第7話

ep.5 ジェウォンと初のドラマ現場 付き合いたての幸せオーラを隠しきることはできるのか…?!
57
2026/02/23 08:57 更新
〜撮影現場(学校)〜
舞台はスンイン高校と称された、貸切の学校セット。今日はここで高校時代の回想シーンをまとめて撮る予定だ。
制服衣装に着替えてヘアメイクをしてもらっていると、ジェウォンさん…改めジェウォンとの出来事をついつい思い返してしまう。
〜出来事回想(前回を抜粋)〜
〜回想終わり〜
あの時、本当にドキドキしたし幸せだったなあ…ってダメだ!表情に出ちゃう…!!
あなた
(ここではバレないように取り繕わないと…)
ヘアメイクが終わると他の生徒役の人たちに挟まれながら物理教室のセットへと移動した。
〜物理教室のセット〜
物理教室に入り、指定された席に座る。ジェウォンはまだ来ていないようだ。

すると…
スタッフ
ノ・ジェウォンさん入りまーす!!
スタッフの声とともに、前の扉から白衣姿のジェウォンが入ってきた。

物理という汚れる要素が一切ない科目であるにもかかわらず、白衣着ているというのも、ミンジュン(ジェウォン)のトレードマークであり、変人要素の一つだ。
ノ・ジェウォン
よろしくお願いします
うわっ…!!かっこよすぎる…!!
ナムギュの時からは想像できないくらい、白衣似合いすぎてる…!!
mob
よろしくお願いします
モブの生徒役の人たちが一斉に挨拶する。私もその中に紛れるようにそっと一礼した。

頭を上げると、ジェウォンと一瞬目が合う。
あなた
…!
お互いに慌てて目を逸らした。ジェウォンは誤魔化すように後ろを向いている。
監督
それじゃあ、ミンジュンの最初の授業シーン撮りまーす!!
スタッフ
カメラ準備OK!
スタッフ
音声もOKです!
そろそろ始まる…表情抜かれるし、しっかりやらないと……

急いで目を閉じ、深呼吸してジウを体に入れる。
監督
いきまーす!3・2・1!
監督の合図とともに、教卓にいるパク先生(ノ・ジェウォン)が黒板を消し、自己紹介を始める。
ノ・ジェウォン
みんな初めまして、今年から3年生の担当になりましたパクと言います
チョークを手に取り、「박민준(パク・ミンジュン)」と大きく黒板に書く。
ノ・ジェウォン
あんまりフルネームは言いたくないんだけど、みんなにだけ特別サービスだよ?
ほら、ミンジュンって言ったら、2PM(有名アイドル)のキム・ミンジュンを連想されて名前負けしちゃうから
開始早々、冗談をサラッと言うパク先生。生徒たちは一気に和んだようにクスクス笑い出した。
あなた
……(静かに目を逸らして笑う)
mob
面白そうな先生だよね笑
mob
どんな授業するんだろうね、楽しみ
笑顔でヒソヒソ話すモブの生徒たち。そして、次のカットで授業に入る。
ノ・ジェウォン
受験生のみんな、不思議なことにバネの上下運動求めるの苦手だよね!だって上に移動したり下に移動したりするから!!
授業になると一気に声のボリュームが上がる。生徒たちは一瞬ビクつく演技をして、そこからノートを取り始めた。
私もジウの真面目さを演出するべく、一生懸命ノートを取る演技をする。
ノ・ジェウォン
って言ってるのも、みんなの直近の定期テストの結果を見させてもらったからな
でも大丈夫、俺の授業を受ければみんな難関大学に行けるレベルには持っていける
パク先生は自信に満ち溢れた様子で生徒たちを見渡す。生徒たちは静かに「おお〜…」と感心した様子を見せた。
監督
カット!!
監督のカットと共に空気が戻る。ジェウォンはすぐに監督と話し始めた。
監督
まあ今のでも悪くないんだけど〜……
ミンジュンは良い先生でもあり変人でもあるから、声だけじゃなくて表情にも抑揚付けてみろ
私から見ても十分良いと思った演技だったが、ジェウォンの演技にさらに指示をかける監督。
ノ・ジェウォン
わざとらしいくらいデカい表情するとかですか?
監督
そうそう、それでいけ
私も席を立ち、すかさず監督とジェウォンの方へと向かう。
あなた
ジウももうちょっと目立たせた方が良かったですかね?主演なのに他の生徒に溶け込みすぎてた気が…
監督
いや、ジウはこれで良い
沢山カメラで抜くから、目立ってるかは気にする必要ない
素晴らしかった
あなた
わかりました、ありがとうございます…
ノ・ジェウォン
完全に俺が戦犯だな〜…
すみません、もう1テイクお願いします
申し訳なさそうに両手を合わせるジェウォン。私もジェウォンも完全に仕事のトーンで、しっかりと何事もなかったふりをした。
監督
あいよ
本当にジェウォンがあとちょっと表情加えられたら完璧、実力は十分感じられる
俺が褒めることあんまりないからな?期待してるってことだ
ノ・ジェウォン
はい、頑張ります
監督は励ますようにジェウォンの肩を強めに叩いた。私も「頑張れ」という思いを込めて、目を合わせて頷く。ジェウォンも答えるように唇をかみしめて頷き返してくれた。
〜職員室セット〜
物理教室での授業シーンの撮影が終わり、次は職員室でのシーンへと移る。台本読み合わせの時にも取り上げられたあのシーンだ。

