リブヒョンがこの家に来て1日が経った。
1日だけでもヒョンのことでわかったことが
たくさんあったから、
メモ用ノートはどんどん消費されていっていた。
お腹は空かないこと、よく眠ること、暑さに弱いこと
僕より勉強は苦手で、僕よりも少し身長が高いこと。
正直1日だけで、こんな見知らぬ人と
しかももう死んでしまった人とこんなに話せてるのは
自分でもどうしてか分からない。
仕方ないなと思いながら、狭い机に向かい合って
ヒョンは英語を、
僕は数学の問題を黙々と解き続けていた。
するとふと、階段を上がってくる音が耳に入る。
急いでヒョンに貸していたシャーペンをしまって
課題の冊子を閉じようと身を乗り出したとき、
手が滑りバランスを崩してしまって
どさっっ、とそのままリブヒョンの上に
倒れ込んでしまった。
そう謝って体を起こそうとした瞬間、
ガチャっと部屋の扉が開いた。
… どうしよう、ヒョン、どう説明すればいいんだ?
… そうだった、
リブヒョンの姿は僕以外には見えないってこと
すっかり忘れてた。
オンマが部屋から出て行ったのを見てから、
体を起こして机に置いていたスマホを開く。
昨日のカトクを確認してみると、やっぱりそうだ。
今日はウジンと勉強するって約束してたんだ。
僕が押し倒してしまったリブヒョンも起き上がって、
乱れた服の襟を直しながらそう尋ねる。
心なしかその耳が赤く染まっていた気がした。
あの時耳でも打ってしまったかな、
なら申し訳ないんだけど。
二人で階段を降りて、玄関までは一緒に行って
ウジンを家に入れるのと入れ替わるように
リブヒョンは外へ出て行った。
今日は外に出てなかったから
外がこんな暑いなんて知らなかった。
そういえば、リブヒョンは暑いのが苦手だったっけ。
この炎天下の中でも大丈夫かな、
これからヒョンはどこで時間を潰すのかな。
気付けばリブヒョンのことで頭がいっぱいだ。
扉を閉める直前、
太陽が眩しくて手庇するリブヒョンと目が合う。
僕は確かに何か言いたかったはずなんだけど、
思い浮かんだ言葉は全部頭の中で消えてしまって
代わりにこちらに軽く手を振るヒョンを見ながら、
強い日差しのせいで目を細めただけだった。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。