼吸になる
視界がぐらつく
そのまま力が抜ける
崩れ落ちる体を沖田が抱きとめる
土方が言う
神楽が睨む
沖田は黙ったまま、あなたを抱き上げる
腕の中の彼女は静かだ
さっきまでの壊れた目が、頭から離れない
小さく、苦しそうに
答えはない
ただ、夕焼けが静かに二人を包んでいた













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!