ジェウォンはエキストラの職員役たちに紛れて、職員室の机に向かう。私は1人、教科書を抱えて職員室前の廊下で待機していた。
監督
台本の読み合わせの時にしたあのシーンだな、頑張れよ
監督が近くに来て、機嫌良さそうに話しかける。
あなた
はい、頑張ります…!
すると、監督は全体に向かって撮影スタートの合図の声を上げる。
監督
今から職員室シーンの撮影を開始する!準備OKか?
スタッフ
カメラ準備OKです!
スタッフ
音声もOKです!
監督
それでは、ジウが職員室に入るところから始めます!3・2・1!
私は教科書を抱え、少し緊張した様子で職員室に足を踏み入れると…
あなた
失礼します…
と小さめの声で言った。地味で目立たない存在のジウに気づく人は誰もいない。そして、パク先生(ノ・ジェウォン)の机へとそっと足を運ぶ。
すると、パク先生が咄嗟にジウの方を見た。
ノ・ジェウォン
あなたは…
話しかける前に振り向かれ、少し肩をびくつかせるジウ。
ノ・ジェウォン
ユン・ジウさんじゃないか
あなた
えっ…?私の名前をご存知で……
驚いて目を見開いたまま止まる。ジウ(あなたの下の名前)はここで「こんな地味な私に気づいてくれて、すぐに名前も覚えてくれて…こんな人初めてだ…」と思うのであった。
あなた
あの、先ほど授業で言ってた部分でお聞きしたいことがあって参りました…
ノ・ジェウォン
ん?どれ?
あ、良かったらそこの丸椅子に座って
近くの丸椅子をずらし、ジウに勧める。
あなた
ありがとうございます、失礼します…
ジウはそっと椅子に座り、教科書を開いた。パク先生の教え方は圧倒的に分かりやすく、物理を大の苦手とする私でもちゃんと聞けばすぐに理解できた。
あなた
すごい…分かりやすいです…
静かに感動した様子を滲ませる。そして、台本読み合わせでお馴染みのあのセリフへと移る。
ノ・ジェウォン
ジウさんはどうしてそんなに自信なさそうなんだ?
この前の模試だって、第一希望のソウル大学A判定だったのに
「すごい…担任でもないのにそんな所までちゃんと把握してるの…」と驚きの表情を浮かべるジウ。そして、ぽつりとこう言った。
あなた
前回の模試は…国語と数学と英語の3教科だけだったからA判定だったのであって…物理が入ってしまうと一気に判定が崩れます…
ノ・ジェウォン
そうなの?っていっても、そこまで悪い点数じゃないでしょ
謙遜してない?
あなた
この前の物理の模試…100点満点中……16点でした…
あり得ないですよね、本当…
ノ・ジェウォン
えっ、良いじゃん
あなた
えっ…?
あなた
あの、100点満点ですよ?
たとえ50点満点でも到底良い点数では…
戸惑いながら、早口気味に喋るジウ。
ノ・ジェウォン
だってあと84点も上げられるってことでしょ?
伸び代しかない
嫌味を言っている様子や、からかっている様子は1ミリもなく、心の底から「なんで?凹む必要全くないじゃん」と思っているような表情やトーンで淡々と喋るパク先生。
あなた
ああ…
台本ではここまでとなっており、後は礼をして立ち去るだけだ。しかし、私はカットがまだかかっていないのを良いことに、こんなアドリブを入れていた。
あなた
ははっ…笑
下を向いて静かに笑う。パク先生を演じているジェウォンは一瞬「こんなの台本にあったか…?」という表情になるも、すぐに切り替えてじっとジウの方を見る。
あなた
そんな考えがあるんですね…笑
久しぶりに笑わされました、色々とありがとうございます笑
では、失礼します
そう言って椅子から立ち、一礼して出口の方へと向かった。
監督
……?!カット!!
監督は戸惑った様子でカットをかけると、すぐに私に話しかける。
監督
あなたの下の名前、今のアドリブの意図を聞かせて欲しい
監督とバチっと目が合った反動で役から抜ける感覚がし、素に戻る。
あなた
あっ、すみません勝手なことを…!
監督
謝らなくて良いから、意図を話して
うわあん、口調が怖いよう…でも私にはこの仕事への誇りがある…
ちゃんと思ったことを話そう、監督もガテン系とはいえ理不尽に怒るタイプではないからわかってくれるはず…
あなた
このシーンは、ジウがパク先生のことを気になるきっかけのシーンです
ただパク先生が「だってあと84点も上げられるんでしょ?」と言って終わるだけでは、名セリフが際立つだけで、ジウの心の動きが視聴者に伝わりづらいと思いました
それで…
監督
それで、敢えて笑って見せて「こんなに笑ったの久しぶり…」的なことを言ったわけか…
あなた
はい…
ジェウォンはこちらの空気を察知して、心配そうな顔で駆け寄る。
ノ・ジェウォン
どうされましたか?
すると…
監督
……素晴らしい…!
あなた
えっ?
ノ・ジェウォン
えっ?
驚いて意図せず同時に声を上げる。監督はフッと笑って嬉しそうな口調に切り替える。
監督
そういう自分で考えて動ける役者を求めてたんだよ
さすがアカデミー賞取っただけある
うわあ…もうヒヤヒヤした〜…
これからはアドリブとかせずに、セリフを変える時はちゃんと事前に相談しよう…褒められた嬉しさよりさっきまでのヒヤヒヤのが勝っちゃってる…
あなた
良かったです…でも、これからはちゃんと事前に相談してからにします…
監督
気にするな、その時の流れだったりもあっただろうし
後ででもちゃんと意図を説明できる分には問題ない
むしろ俺の前で意見言ってくれる人が中々いないから嬉しかったんだよ
うわ…この監督さん、口が悪いだけで理解力はめちゃくちゃある方だな…本当は優しい人なのかも…

