あなたside
姉ちゃんも最終選別に出れるらしい
急に初音さんが話しかけてきたから…
びっくりした…
すると初音さんは
小屋の奥にある棚から
一本の刀と髪留めを持ってきた
シュルッ
初音さんは、私の髪を一つにまとめてくれた
もちろん、初音さんが持ってきてくれた
あの髪留めで
父さんからの…
なんて優しい人なんだろう…
初音さんの眼からは…
優しさの眼差しを感じる
父さん… 母さん…
そこで見てて…
絶対生き残ってみせるから…
姉ちゃんと一緒に…
明音side
あなたも… もう6才か
そうだ…
ここまで頑張って… 頑張って…
ここまで来たんだから
百光さんは、横にある棚の引き出しから
一本の刀と手のひらくらい大きさの竹笛を持ってきた
そして百光さんは…
私の手のひらに笛を置き握らせた
母さんから…
嘘の匂いがしない…
本音…
母さん… 父さん…
ちゃんと見てて
私…
絶対二人みたいな隊士になってみせるから…
あなたと共に…
あなたside
道中…
二人だけの… 約束ね
藤襲山…
ザワザワ ザワザワ ザワザワ
『皆さま 今宵は最終選別に
集まりくださってありがとうございます』
『この藤襲山には、鬼殺の剣士様方が
生け捕りにした鬼が閉じ込めてあり
外に出ることはできません 』
『山の麓から中腹にかけて
鬼共が嫌う藤の花が
一年中狂い咲いているからでございます』
『しかしここから先には
藤の花は咲いておりませんから
鬼共がおります、この中で七日間生き抜く』
『それが最終選別の合格条件でございます』
『ではいってらっしゃいませ』
鬼の急所は頸
しかし、通常の刃物で頸を斬っても殺せない
シュッ ジャキッ
日輪刀で頸を斬ると骨も残らないのか…
シュッ
ストッ
"閃光"!!!!
ピカッッッッ ジャギンッ
ストッ
スゥ…
"月影"!!!!
シュッ ビチャビチャビチャッ
スタッ
それからも私たちは、二人で鬼を斬っていった
気づいたら私たちの周りには…
藤の花が咲き乱れていた…
『お帰りなさいませ』
『おめでとうございます
ご無事で何よりです 』
たくさんの人たちに感謝された
ほとんどの人が生き残れたらしい
『まずは、隊服を支給させていただきます』
『体の寸法を測り
その後は階級を刻ませていただきます』
『階級は十段階ございます』
『 甲・乙・丙・丁・戊
己・庚・辛・壬・癸』
『今現在皆様は、一番下の癸でございます』
ここから…
上の階級に…
『皆様には本日中に玉鋼を選んでいただき
刀が出来上がるまで十日から十五日となります』
これは…
鴉…?
『さらに今からは鎹鴉をつけさせていただきます』
トッ/肩に鎹鴉がのる
『鎹鴉は主に連絡用の鴉でございます』
『ではあちらから刀を造る鋼を
選んでくださいませ 』
『鬼を滅殺し、己の身を守る刀の鋼は
御自身で選ぶのです 』
一つ…
自分の眼にピッタリと止まった鋼を手に取る
その後、私たちは支給服を貰い山を降りた
今回は…ここまで!
おつこあ!
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。