岩泉さんが眉を心配そうに下げ、私の顔を覗きこむ。
近いです!岩泉さん!
声が良い!顔も良い!近い!最高!
今にも鼻先が触れそうなくらいの距離で視線が交わり、私は心臓がバックバク。
こうやって近くで見ると、まつ毛が長くて鼻筋も整っていて、本当に岩泉さんは綺麗な顔をしている。
え?好き。
合法的に岩泉さんの顔を堪能していると、金田一と国見が私を指さして言った。
その声に岩泉さんは2人を振り返り、私から顔は離れる。
くそう、何をしてくれたんだ!金田一と国見!
キッと睨むと金田一はあわあわとして困惑して可愛かったので、少し怒りは鎮まる。
うん、キミは状況説明をしただけだね。許そう。
しかし問題は国見である。
国見!貴様!
何が「それ、悪口ですよ?(笑)」だ。
薄らと笑みを浮かべている国見は確信犯。
ていうか金田一も金田一だ。
何笑ってるんだよ。
お腹を抱えて笑い転げる2人をじとっとした目で見る。何て失礼なやつらなんだ。まったく。
真剣に2人のことを殴りたくなってきたとき、隣の及川さんと岩泉さんから驚きの会話が聞こえた。
え?国見が無気力キャラだって?
びっくりしてそう伝えると、国見が慌てて私の口を塞いで「そんなことないですよセンパイ」と無気力そうに答える。え、猫被ってんの、国見。
疑いの目で見つめると、「俺はもともと無気力キャラなの」と苦虫を踏み潰したような顔をして答えた。
何でも、彼は本来無気力属性だが、私といるとツッコまずにはいられなくなるらしい。
なるほど魔性の女ってことか(ちがう
そこから金田一と国見と私でわいわい話していると、及川さんが真面目な顔で話しかけてきた。
そうキラキラ王子様フェイスで語りかける及川さん。
前世の記憶獲得前なら、絶対うっとりしていたであろうセリフ。
、、、いやちょっとだけどきっとした。
だって顔がいいんだもん。
両隣からにやにやと私に語りかけてくる2人は無視して考え込む。
確かに、以前の私なら迷いもなく連絡先を交換していただろう。こんなチャンス、めったにないし。
『今』、本当に交換したいのか、と聞かれたら、答えはNOだ。
前世の記憶を取り戻した私にとっては、及川徹はただの推しであり、以前のような溺愛対象ではない。
_______ならば、答えは一つだろう。
私は、及川さんに向き直り、
岩泉さんに頭を下げた。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。