ジェウォンも安心した顔を浮かべる。
スタッフ
映像チェックして問題なかったので、今から昼休憩といたします!
監督
おっ、もうそんな時間か…ゆっくり休んでこいよ
笑顔で私とジェウォンの肩をそれぞれ叩いて立ち去る監督。別のスタッフさんが私たちに弁当を配りながら小声でこう言った。
スタッフ
あんな穏やかな監督、初めて見ました…
私たち裏方界隈では怖いで有名な監督なので…あっ、これ言ったの内緒でお願いしますよ
やっぱりそうだったんだ〜…絶対怒らせないように一層気を引き締めないと…
ノ・ジェウォン
ええ…そうなんですね…
怒らせないように気をつけないとな…笑
ジェウォンも同じこと思ってた…笑
あなた
ですね…笑
もちろん内緒にします…!
スタッフ
お2人とも、あの監督から褒められてて本当すごいなって思いました
監督、能力はすごく高くて、役者を見る目があるから…それに基準も厳しいし…この後も頑張ってくださいね
スタッフさんはそう言うと、笑顔で立ち去った。私とジェウォンは廊下に出ると、自然に横並びで階段を登る。
ノ・ジェウォン
屋上で弁当食べるのとか、高校生の時の憧れだったんだけど…
あなた
分かります…!現実は屋上に上がれないように施錠されてますもんね…笑
ノ・ジェウォン
だよね〜笑
この学校はどうなんだろう、まだ全然時間あるし行ってみる?
あなた
え!行ってみたいです…!
私たちはわくわくしてさらに階段を登っていく。すると、屋上まで続くであろう6段くらいの階段が目に入った。
あなた
わ…!これじゃないですか?
ノ・ジェウォン
おっ、マジだ!行こう
扉の外に出ると、学園ドラマでよく見る屋上の光景が広がった。
ノ・ジェウォン
え〜…!青春じゃん!笑
あなた
ですね〜…!すごい…!
ノ・ジェウォン
扉閉めとこ
そう言って、すかさず出入り口の扉を閉めに行くジェウォン。
あなた
えっ、なんでですか?
ノ・ジェウォン
今日まだ一回もあなたの下の名前のタメ語聞けてないから
あなた
えっ…?
ジェウォンは彼氏モードに切り替えたようにフッと笑って、近くの長椅子に座る。私は戸惑いながらジェウォンの隣に座った。
ノ・ジェウォン
こうやって扉を閉めれば誰も見れないし、何も取り繕わずに話せるでしょ
嬉しそうに微笑みながら袋からお弁当を取り出す。
あなた
そういうことか笑
2人きりの時間が欲しかったのか〜!ええ、嬉しくてニヤけそう…笑

