あらすじ
第八の園の住人レイリンは、エテルと接触して現実世界に飛ばされてしまった。幸せを知る為、シオやエテルに再会する為に旅を続けている。
現実世界でファルドラと出会い、共に暮らしながら防衛軍の仕事を続けることを決意した。そんなある日、パトとメリアと出会いパトの元に来ることをメリアから提案される。
しかし、レイリンの心はファルドラの元に傾いていた。レイリンは、ネル達の力を借りてミール達を納得させることに成功。しかし、彼女には最後の壁が待ち受けていた、、、。
レイリン視点
私の目の前に、私よりやや背の高い少女が居る。髪は長く、水色。目の色は私と同じ黄色だけど、機械族の証の紋様がない。
もう1人の私はふっと笑って頷いた。
私の身体の成長は、ずっと14歳のまま。機械族は体が成長しないのだ。私は生まれてから今年で16年。見た目が年齢に追いついたのか。そうか。機械族は髪が伸びないけれど、人間なら髪も伸びるのか。
そして、一呼吸置いてから暗い表情で言い放つ。
人間のレイリンは試し、問いかけるように私に話す。確かに、人間は老いる。暴力も振るう。だけど、話したら分かり合えるし、私の好きな人も人間だ。
肉体は老けなくても、心は老ける。条件が変わるだけで、神だったとしても、死ぬ。
パトと一緒に居るのが幸せか、ファル君と一緒に居るのが幸せか。それは感じ方によって変わる。ミールはパトを選んで、私はファル君を選んだ。それだけの話。
人間のレイリンの後ろに一筋の光が差す。ファル君の声が聞こえる。
人間の私が手を振って別れを告げる。多分、二度と会うことは無いだろう。だから、、、。
すると、人間の私は微笑んだ。この鈴が転がるような笑い方、私に似てるなぁ。
私達は、手を繋いで一緒に現実世界へ行った。
現実世界ーファルドラ視点ー
あの後、レイリンの体が現実世界にやってきた。さっきとは違い、髪が長くなっていて頭には青い薔薇の髪飾りがついている。
髪が長くなったということは、身体が成長している証拠。つまり、レイリンは既に機械族ではない。
しかし、目を覚ます気配はない。ここ数時間、ずっと寝ている。微かな胸の上下する鼓動から、息はあることが分かるから死んではいない。

レイリンの瞼が微かに動く。
思わず身を乗り出してしまった。それに反応したのか、レイリンが目を覚ます。身体には猫耳も、しっぽも、草冠も羽も、なにも無い。帝園の契約もない、完全な人間だ。
まだ寝ぼけているのだろう。周りをキョロキョロ見渡している。
おかしい。反応が無い。まさか、、、。
そんな、、、そんな、、、。
ここまで来て、こんなの、あんまりだろ、、、。
だって、やっと、、、。
何で、こんなことに、、、。
ポロッ
レイリンが、泣いている。
もしかしたら、心の奥底に元のレイリンが眠っているのかもしれない。僕は、レイリンの肩を掴んで呼びかけた。
あの時、僕が惚れたような笑顔を見せてよ。何事もなかったかのように無邪気に笑ってよ。
フラッ
まずい、ちょっと強く揺さぶりすぎたかも。レイリンがこっちに倒れ込んでくる。病み上がりだからまだ本調子じゃないのかも、、、。レイリンを抱き止めた。その時、、、。
チュッ
頬に、柔らかい感触がした。
元気で明るい、いつものレイリンの声がした。
レイリンは、誰よりも嘘つきな幸せ者だ。いや、僕が世界一の幸せ者にしてみせる。
からくり少女の旅日記・完結















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。