第37話

途切れた意識
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2018/09/09 05:59
完全な酸欠だ…  ぼんやりとした頭で考える

でも口を開けばきっと舌が入り込んでくる

そんなの 死んでも嫌だ。

『苦しくないの?』

そういい少し顔の距離が離れればアイツの手は私の脚へとむかい、ツゥーと撫でられる。


『強情だね?まぁいいけど』
「ッ!!」
『ココにもつけちゃう?』

1人でよく喋るやつ。

「触らないで」と抗議の声をあげようとするけど あげることなくまた口は塞がられる。


(また…)


抵抗するにも、無駄。そんな、力はもうないし


このまま意識を手放せば楽になれるかもしれない。



私の悪癖の"諦め"が顔をだす。



目覚めて…どうなっているのかなんて考えたくはないけど


早く大志に会いたい。

せめて夢の中だけでも…



瞼を閉じようとした時

誰かが勢いよく走る音扉の向こうから聞こえてくる

ああ、分かる。分かるよ… 「大志」


聞こえるか分からないほど小さな声で彼の名を呟く。

その足音は図書室の扉の前でとまる


『ああ、来ちゃった』


そんな間抜けな声が頭上から聞こえたけど
私の意識は扉へと集中する


ガチャガチャ と音をたて扉がガタガタ揺れる

(鍵…)


開けにいこうにも手は瀬戸に拘束されてて無理。

なら私にできるのは




「・・・──ッ大志!!」





彼の名を呼ぶだけ。
最後と思い 大きい声で叫ぶ。
それに少しびっくりしたのかポカンとした顔の瀬戸がみえる。


大志を思い浮かべるだけで少し心に余裕ができる。


ーその瞬間ドンッと重く大きな音をたてながら扉が倒れた


見えたのは無表情な狂おしいほど愛おしい私の彼氏。


そこで視界は途切れたけど聴覚はまだ働いているらしく


『う"っ!』

誰かの呻き声が聞こえて




───・・・私の意識は完全に途切れた




最後の瞬間(ざまぁみろ)と心の中で嘲笑ってやった。

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