お弁当を開けて食べ始めると、監督の話になった。
ノ・ジェウォン
てか、さっき大丈夫だった?
カットの直後、監督と不穏な空気流れてたけど…でも最後褒められてたし、笑顔だったから大丈夫なのかな…
あなた
ああ、あれは私がいきなりアドリブ入れたから…
監督はただ「あのアドリブの意図を教えてくれ」って言ってただけ笑
まあ確かに言い方はちょっと怖かったけど笑
ノ・ジェウォン
さっきのスタッフも「あの監督は怖いで有名」って言ってたもんね…もし監督に嫌なことされたら俺に言ってよ?いつでも助けるから
あなた
大丈夫だよ
監督、口調は怖いけど役者の意見にちゃんと聞く耳持つ人だし
ノ・ジェウォン
さすがだなあ…歳下とは思えないくらい肝が座ってるっていうか…
あなた
いやいや…笑
ノ・ジェウォン
最初に制服姿見た時、正直ビビった笑
「あっ…そういえばこの子、15歳下だった」って…笑
あなた
でも私、本当はもう20歳だから…!笑
私がこれ着るとコスプレだよね…変じゃないかなあ…
不安げに自分の制服の袖やスカートを改めて見ていると、ジェウォンが…
ノ・ジェウォン
変じゃないよ、可愛いよ
あなた
ええ?
ノ・ジェウォン
彼女なんだから1番可愛いに決まってるでしょ、今日もずっとみんな同じ服着てる中で一際輝いてた
照れ気味に目を逸らしながら褒めるジェウォン。

ジェウォンって付き合ったら真っ直ぐ言葉で伝えてくれる人なんだ〜…!!やばい照れる…

嬉しくなって思わずニヤけたような笑みが溢れる。
あなた
ははっ…ありがとう…笑
ノ・ジェウォン
本当のこと言ってるだけだから笑
この後は、卒業式の日に一旦飛んで告白シーンか…
あなた
ジウ、振られるんですよね
あの時の私みたいに…笑
あの時とは、イカゲームのラストイベントの時に私がジェウォンに振られた日のことだ。
ノ・ジェウォン
え?もしかして、俺があの日振ったこと怒ってる…?
心配そうにこちらを見る。私は慌てて否定した。
あなた
いやいや怒ってない…!!ただ、ジウとパク先生の関係って私たちに似てるなって思って…
ノ・ジェウォン
えっ…ああ、確かに…笑
ミンジュン(パク先生)も、ジウが未成年だからって理由で告白を断るけど、実際はジウのことが好きだったあたりとか、まんま俺だわ笑
あなた
ははっ…笑
大人になって再会して、そこでちゃんと両思いを確信するあたりもまんま私たちだね笑
ノ・ジェウォン
うん、設定ハマりすぎててそこは本当助かる笑
あなた
役に入りやすいよね笑
ノ・ジェウォン
ただ今日のは、時系列バラバラの順番で撮るから役の切り替えは大変そう
この後は外で卒業式後のシーン、そこからまた校舎に戻って授業シーンと模試配るシーン撮って、暗くなったら放課後の2人きりでのシーンって流れだったよね…
あなた
うんうん
ジウの高校時代のシーンはこの日にまとめて全部撮る予定で、外の明るさの都合上、時系列バラバラの順番で撮るスケジュールになっている。(明るいうちに卒業式のシーンを撮っておかないと不自然になるとか…)

