第33話

#24. 曇天の霹靂
41
2025/07/12 23:00 更新
左近 多佳子
左近 多佳子
見つからないねえ、赤羽君
楠木 もも
楠木 もも
うん、そうだね
朝ご飯を食べ終わり、なんとなくキッチンで時間を潰したり
気まぐれに声をかけてくれた左近さんに着いていったりして
から数時間。

腕時計はもう12時に近い時間を指していた。

たまに赤羽さんのことを話しつつも、半ば見つけるのを諦めて
世間話でなんとかこの場をしのいでいる。
左近 多佳子
左近 多佳子
でねー、昨日の夜はちゃんとチャットモニター使ったんだよ
楠木 もも
楠木 もも
私も使った。結構長話しちゃった。左近さんはどうだった?
左近 多佳子
左近 多佳子
他の子がすぐに抜けちゃったから会話自体はすぐに
終わったんだけどさ。その後中々寝られなくて、
ザ・寝不足って感じ
確かにちょっと目に隈がある気がする。

すぐに寝れないのは分かるかも。

あの部屋、リビングとかよりはましだけど湿っぽいし、
ベッドもあんまり寝心地よくないし。
左近 多佳子
左近 多佳子
ももちゃんはちゃんと寝られた?
楠木 もも
楠木 もも
一応まあまあ寝られた。でも、起きた時あんまり体調良くなかった
左近 多佳子
左近 多佳子
あーね。水とか置かれてなかったからめっちゃ喉は乾くよね
楠木 もも
楠木 もも
そうそう
楠木 もも
楠木 もも
それとね、今日の朝に部屋から出ようとしたら耳元で
なんか大きな音がしたような気がして。それからの事は
あんまり覚えてないんだけど
左近 多佳子
左近 多佳子
んー、私はそんなこと無かったけど〜…昨日はちょっと、
出る時グラッときた気がする…
楠木 もも
楠木 もも
分かる。私もそんな感じだった
左近 多佳子
左近 多佳子
それと部屋出てリビングに出たあと目がチカチカしたんだよね
楠木 もも
楠木 もも
それは部屋の外が眩しかったからじゃない?
左近 多佳子
左近 多佳子
そうなのかな…
左近さんは私の言葉に納得していない様子だ。

でも、私は移動した後にそんなことは起こらなかった。


よく分からないけど、多分たまたまなんじゃない?

そう言おうとした、その時だった。



少し遠くから聞こえてきた悲鳴が、耳をつんざく。

一瞬頭が真っ白になった。

でもすぐに我に返って、左近さんと顔を見合わせる。
左近 多佳子
左近 多佳子
だ…誰か分かった?
楠木 もも
楠木 もも
分かんない…
左近 多佳子
左近 多佳子
とにかく、行ってみよ。多分1階だと思うから
楠木 もも
楠木 もも
…うん
ことみちゃんだったらちょっとしたことでも叫ぶかもしれないけど、
あれは絶対ことみちゃんの声じゃなかった。

嫌な予感が頭をよぎる。

行きたくない。見たくない。もう、これ以上_


リビングには、ぼんやりと立っている砂川さんがいた。

けれど、私達を見た瞬間顔を上げ、近付いてくる。
砂川 菜々
砂川 菜々
多佳子ちゃん!ももちゃん!
楠木 もも
楠木 もも
…見つかったの?赤羽さん
砂川 菜々
砂川 菜々
違うの、桜隆じゃないの!
砂川 菜々
砂川 菜々
とにかく着いてきて!
そう言うと突然砂川さんは私の手を引いて走り出した。

左近さんは表情が強張りつつも私達を追いかける。


少しして、大きな扉の前で立ち止まった。

綾ちゃん達、愛菜ちゃんとか十河さん_

大抵の人は近くにいるのが見えた。
大原 真那
大原 真那
菜々、休憩するって言ってなかったっけ?大丈夫?
砂川 菜々
砂川 菜々
大丈夫ってわけじゃない。でもありがと真那ちゃん

砂川 菜々
砂川 菜々
ほら、あっちの窓の方
指が差された方向には、人が倒れていた。

その真下にはスプレーを撒いたかのように血が広がっていたり、
割れたガラスが散らばっていたりして、まるで1枚のイラストみたいだ。

でも、もう分かっていた。
瀬名ちゃんと突然話せなくなった時、泉さんが紺さんに
ナイフで首元を刺された時、分かってしまった。

これが現実であることに。
左近 多佳子
左近 多佳子
ももちゃん!
私は死体の方に駆けた。

遠くから見た時には気が付かなかったけれど、どうやら
2人死んでいるようだった。

1人は、平賀さん。もう1人は、結人だった。

首筋や両腕、両脚には深々と刃物が突き立てられた跡がある。
血は衣服を濡らし、そこから地面へと広がっている。
そっと触れると、体はもう人肌の温もりをほとんど失っていた。
榎本 綾
榎本 綾
ももちゃん!何やってるの!?
松原 浩史
松原 浩史
さ、触るのはやばいだろ…
楠木 もも
楠木 もも
…こんなにめちゃめちゃになるなんて、誰がやったんだろう


仮面の少女
仮面の少女
私だよ

突然現れた紺さんは私の隣にしゃがみ、傷口の上に指を滑らせる。

まだ乾ききっていない血が指にべっとりと付いたけれど
気にしていないみたいだ。

平賀さんの左腕から右腕、右脚、左脚。
それから結人の方に指を持っていき、同じようになぞっていく。

どうやら刺した順番を示しているらしい。
楠木 もも
楠木 もも
何で…
近藤 優花
近藤 優花
何で、灯花がやったの?普通、ゲームマスターは
ゲームに関わらないはずでしょ
仮面の少女
仮面の少女
ああ、先に説明しておくべきだったね
紺さんは、指を止めてこちらを見た。
仮面の少女
仮面の少女
平賀茂と氷室結人は、ルールを破った。
詳しく言うと、窓からの逃走を図ったってことで殺しました。
楠木 もも
楠木 もも
…え?
河野 朱音
河野 朱音
平賀、結人…え、逃げようとしたの…?
熊田 団十郎
熊田 団十郎
どうやって…

仮面の少女
仮面の少女
…そこの鍋でやったらしいよ。ほら

リビングのテーブルのそばに、鍋が2つ転がっていた。

今日の朝に使っていた鍋も2つだから、それを使ったらしい。

中に入っていたらしいカレーは一部の具が潰れ、テーブルの周りが
かなり汚れてしまっていた。
仮面の少女
仮面の少女
昼御飯の分、ちゃんと作ったのにこんなことされるとはね。
じゃ、今回の昼御飯は無しでいいよね
紺さんはそう言って、呆れたように首を振った。

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