部屋に戻ると、衣装から部屋着に着替えた後、すぐさまメキをベッドに座らせた。
僕はメキを下から覗き込むような形で床にしゃがみ込んだ。
先程よりは幾分か落ち着いたが、まだ涙は頬を伝っていた。
「メキ、今日は疲れたでしょ。ゆっくり休んで…?」
右頬を伝った涙の跡を、指先でそっと拭う。
そのまま頬を包み込むように手を添えると、メキが小さく動き、僕の手に自分の手を重ねてきた。
伏せられていた視線がゆっくりと上がり、潤んだ瞳とぶつかる。
赤くなった頬、汗に濡れた額。
ドキッと心臓が跳ねる。
その瞬間、時が止まったように感じた。
自分の鼓動がうるさいほどに聞こえる。メキに、届いていないだろうか。
「……うん。今日はもう寝るね。ごめんね、チンウィ。おやすみ」
そう言って僕の手を離したメキは、布団に潜り込んだ。
突然の出来事に呆然と座り込んだまま、僕はそっと明かりを落とす。
ほどなくして、彼の寝息が静かに部屋を満たした。
暗闇の中、洗面所から漏れる明かりに浮かんだメキの横顔を見つめる。
赤く腫れた目元に手を伸ばし、そっと撫でながら思った。
――僕は、メキのこと、ユメキのことが、好き、なのかもしれない。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。