中三、15歳の春。
私は今日から、喫茶店ポトスのバイトである。
言われるがまま、キッチンのシンクに移動する。
まさか初バイトでこんな美人さんと働けるとは。
まだ開店はしていないけど、下準備は必須だ。
昨日洗いきれていなかったらしい少量の皿を洗って、
拭いて、棚に戻した。
またまた言われるがまま、ことはさんの近くへ行く。
少しの間、じーっと頭を見つめられた。
何をされたのか気になって質問してみると、
「ぷはっ」とことはさんは吹き出した。
......確かに。
確かにエプロンがあった方が
衛生的にも、統一感的にもいいだろう。
走り方さえも優雅に、ことはさんはどこかへ行く。
その間、私は窓から外の様子を見てみる。
まだ朝だからだろうか。外に人は十数人しかいない。
平和そうな朝だ。
......太陽が綺麗だ。
この窓を開ければ、花粉が店の中に蔓延ることは確実。
しかし、少し外の空気を吸いたい衝動に駆られる。
扉に手をかけ、一時停止した。
そこで自分の花粉症が重いことに気付き、手を戻した。
ぱたぱたと走ってくる音が聞こえる。
恐らく、ことはさんが帰ってきたのだろう。
予想通り、すぐにことはさんがエプロンを持って来た。
エプロンを手渡されたので、着てみる。
琴葉さんの目は正しく、そのエプロンは、
私にシンデレラフィットした。
緑色の裾が、私の動きに合わせてふわっと揺れる。
そう言って、ことはさんは店を開けようとする。
そして、ぴたりと止まってこちらを振り向いた。
いや、こんな美人さんどう見ても大学生......少なくとも高三にはなってると思うんだけど......。
......しかも私の誕生日、4月16日だから、たったの
11日違いなのに......。
もうダメだ。
ことはさんと私では根本から何かが違うんだ。
「うん」と、ことはさん......あなたの(自分▶︎橘ことはへの呼び方)はひとつ頷き、
店を開けた。


![果雰魈[カフンショウ]さんのアイコン画像](https://novel-img-gcs.prepics-cdn.com/prcmnovel-tokyo-prod-converted-images/p/P1XnHclMGgRfecCSldsTZafgbUj2/user-icon/01KMMRNCF5MXZC1YDSX50EXPWH_resized_192x192.jpg)











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。