13:00(校舎前) 卒業式後にジウが告白するシーン
14:00(物理教室他)模試を配るシーン、授業シーンなどの日常的なシーン
16:00 (各々の場所)ジウ、ミンジュンの個人撮影
18:00(物理教室)ジウとミンジュンの2人きりでのシーン
20:00 解散

といった流れで動く予定だ。
あなた
すごい効率重視してるなあってスケジュールだよね…笑
監督らしいっちゃ監督らしいというか笑
ノ・ジェウォン
マジそれ笑
……おっ、もうこんな時間
スマホの時刻を見て少し焦る様子のジェウォン。
あなた
えっ、何時?
ノ・ジェウォン
あと5分しかない、ちょっと急ぎ目で行こう
あなた
えっ?!やばっ…!!
話が盛り上がりすぎてうっかり時間気にするの忘れてた〜…!!

私たちは慌ててゴミをまとめて、屋上を後にした。
〜校舎前〜
なんとか集合時間には間に合ったが、すでにスタッフさんが全員揃って待機していた。
あなた
すみません…!遅くなって…
スタッフ
間に合ってるし全然大丈夫だよ〜
衣装さんが駆け寄り、卒業式の胸章を取り出す。
ジェウォンも白衣を脱ぎ、スーツのジャケットに着替えて2人とも卒業式仕様になった。

スタンバイが整い、撮影へと移る。私は卒業証書を抱えてジェウォンと向かい合う。
ノ・ジェウォン
俺らならいける、頑張ろ
あなた
はい…!
すると、監督がカチンコ片手に、私たちに話しかけに来た。
監督
告白シーンいけそうか?台本のセリフと変えたいところはない?
あなた
大丈夫です
監督
よし、OK
それでは、今から告白シーンの撮影を始めます!
スタッフ
カメラOKです!
スタッフ
音声スタンバイOKです!
監督
それではいきまーす!!3・2・1!
私は4年前のジェウォンへの告白のことを思い出しつつも、一気に演技モードへと切り替えた。

