何処か英智さんに似た口調の人が前に歩み出る。
優雅に一礼し、客席の私たちへニコリと微笑む。
女の子は満足げに彼__あなたの名字璃央さんの姿を見届け、再びマイクを構えた。
女の子に恐縮するように一礼してから、あなたの名字璃輔くんは無駄の無い所作で私たちにも頭を下げた。
今度は女の子が前に歩み出ようとすると、璃央さんが彼女の手を愛おしそうに取った。
そう言って彼女は、ステップを踏むかのように
軽やかな足取りで前に出た。
2人が手で女の子を示すと、スポットライトの
眩しい光が彼女の姿を顕にした。
2人の自己紹介では起こらなかった、爆発的な
歓声が沸き起こる。
やっぱり、そうだ…!
神様…私を夢ノ咲学院に転校させて下さって本当にありがとうございます。
___私の目の前に最推しがいるぅぅっ…!!
推しに至近距離で、しかも目を合わせてマイクも通さず直接話し掛けられて動揺しまくる私を見てか、我が推し__あなたの名字あなたちゃんはクスリと笑う。
丁度、私の隣の席に座っていた北斗くんが珍しくすっとんきょうな声を出す。
でも、今の私の脳と心にはその声にさえ反応する余裕も無くて___。
思わず絶叫してしまった。
あなたちゃんは私たちに向かって、完璧なウインクをする。
尊いぃぃ…、存在自体が尊いよぉぉっ…!












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。