〜撮影現場(学校)〜
舞台はスンイン高校と称された、貸切の学校セット。今日はここで高校時代の回想シーンをまとめて撮る予定だ。

制服衣装に着替えてヘアメイクをしてもらっていると、ジェウォンさん…改めジェウォンとの出来事をついつい思い返してしまう。
〜出来事回想(前回を抜粋)〜

〜回想終わり〜
あの時、本当にドキドキしたし幸せだったなあ…ってダメだ!表情に出ちゃう…!!
ヘアメイクが終わると他の生徒役の人たちに挟まれながら物理教室のセットへと移動した。
〜物理教室のセット〜

物理教室に入り、指定された席に座る。ジェウォンはまだ来ていないようだ。
すると…
スタッフの声とともに、前の扉から白衣姿のジェウォンが入ってきた。
物理という汚れる要素が一切ない科目であるにもかかわらず、白衣着ているというのも、ミンジュン(ジェウォン)のトレードマークであり、変人要素の一つだ。

うわっ…!!かっこよすぎる…!!
ナムギュの時からは想像できないくらい、白衣似合いすぎてる…!!
モブの生徒役の人たちが一斉に挨拶する。私もその中に紛れるようにそっと一礼した。
頭を上げると、ジェウォンと一瞬目が合う。
お互いに慌てて目を逸らした。ジェウォンは誤魔化すように後ろを向いている。
そろそろ始まる…表情抜かれるし、しっかりやらないと……
急いで目を閉じ、深呼吸してジウを体に入れる。
監督の合図とともに、教卓にいるパク先生(ノ・ジェウォン)が黒板を消し、自己紹介を始める。
チョークを手に取り、「박민준(パク・ミンジュン)」と大きく黒板に書く。
開始早々、冗談をサラッと言うパク先生。生徒たちは一気に和んだようにクスクス笑い出した。
笑顔でヒソヒソ話すモブの生徒たち。そして、次のカットで授業に入る。

授業になると一気に声のボリュームが上がる。生徒たちは一瞬ビクつく演技をして、そこからノートを取り始めた。

私もジウの真面目さを演出するべく、一生懸命ノートを取る演技をする。
パク先生は自信に満ち溢れた様子で生徒たちを見渡す。生徒たちは静かに「おお〜…」と感心した様子を見せた。
監督のカットと共に空気が戻る。ジェウォンはすぐに監督と話し始めた。
私から見ても十分良いと思った演技だったが、ジェウォンの演技にさらに指示をかける監督。
私も席を立ち、すかさず監督とジェウォンの方へと向かう。
申し訳なさそうに両手を合わせるジェウォン。私もジェウォンも完全に仕事のトーンで、しっかりと何事もなかったふりをした。
監督は励ますようにジェウォンの肩を強めに叩いた。私も「頑張れ」という思いを込めて、目を合わせて頷く。ジェウォンも答えるように唇をかみしめて頷き返してくれた。
〜職員室セット〜

物理教室での授業シーンの撮影が終わり、次は職員室でのシーンへと移る。台本読み合わせの時にも取り上げられたあのシーンだ。
ジェウォンはエキストラの職員役たちに紛れて、職員室の机に向かう。私は1人、教科書を抱えて職員室前の廊下で待機していた。

監督が近くに来て、機嫌良さそうに話しかける。
すると、監督は全体に向かって撮影スタートの合図の声を上げる。
私は教科書を抱え、少し緊張した様子で職員室に足を踏み入れると…
と小さめの声で言った。地味で目立たない存在のジウに気づく人は誰もいない。そして、パク先生(ノ・ジェウォン)の机へとそっと足を運ぶ。

すると、パク先生が咄嗟にジウの方を見た。
話しかける前に振り向かれ、少し肩をびくつかせるジウ。
驚いて目を見開いたまま止まる。ジウ(あなたの下の名前)はここで「こんな地味な私に気づいてくれて、すぐに名前も覚えてくれて…こんな人初めてだ…」と思うのであった。
近くの丸椅子をずらし、ジウに勧める。
ジウはそっと椅子に座り、教科書を開いた。パク先生の教え方は圧倒的に分かりやすく、物理を大の苦手とする私でもちゃんと聞けばすぐに理解できた。
静かに感動した様子を滲ませる。そして、台本読み合わせでお馴染みのあのセリフへと移る。
「すごい…担任でもないのにそんな所までちゃんと把握してるの…」と驚きの表情を浮かべるジウ。そして、ぽつりとこう言った。

