幼馴染がいる。
腐れ縁と言ってもいい。
それぐらい昔からずっと一緒にいた。
木陰で本を読んでいると、同じ年ぐらいのやつに話しかけられた。
第一印象は馬鹿なやつ。
普通のやつらなら兄の方に媚びを売りに行く。両親に期待を抱かれている、兄の方に。
それなのに私のところへ来た意味が分からない。
そしてもう一つが私を男だと思っていたこと。
私の性別は女。
どこからそんな情報を仕入れてきたのかは知らないが、とにかくこいつは馬鹿なやつ。
そんな印象を最初抱いた。
自分が女だと訂正するのが面倒くさかった。
第一、次会うかわからない奴に自分の性別を教えてもムダだと思った。
南雲家の人間。それを聞いて、早くここから逃げたしたい気持ちになった。
南雲家は実質、翡翠家よりも上の存在。
そんなお偉いさんと話して、知らぬ間に地雷を踏み、気づけば殺されていたなんてこと、想像したくもない(
しかしますます意味が分からない。
そんなお偉いさんが、わざわざ親の期待を背負っていない人間に話しかけてくるなんてますます意味不明。
気づけば私の隣に座り、鼻歌を歌っている。
どうせもう会うことはないだろう。
そう思って私は本に視線を戻した。
____1週間後。
初めて親の顔を見た。
正確に言うと父親の顔。
母親は父親の隣にはいない。
わけもわからず、今日、初めて顔を見た父親の後を追う。
一つの扉の前までくると、父親はゆっくりとこちらを見た。
意味が分からず、部屋の中に入れられる。
そして目の前にいたのは。
目の前にいたのは、一週間前に出会った、南雲家の人間だった。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。