第45話

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2024/04/17 12:23 更新
やばそうな輩
なっ……何故だ……
やばそうな輩
こ、これが壊れるはずがないだろ……⁉︎
上手くいって安堵しているあなたの後ろでは、誘拐犯達がそう嘆いていた。
あなたの魔法を知っていても、杖を持ってきて、しかも制御できるようになるとは思っていなかったはずだ。
♪ε` (成功!)
あなたの周りを飛び跳ねる。
場違いな反応だったが、あなたの行いが認められた気がして、大分元気づけられた。
誘拐犯達も、扉の周りも、砕けた場所はない。
鉄板の所だけ、原型がなくなっていた。
モナクは近付いてきて、あなたを小突いた。
手、と言っているようだ。
あなた
まあ……このあと怒られるんだろうけど……
手を出して、握ってモナクに当てる。
開いた隙間から、廊下の方まで見えた。
ふいに、オーターの丸眼鏡が覗く。
オーター
何事です……
オーターが見たのは、床に這いつくばって「俺の努力があああ」と言う誘拐犯と、それを見て笑っているモナク、そして見慣れた杖を此方に向けているあなただった。
オーター
……か?
眼鏡を掛け直す。
現状を理解するのに必死になった。

まず、何故オーターの魔法で壊れなかったのに、壊れているのか。
何があったのか、見ていなかったために全く分からない。
次に、何故あなたはメシシスを持っているのか。
昨日の帰りには持っていなかったはずだ。では魔法局に行ったのか?
そんな時間はないはずだ……モナクを使わない限り。
やばそうな輩
い、今がチャンスだ!
這いつくばっていない方の誘拐犯は、何やら凶器を持ってあなたに飛び掛かる。
放心状態に近いあなたは、それに気付くことなく床にへばりついていた。
オーターは、砂で縛り付ける。
オーター
後で話は詳しく伺います。
ここまでしてくれたのだ。即刻死刑にしてやりたいくらいである。
勿論、あなたが居るので口には出さないが、心の中でそう毒づいた。
そんな奴等より、今は状況確認である。
オーター
……それで、何故こんな状態に?
粉々になったそれを指さしながら言う。
あなたは、モナクと共に、床に座って答えた。
前回のあれは事故だが、今回は故意によるものである。
あなた
えー……っと……
非常に言い出しにくい。
あれほど訓練以外で使うな、と言われていたのに、破ってしまったのだから。
いくら緊急時とはいえ、上手くいったとはいえ、軽率に行ったことを反省中である。
あなた
わ、私がこなごなにしました……
オーター
……流石に手で、という訳ではないでしょう?
あなた
魔法……でございます……
かなり落ち込んだような声をしているが、後悔はしていない。
やっぱりか、とオーターは思う。
ということは、メシシスも魔法局まで取りに行ったのだろう。
箒の乗り方は教えていないが、モナクは普通の箒と違い、自身である程度調節できる。
とはいえ、常人には難しいはずだ。
y━・~~(まあね、俺の主人天才ですから。箒にも乗れちゃった、って訳ですよ。)
そこは止めろよ、と思ったが、その気力もなかった。
オーターはモナクに夢中で気づかなかったが、その時、斬撃が飛んだ。
恐らく、もう駄目だとなった時のために用意してあったものだろう。
威力も規模も大きくはなかったが、体の小さいあなたからするとそれなりの大きさだ。
それの出現元は、あなたのすぐ後ろだった。
静かだったため、それに気付くこともなくメシシスを抱えている。
あなた
……ッ!
あなたの体に痛みが走る。
足に目をやるが、斬撃は消えていた。
その代わりに、血だけが出ている。
もうひとつの斬撃は、頰辺り、それも先程殴られた辺りに当たった。
顔に手をやり、その手を見ると、血で染まっている。
え、もしかして死ぬ?
冗談抜きで死を意識するあなただったが、それくらいでどれだけ苦しんでも死ぬ事はない。
やばそうな輩
やっふぇやっふぁふぇ(訳・やってやったぜ)
その声を聞いて、オーターも気付いたようだった。
あなたに駆け寄る。
あなた
いっ、いきなり変なのが飛んできて……
そう言うと、オーターは誘拐犯の口に砂を詰め込んで聞く。
オーター
やったのはお前か?
何も答えない。
今度は鼻か耳にでも砂を入れようとする。
オーター
ここで半殺しにしてもいいか……
あなたには聞こえず、誘拐犯にだけ聞こえる大きさでそう言った。
思わず、犯人はぶんぶん首を縦に振る。
オーター
勝手にメシシスを持ち出したり、魔法を使ったりしたことへの説教もありますが……
や、やっぱりか、とあなたは足を抑えながら思う。
オーターは、床に広がる血を見ながら言った。
オーター
まずは手当てをして、此奴等を処理してからにします。
出来るだけ穏便に……
そう言おうとしたが、痛みにより言えなかった。
あなたは、モナクに乗って魔法局に戻る。
オーターも、部下に誘拐犯達を託した後に、あなた達に続いた。

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