第5話

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2026/01/14 08:14 更新






翌朝 、ラテは制服に袖を通しながら 、
わずかな違和感を覚えていた 。


布の感触も 、サイズも 、昨日までと変わらない 。

それなのに 、身体の内側だけが
少し 先へ進んでしまったような感覚があった 。

鍵は 、胸の内ポケットに入れていた 。
触れれば 確かにそこにあると分かる重み 。
けれど誰にも見えず 、誰にも知られない 。

── 秘密とは 、こういう形をしているのか 。

学校へ向かう通路は 、
地下都市特有の直線で構成されていた 。

曲線は少なく 、
視界は常に計算されていて 迷う余地はない 。

天井には 疑似的な昼光が流れ 、
時間の感覚さえ 管理されているよう 。

ラテは 、その光を見上げなかった 。

見上げる癖は 、庭園にだけ残しておきたかった 。



校舎は 街の中央区画に近い場所にある 。
教育施設というより 、
整然とした保管庫のような建物だった 。

メメントモリ
 おはようごさいます 、ラテ 


背後から声をかけられ 、少女は振り向く 。

メメントモリだった 。

整えられた髪 、きちんと着こなした制服 。

周囲と同じはずなのに 、
どこか 浮いている・・・・・ ように見える 。

ラテ
 おはよ 


二人は並んで歩き出す 。


廊下には 生徒たちの足音と 、
一定の間隔で鳴るチャイム 。

壁面には 、標語が並んでいた 。


" 秩序は自由を守る "
" 安定は幸福の基盤である "
" 過度な疑問は 、心を疲弊させる "


ラテは 、視線を逸らした 。

教室に入ると 、
天井一面に映し出された空が目に入る 。
庭で見るものと まったく同じ青 。


教師
 今日もいい天気ですね 


教師が 、感情の起伏を抑えた声で言った 。

教師
 では 、環境史の続きから 
 始めていきましょう 


黒板に映し出されたのは 、街の成り立ちだった 。

記録に残る気候の変動 、資源の偏在 。
人々の生活が 、安定を失っていた時代 。

そして 、現在の都市構造へ至るまでの過程 。

教師
 これにより 、人々は安定した環境 
 で生活できるようになりました 


教師の声は 、疑いを許さない 。

教師
 環境が安定していることは 、 
 人らしく生きるための前提です 
教師
 予測できない変化は 、 
 心に過度な負担を与えます 


ラテは ノートをとる指が止まるのを感じた 。

" 人らしく "

庭師の言葉が 、胸の奥で反響する 。

── 怖かった 。
でも … それ以上に 、生きている感じがした 。

教師
 では 確認しましょう 


教師が 、教室を見渡す 。

教師
 なぜ 、この街では
 環境に関する独自の解釈や 、 
教師
 推測などが好ましくないと 
 されているのでしょう 


数秒の沈黙 。

やがて 、数人の生徒が
教科書どおりの答えを口にする 。

生徒
 誤った認識が 不安を生むからです 
生徒
 個人差のある理解は 、 
 社会の安定を損なうからです 


教師は満足そうに頷いた 。

メメントモリと 、視線が合う 。

ほんの一瞬 。
けれど 、二人は 同じことを考えていると分かる 。


── それでも 、
見てはいけない理由にはならない 。


授業の終わり 、教師は 事務的に付け加えた 。

教師
 最近 一部の区画で 、空に 
 違和感を覚えたと報告があります 
教師
 不要な不安を抱かないよう 、 
 公式情報以外 耳を傾けないように 


ラテの心臓が 、強く打った 。

揺らぎは 隠され始めている 。




昼休み 、二人は校舎裏の小さな中庭に出た 。

ここにも空はある 。
けれど 、庭よりも低く 、近く 、逃げ場がない 。

メメントモリ
 あの 


メメントモリが 、声を潜める 。
メメントモリ
 先生達 、
 最近 ちょっと変じゃないですか ? 
ラテ
 そうだよね 
メメントモリ
 … 私達のこと 、見てる気がします 


ラテは 鍵の感触を確かめる 。

ラテ
 見られていたとしても 
 まだ何もしてない 
メメントモリ
 でも 


メメントモリは 空を見上げ 、すぐに目を伏せた 。

メメントモリ
 " 何もしないまま知ってる " のって 
 一番危ない気がするんですよね 


その言葉に ラテは頷いた 。

学校は 、知識を与える場所だ 。

同時に 、疑問を持たないよう 、
訓練をする場所でもある 。



── ここにいる限り 、何も変わらない 。



チャイムが鳴る 。

二人は立ち上がり 、教室へ戻る 。



けれどラテは 、確かに感じていた 。

この場所で 、
この管理された青の下で 、
彼女たちはもう 、従順な生徒ではいられない 。

学校という箱の中で 、
小さな亀裂が 、静かに広がり始めていた 。

その亀裂は やがて庭へ 、街へ 。
そして 、空そのものへと伸びていく 。








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mmさんの口調が少し変わってるの気づきましたか !

敬語に変更しました 🙌🏻

それに伴い 、003 の口調も敬語に変更してあります 🍀

メメさんは 敬語が抜けない人 … って解釈で大丈夫です .. ! !

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