ジェウォン演じるパク先生のセリフから始まる。
ノ・ジェウォン
卒業おめでとう、そしてソウル大学合格もおめでとう
穏やかで優しい口調だ。
あなた
ありがとうございます
先生がいたから、無事に合格することができました
ノ・ジェウォン
そんなことはない
ジウさんが一生懸命頑張って来たからだよ
口を結んで首を横に振るジウ。
あなた
いえ…私、いつも先生に助けられてましたから
初め「この科目さえなければ…!」って憎かった物理が、今では心から楽しめる科目になりましたし…
パク先生は驚いたように微笑む。
あなた
私も先生がしてくれたように、誰かを救える存在になりたいって思いました
息を吸い、真っ直ぐ見る。
あなた
だから、先生みたいな物理の先生になれるように、大学でも頑張ります
パク先生の表情が、はっきり嬉しそうになる。
ノ・ジェウォン
それは…教師冥利に尽きるね
数秒間何も言わずに微笑み合う時間が流れたのちに、ジウが覚悟を決めた顔に切り替わる。
あなた
それと…今日で最後だから、伝えたいことがあります
一歩前に出て、わずかに目を潤ませる。
あなた
私、先生の喜ぶ顔が見たくてこの1年間頑張って来ました…それって、先生のことが好きってことなのかなって思います
震えた声で話し、パク先生と目を合わせた。一拍置いて次のセリフを話す。
あなた
気持ちに応えてくださいなんて言いません…立場があるから…
でも、私にこんな素敵な気持ちをくれてありがとうございますとだけ伝えさせてください
「ダメと言われることは分かってる、それでも伝えたいんだ」と言うように、口角を上げて作り笑いする。ミンジュンは少し申し訳なさそうな表情を浮かべて返答する。
ノ・ジェウォン
…ありがとう
ジウさんはこれからもっと色んな人に出会うし、もっと素敵な恋も、未来もある
俺に縛られちゃいけない、だからごめんね
台本とは違うセリフだ。というか…
〜過去を回想(前話の最終回)〜
ノ・ジェウォン
あなたの下の名前ちゃんはこれからもっと色んな人に出会うし、もっと素敵な恋も、役も、未来もある
俺に縛られちゃいけない、だからごめんね
〜回想終わり〜
4年前に私を振った時に言ったセリフだこれ……!
監督
カット!!
すぐに監督が駆け寄る。
監督
ジェウォン、今のセリフ台本と違うよな?咄嗟に思いついたのか?
ノ・ジェウォン
はい…
私は監督の顔色をそっと伺う。鋭い目の監督を見て、緊張感が走った。すると…
監督
良いね
ノ・ジェウォン
おっ…
拍子抜けした様子のジェウォン。
監督
台本では「俺は教師だから、気持ちには応えられない」ってなってるけど、確かにジェウォンのアドリブの方が「本当はジウのこと好きなんだけど…断るしかなくて…」みたいな気持ちが伝わってくるな
これでいこう!
おお〜!!さすがジェウォン…!!
怖いで有名の監督の心をしっかり掴んでる…!!
あなた
わっ…!
嬉しくなって下の方で小さく拍手した。現場も一気に和んだ様子だ。監督はニヤッとして冗談っぽくこう話す。
監督
さては、経験から出た言葉か?笑
ええ…!!監督鋭すぎない…?!なんで分かるの?!!

ジェウォンは一瞬動揺するも、笑いながらかわす。
ノ・ジェウォン
まさか…!笑
役としてですよ〜笑
現場は一気に笑いに包まれた。

改めて映像確認すると、確かにジェウォンがこのセリフを言ったことでより臨場感がある場面になったと思うし、私もリアルに役に入り込めたと思う。
その後も順調に撮影は進んでいき、「ジウの模試の点数が伸びるシーン」や「受験前の授業のシーン」、その他何気ない日常シーンを撮っていった。

そして、本日最後のシーン「ジウとパク先生の放課後の個別授業」場面の撮影へと移る。

〜物理教室〜
監督
よし、個別授業シーンとっていこう
本日ラストだ!頑張れ!!
長時間ぶっ通しで仕事していたとは思えない元気さの監督。
あなた
はい、よろしくお願いします
ノ・ジェウォン
よろしくお願いします
スタッフ
カメラスタンバイOKです
スタッフ
照明、音声もOKです
監督
それでは撮影始めます!3・2・1!
このシーンは初めての授業から数ヶ月が経ち、ジウが着々と実力をつけてきている設定だ。
ノ・ジェウォン
…おお、理解力が凄まじいね
数ヶ月前までの「何のために物に矢印を書くんですか?」とか言ってたジウさんとは別人のよう…笑
あなた
私も、自分で自分が別人のようだなって思います笑
ノ・ジェウォン
この前の模試も、16点から96点に上がったしね
大成長だよ、ジウさんほど成長した人はこれまでに見たことないかもな〜…
あなた
本当に先生のおかげです、ありがとうございます
ノ・ジェウォン
これからも出来る限りのことは尽くすよ
絶対にジウさんをソウル大学に行かせるから
あなた
ありがとうございます…
私は、真面目さを保ちつつも少し柔らかい表情を浮かべ、パク先生のこの言葉でさらに好きになるジウの様子を再現した。
監督
カット!!OK!!
監督からの一発OKを受け、ジェウォンと嬉しそうに顔を見合わせる。
ノ・ジェウォン
一発OKだ…!
あなた
だ…あっ、ですね!!
危ない危ない…嬉しさのあまりタメ口が出かけた…「だね」って言いかけちゃった…