戸惑いながら、早口気味に喋るジウ。
嫌味を言っている様子や、からかっている様子は1ミリもなく、心の底から「なんで?凹む必要全くないじゃん」と思っているような表情やトーンで淡々と喋るパク先生。
台本ではここまでとなっており、後は礼をして立ち去るだけだ。しかし、私はカットがまだかかっていないのを良いことに、こんなアドリブを入れていた。

下を向いて静かに笑う。パク先生を演じているジェウォンは一瞬「こんなの台本にあったか…?」という表情になるも、すぐに切り替えてじっとジウの方を見る。
そう言って椅子から立ち、一礼して出口の方へと向かった。
監督は戸惑った様子でカットをかけると、すぐに私に話しかける。
監督とバチっと目が合った反動で役から抜ける感覚がし、素に戻る。
うわあん、口調が怖いよう…でも私にはこの仕事への誇りがある…
ちゃんと思ったことを話そう、監督もガテン系とはいえ理不尽に怒るタイプではないからわかってくれるはず…
ジェウォンはこちらの空気を察知して、心配そうな顔で駆け寄る。
すると…
驚いて意図せず同時に声を上げる。監督はフッと笑って嬉しそうな口調に切り替える。
うわあ…もうヒヤヒヤした〜…
これからはアドリブとかせずに、セリフを変える時はちゃんと事前に相談しよう…褒められた嬉しさよりさっきまでのヒヤヒヤのが勝っちゃってる…
うわ…この監督さん、口が悪いだけで理解力はめちゃくちゃある方だな…本当は優しい人なのかも…
ジェウォンも安心した顔を浮かべる。
笑顔で私とジェウォンの肩をそれぞれ叩いて立ち去る監督。別のスタッフさんが私たちに弁当を配りながら小声でこう言った。
やっぱりそうだったんだ〜…絶対怒らせないように一層気を引き締めないと…
ジェウォンも同じこと思ってた…笑
スタッフさんはそう言うと、笑顔で立ち去った。私とジェウォンは廊下に出ると、自然に横並びで階段を登る。
私たちはわくわくしてさらに階段を登っていく。すると、屋上まで続くであろう6段くらいの階段が目に入った。

扉の外に出ると、学園ドラマでよく見る屋上の光景が広がった。
そう言って、すかさず出入り口の扉を閉めに行くジェウォン。
ジェウォンは彼氏モードに切り替えたようにフッと笑って、近くの長椅子に座る。私は戸惑いながらジェウォンの隣に座った。
嬉しそうに微笑みながら袋からお弁当を取り出す。
2人きりの時間が欲しかったのか〜!ええ、嬉しくてニヤけそう…笑
お弁当を開けて食べ始めると、監督の話になった。

不安げに自分の制服の袖やスカートを改めて見ていると、ジェウォンが…
照れ気味に目を逸らしながら褒めるジェウォン。
ジェウォンって付き合ったら真っ直ぐ言葉で伝えてくれる人なんだ〜…!!やばい照れる…
嬉しくなって思わずニヤけたような笑みが溢れる。
あの時とは、イカゲームのラストイベントの時に私がジェウォンに振られた日のことだ。
心配そうにこちらを見る。私は慌てて否定した。
ジウの高校時代のシーンはこの日にまとめて全部撮る予定で、外の明るさの都合上、時系列バラバラの順番で撮るスケジュールになっている。(明るいうちに卒業式のシーンを撮っておかないと不自然になるとか…)
13:00(校舎前) 卒業式後にジウが告白するシーン
14:00(物理教室他)模試を配るシーン、授業シーンなどの日常的なシーン
16:00 (各々の場所)ジウ、ミンジュンの個人撮影
18:00(物理教室)ジウとミンジュンの2人きりでのシーン
20:00 解散
といった流れで動く予定だ。
スマホの時刻を見て少し焦る様子のジェウォン。
話が盛り上がりすぎてうっかり時間気にするの忘れてた〜…!!
私たちは慌ててゴミをまとめて、屋上を後にした。
〜校舎前〜
なんとか集合時間には間に合ったが、すでにスタッフさんが全員揃って待機していた。
衣装さんが駆け寄り、卒業式の胸章を取り出す。

