第34話

戻れない一歩
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2026/03/16 11:41 更新
夕方の風が静かに吹いていた

あなたと神楽は並んで歩いている
神楽
今日は平和アルな〜
あなた
ほんとだね、こういう日が続けばいいのに
その時、数人の男が道を塞ぐ
ちょっと遊ばない?
軽い声、けれど目は笑っていない

神楽が前に出る
どけ
一人が手を伸ばした瞬間、神楽が軽く拳を入れる

男はよろける

だがその直後

後ろから衝撃

神楽の体が揺れ、そのまま地面に倒れる
あなた
神楽ちゃん!
あなたは駆け出そうとするが、腕を掴まれる
あなた
離して!
振りほどこうとするが押さえ込まれる

神楽は囲まれている

何度も体を揺らされ、地面に押さえつけられる
あなた
やめて!!
叫ぶ、胸が苦しい

鼓動が速い、耳鳴りがする

神楽が苦しそうに息を吐くのが見える

その瞬間

あなたの中で何かが切れた

視界が狭くなり、音が遠のく
掴まれていた腕を振り払いゆっくり歩く

男の前に立つ、表情がない

目が、空っぽ

一瞬で状況が変わる

男たちは次々と倒れていく

あなたは止まらない

倒れて動かなくなった相手にも手を伸ばす
あなた
はぁ……はぁ……
呼吸が荒い

何も聞こえていない
神楽
あなた!もういいアル!
神楽の声、届かない

ただ、壊れたように同じ動作を繰り返す

そこへ駆けつける足音
土方十四郎
何やってる!
土方と沖田

目の前の光景に固まる
土方十四郎
おい、やめろ!!
土方が腕を掴む

反射的に振り払う

神楽も止めに入るが押し返される

あなたの目は、誰も認識していない

沖田が近づく

真正面から肩を掴む
沖田総悟
あなた!
低い声

強い声
沖田総悟
聞こえやすか?
あなたの手が止まる

沖田は続ける
沖田総悟
もう終わってる!
少しだけ震えた声
沖田総悟
だからやめろ、早く戻って来い
その言葉が、ゆっくり届く

あなたの瞳が揺れる
あなた
……え……?
視界が戻り、足元に倒れている人たちに目が入る

息を整える土方、神楽

自分の手は震えている
あなた
……あ……
一歩下がる

呼吸が乱れる
あなた
はぁ……はぁ……はぁ……
胸を押さえる

空気が入らない
あなた
わたし……
目が見開かれる
あなた
また……
涙があふれる
あなた
また人を私が……また……
声が震える

焦り、恐怖

自分が何をしたのか理解した瞬間、全身が冷える
あなた
ちがう……ちがう……
頭を押さえる
あなた
やだ……
過呼吸になる
あなた
はぁ……っ、はぁ……っ
視界がぐらつく
あなた
ごめんなさい……
そのまま力が抜ける

崩れ落ちる体を沖田が抱きとめる
沖田総悟
……あなた
土方が言う
土方十四郎
一旦、屯所に連れてくぞ
神楽が睨む
神楽
変なことしたら許さないアル
土方十四郎
なんもしねぇよ
沖田は黙ったまま、あなたを抱き上げる

腕の中の彼女は静かだ

さっきまでの壊れた目が、頭から離れない
沖田総悟
あんた……
小さく、苦しそうに
沖田総悟
今までなにがあったんでィ……
答えはない

ただ、夕焼けが静かに二人を包んでいた

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