その夜
正直言うと、楽だ
......あんなクソな学校生活よりも
こっちの方が、少し...いや断然マシだった
学校生活もあのメンバーだったら.....と
そう思ってしまう
学校では陰でのいじめがあった
そのいじめだけならば、まだ立ち直れたかもしれない
しかし...
友人は過去の出来事でほとんど心から信用することが出来なくなり
親も自分に非があるとの一点張り
最初こそ話は聞いていたが、悪化する毎に効かなくなった
学校の先生?
......状況が変わるのは稀だ
ほとんどない
最初の時はカウンセラーによくお世話になった
自分に「一時的」な安心を与えてくれた
だが、あくまで「一時的」
辛さから解放されることは...なかった
そんな事があったため、人を素直に信じれずにいた
自分を本当に理解してくれる相手が欲しかった
この世で一番大切なものが欲しかった...
しかし
そんな都合のいいような相手は見つからない
見つかるわけが無い
......人を、完全に信用出来ないうちは...
そう思い...
机から、ハサミを取り出す
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!