第5話

1 ⟡.· バイト
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2026/03/23 07:01 更新
中三、15歳の春。
私は今日から、喫茶店ポトスのバイトである。
橘 ことは
橘 ことは
じゃあ、最初の内は簡単なやつ......
橘 ことは
橘 ことは
皿洗いとかやってくれる?
(なまえ)
あなた
分かりました
言われるがまま、キッチンのシンクに移動する。
まさか初バイトでこんな美人さんと働けるとは。
橘 ことは
橘 ことは
今は春休みの半ばだからね
橘 ことは
橘 ことは
忙しいだろうけど、よろしく
(なまえ)
あなた
が、頑張ります
まだ開店はしていないけど、下準備は必須だ。
昨日洗いきれていなかったらしい少量の皿を洗って、
拭いて、棚に戻した。
橘 ことは
橘 ことは
あ、終わった?
(なまえ)
あなた
はい
橘 ことは
橘 ことは
そしたらちょっとこっち来て
またまた言われるがまま、ことはさんの近くへ行く。
少しの間、じーっと頭を見つめられた。
(なまえ)
あなた
......?
橘 ことは
橘 ことは
うん、おっけい
(なまえ)
あなた
えっと、埃でも付いてましたか?
何をされたのか気になって質問してみると、
「ぷはっ」とことはさんは吹き出した。
橘 ことは
橘 ことは
人の頭についてる埃まじまじと見ないわよ
......確かに。
橘 ことは
橘 ことは
身長見てたの
橘 ことは
橘 ことは
あなたの(名前)のエプロンのサイズ決めたくて
(なまえ)
あなた
......エプ、ロン
確かにエプロンがあった方が
衛生的にも、統一感的にもいいだろう。
橘 ことは
橘 ことは
ちょっと待ってて
橘 ことは
橘 ことは
エプロン持ってくるから
(なまえ)
あなた
お願い、します
走り方さえも優雅に、ことはさんはどこかへ行く。
その間、私は窓から外の様子を見てみる。
まだ朝だからだろうか。外に人は十数人しかいない。
(なまえ)
あなた
......
平和そうな朝だ。

......太陽が綺麗だ。

この窓を開ければ、花粉が店の中に蔓延はびこることは確実。
しかし、少し外の空気を吸いたい衝動に駆られる。
扉に手をかけ、一時停止した。
(なまえ)
あなた
......やめとこ
そこで自分の花粉症が重いことに気付き、手を戻した。

ぱたぱたと走ってくる音が聞こえる。
恐らく、ことはさんが帰ってきたのだろう。
予想通り、すぐにことはさんがエプロンを持って来た。
橘 ことは
橘 ことは
これでサイズ合うと思うんだけど......
エプロンを手渡されたので、着てみる。
琴葉さんの目は正しく、そのエプロンは、
私にシンデレラフィットした。
(なまえ)
あなた
......おぉ
緑色の裾が、私の動きに合わせてふわっと揺れる。
橘 ことは
橘 ことは
うん、ぴったり
橘 ことは
橘 ことは
じゃあそろそろ開くよ
そう言って、ことはさんは店を開けようとする。
そして、ぴたりと止まってこちらを振り向いた。
橘 ことは
橘 ことは
あと、私のことは「さん」付け
しなくていいよ
橘 ことは
橘 ことは
歳もそんなに変わらないだろうしさ
(なまえ)
あなた
......え?
いや、こんな美人さんどう見ても大学生......少なくとも高三にはなってると思うんだけど......。
(なまえ)
あなた
えっと、失礼かもしれないんですけど......
(なまえ)
あなた
おいくつ、ですか?
橘 ことは
橘 ことは
今、15だよ
橘 ことは
橘 ことは
誕生日は4月5日
(なまえ)
あなた
......は、え?
(なまえ)
あなた
お、同い、年......?
......しかも私の誕生日、4月16日だから、たったの
11日違いなのに......。
(なまえ)
あなた
わ、私にはもう、ことはさんをどうお呼び
すればいいかなんて、分かりません......
もうダメだ。
ことはさんと私では根本から何かが違うんだ。
橘 ことは
橘 ことは
じゃあ、あなたの(自分▶︎橘ことはへの呼び方)ってよんでよ
橘 ことは
橘 ことは
1回呼ばれてみたかったんだよね
(なまえ)
あなた
是非呼ばせてください
「うん」と、ことはさん......あなたの(自分▶︎橘ことはへの呼び方)はひとつ頷き、
店を開けた。

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