ジェウォンも白衣を脱ぎ、スーツのジャケットに着替えて2人とも卒業式仕様になった。
スタンバイが整い、撮影へと移る。私は卒業証書を抱えてジェウォンと向かい合う。

すると、監督がカチンコ片手に、私たちに話しかけに来た。
私は4年前のジェウォンへの告白のことを思い出しつつも、一気に演技モードへと切り替えた。
ジェウォン演じるパク先生のセリフから始まる。
穏やかで優しい口調だ。
口を結んで首を横に振るジウ。
パク先生は驚いたように微笑む。
息を吸い、真っ直ぐ見る。
パク先生の表情が、はっきり嬉しそうになる。
数秒間何も言わずに微笑み合う時間が流れたのちに、ジウが覚悟を決めた顔に切り替わる。
一歩前に出て、わずかに目を潤ませる。
震えた声で話し、パク先生と目を合わせた。一拍置いて次のセリフを話す。
「ダメと言われることは分かってる、それでも伝えたいんだ」と言うように、口角を上げて作り笑いする。ミンジュンは少し申し訳なさそうな表情を浮かべて返答する。
台本とは違うセリフだ。というか…
〜過去を回想(前話の最終回)〜

〜回想終わり〜
4年前に私を振った時に言ったセリフだこれ……!
すぐに監督が駆け寄る。
私は監督の顔色をそっと伺う。鋭い目の監督を見て、緊張感が走った。すると…
拍子抜けした様子のジェウォン。
おお〜!!さすがジェウォン…!!
怖いで有名の監督の心をしっかり掴んでる…!!
嬉しくなって下の方で小さく拍手した。現場も一気に和んだ様子だ。監督はニヤッとして冗談っぽくこう話す。
ええ…!!監督鋭すぎない…?!なんで分かるの?!!
ジェウォンは一瞬動揺するも、笑いながらかわす。
現場は一気に笑いに包まれた。
改めて映像確認すると、確かにジェウォンがこのセリフを言ったことでより臨場感がある場面になったと思うし、私もリアルに役に入り込めたと思う。

その後も順調に撮影は進んでいき、「ジウの模試の点数が伸びるシーン」や「受験前の授業のシーン」、その他何気ない日常シーンを撮っていった。
そして、本日最後のシーン「ジウとパク先生の放課後の個別授業」場面の撮影へと移る。
〜物理教室〜

長時間ぶっ通しで仕事していたとは思えない元気さの監督。
このシーンは初めての授業から数ヶ月が経ち、ジウが着々と実力をつけてきている設定だ。
私は、真面目さを保ちつつも少し柔らかい表情を浮かべ、パク先生のこの言葉でさらに好きになるジウの様子を再現した。
監督からの一発OKを受け、ジェウォンと嬉しそうに顔を見合わせる。
危ない危ない…嬉しさのあまりタメ口が出かけた…「だね」って言いかけちゃった…
そこに監督が両手を叩きながら歩み寄る。
スタッフたちも深く頷きながら拍手している。
嬉しそうに答えるジェウォン。すると、監督がニヤッとして詰め寄る。
えっ?!よく気づいたな?!私でさえ全然気づかずスルーしちゃってたのに…?!色々鋭そうな監督だな…油断も隙もない…
ジェウォンは慌てて言い訳する。
にこにこして頷く2人。監督は満足そうに笑い、セットを出ようとする。
背を向けて、後ろ向きに手を振って去っていった。
〜廊下〜
私たちもスタッフさんたちに挨拶を済ませ、廊下へと出た。並んで歩き、更衣室がある棟へと向かう。

お互い声をひそめて話す。
すると、ジェウォンの携帯からLINEの着信音が鳴る。
白衣のポケットから携帯を取り出して通知を確認すると、「おっ」という表情をした。
ダウィさんたち、久しぶりに会いたかったんだよな〜!!楽しみが増えた…!!
2人はにこやかに手を振って別れ、それぞれ自分の更衣室の方向へと歩いた。
3連休最終日にも更新できて良かった〜…!!今回は、学校でこの年齢差の2人では普通できない青春シーン(屋上でお弁当食べるとか、並んで廊下を歩くとか)をドラマ撮影の休憩時間という形で叶えさせたのがこだわりポイントです🙂↕️
それから、ドラマ「この恋を式にできれば」自体を、ジェウォンさんとあなたの下の名前のこれまでの関係性とリンクするような設定にしています💭これからがドラマ本番なのでお楽しみにしてください!
ちなみに「この恋を式にできれば」は、私の実際の恋愛に基づいたフィクションでして…そのエピソードを近々この活動報告↓に書こうと思ってますので、興味がある方はぜひご覧ください🙂↕️
次回は、第二話の撮影でジウ(あなたの下の名前)が大学3年生の教育実習生として、パク先生(ノ・ジェウォン)と再会するシーンの撮影です🎬
ダウィたちとの集まりも控えていて、モチベ上がりまくり?!
明日から仕事が始まるので更新遅れそうな予感です…🙇🏻♀️ご容赦ください🙇🏻♀️












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。