そこに監督が両手を叩きながら歩み寄る。
監督
いや〜、2人とも優秀!!
これまでで一番楽しい現場かもな
スタッフたちも深く頷きながら拍手している。
監督
距離感、目線、呼吸、ミリ単位で完璧だった
あなた
嬉しいです…ありがとうございます…
監督
それに、ジェウォンとあなたの下の名前の相性や息もピッタリなんだよな〜…
さすがイカゲームで共演してるだけあるな、あの壮大で大変な現場を共に乗り越えてきたんだろうなっていうのが伝わってくる
ノ・ジェウォン
はい、あなたの下の名前とは演技の価値観も合いますし、仲良くなって長いので笑
嬉しそうに答えるジェウォン。すると、監督がニヤッとして詰め寄る。
監督
ん?今、"あなたの下の名前"って言った?
ジェウォン、あなたの下の名前ちゃんって呼んでなかったっけ?
えっ?!よく気づいたな?!私でさえ全然気づかずスルーしちゃってたのに…?!色々鋭そうな監督だな…油断も隙もない…
ノ・ジェウォン
あっ…ああ…イ・ダウィとかがあなたの下の名前って呼んでるのでたまに移っちゃうんですよ…笑
あんまり気にしないでください笑
ジェウォンは慌てて言い訳する。
監督
そういうことな笑
ダウィか、あいつ懐かしいな笑
元気にしてるか?
ノ・ジェウォン
はい、とても…!イカゲームメンバーでも定期的にちょくちょく会うんですよ!
ね?あなたの下の名前ちゃん
あなた
はい…!イカゲームの時と相変わらずで、元気にされてますよ
監督
ふうん、良いことだ
そういう積み重ねた信頼があるから、この距離感出せるってことなんだな
にこにこして頷く2人。監督は満足そうに笑い、セットを出ようとする。
監督
これからも期待してるぞ〜
背を向けて、後ろ向きに手を振って去っていった。
〜廊下〜
私たちもスタッフさんたちに挨拶を済ませ、廊下へと出た。並んで歩き、更衣室がある棟へと向かう。
ノ・ジェウォン
いや、さっき監督の前でもあなたの下の名前呼びしてしまったのマジで焦った〜…
あなた
本当だよ…!笑
とかいう私も、危うくタメ口使いかけた所あったけど…
お互い声をひそめて話す。
ノ・ジェウォン
気引き締めていこ、俺らだけの秘密だからね
あなた
うん、本当気をつけないと…監督鋭いし…
すると、ジェウォンの携帯からLINEの着信音が鳴る。
ノ・ジェウォン
誰だろ…
白衣のポケットから携帯を取り出して通知を確認すると、「おっ」という表情をした。
ノ・ジェウォン
ダウィからだ、「今度俺の家で、ジェウォン兄さんとあなたの下の名前のドラマ決定おめでとう会したいから、また4人で集まろう」って笑
あなた
えっ…!嬉しい…!
ダウィさんたち、久しぶりに会いたかったんだよな〜!!楽しみが増えた…!!
ノ・ジェウォン
じゃあ、俺の更衣室こっちだからまたね
後で日程調整の連絡するよ
あなた
うん、また…!
2人はにこやかに手を振って別れ、それぞれ自分の更衣室の方向へと歩いた。
3連休最終日にも更新できて良かった〜…!!今回は、学校でこの年齢差の2人では普通できない青春シーン(屋上でお弁当食べるとか、並んで廊下を歩くとか)をドラマ撮影の休憩時間という形で叶えさせたのがこだわりポイントです🙂‍↕️
それから、ドラマ「この恋を式にできれば」自体を、ジェウォンさんとあなたの下の名前のこれまでの関係性とリンクするような設定にしています💭これからがドラマ本番なのでお楽しみにしてください!
ちなみに「この恋を式にできれば」は、私の実際の恋愛に基づいたフィクションでして…そのエピソードを近々この活動報告↓に書こうと思ってますので、興味がある方はぜひご覧ください🙂‍↕️
次回は、第二話の撮影でジウ(あなたの下の名前)が大学3年生の教育実習生として、パク先生(ノ・ジェウォン)と再会するシーンの撮影です🎬
ダウィたちとの集まりも控えていて、モチベ上がりまくり?!

明日から仕事が始まるので更新遅れそうな予感です…🙇🏻‍♀️ご容赦ください🙇🏻‍♀️

プリ小説オーディオドラマ