ピピピピ, ピピピピッ……
朝、聞き慣れないアラーム音で
目を覚ます。
うるさい……
このアラームの音、苦手なのに。
手探りでアラームを止めようとすると
タトゥーの入った腕が
代わりに止めてくれて
ほっとして二度寝…
見覚えのない天井に
寝心地のいいベッド。
恐る恐る隣に目を向けると
いかついタトゥーの持ち主とは思えない
可愛らしい寝顔…。
昨日の夜、温かいお粥を食べながら
日記を書いたのを
何となくだけれど覚えてる。
服もしっかり着てるし
一夜の過ちは起こっていないみたい。
スマホで時間を確認すると、
まだ余裕たっぷりの朝7時で。
ジョングクは朝ごはん
何がいいんだろう。
パン派かな、それともご飯派?
そんなことを考えながら
体を起こして立ち上がろうとすると
後ろからにゅっと伸びてきた
二本の逞しい腕によって
ベッドの上へとバックドロップ…。
ジョングクは私のお腹周りを
がっちりとホールドすると
特に起きる様子もなく、すやすやと眠ってる。
至近距離で聞こえる彼の寝息に
心拍数はもう上がりっぱなしで。
どっ、どっ、どっ…って
自分の心音がうるさくて。
彼に聞こえていないことを祈りながら
何とか落ち着けようと
耳を塞いでみたり、目を瞑ってみたり。
しばらくしてようやく起きたのか
軽い欠伸をして、
私の肩に顎を乗せるジョングク。
「ソヒョンァ」
寝起きの掠れ声で発されたのは
私の名前じゃなくて。
まぁ、そうだよね。
色んな意味で一気に目が覚めた私は
枕を両手でわしっと掴むと
後ろ向きに思い切り
ぼふんって叩き付けた。
腕のホールドが緩まった隙を狙って
するりとベッドから抜け出す。
感情に感情を重ねて
気を抜くと崩れそうな表情筋を
ぐっと押さえる。
ソヒョンは毎朝、ああやって
ジョングクに抱きしめられてるのかな…。
キッチンで朝食を作る間も
そんな考えが止まらない。
ぶんぶんと頭を振って
両手でぱちんっと頬を叩くと
私は目の前のフライパンに集中することにした。
きちんと手を合わせて
そう言ってくれる彼。
食べてる間も
何度も美味しい美味しいって言ってくれて。
嬉しくなってつい、
呼んでくれたらいつでも作るよ、なんて
来ない日の約束までしてしまった。
お皿を抱えて、とたとたと
キッチンに向かうジョングクを尻目に
ソファに座って、大して面白くもない
朝のニュースをぼーっと眺める。
環境問題が~、とか
あのアイドルが~、とか。
興味のない話題コーナーが終わると
映像が切り替わって
某有名テーマパークのパンダさんが
画面いっぱいに映し出された。
( : 龍仁市にある韓国最大級テーマパーク
『エバーランドリゾート』が、
今月xx日からイベントを開催すると予告……
( : このイベントは来月x日まで行われる予定で
既に周辺ホテルのサーバーへのアクセスが集
中し始めており……
( : …大盛況が見込まれています。……
( : …では、続いて今日の天気です。
ニュースを見ながら
スマホで公式サイトを開いてみると、
皆考えることは同じみたいで
サーバーエラーを示す3桁の数字が表示された。
ついでにメッセージを確認すると
夜中の2時に、イェリからセルカが届いていた。
イェリとジウ、
それにジミンさんとソヒョンさんが
みんなで肩を組んで
仲良さげにグラスを持ってる1枚。
そういえば、あの後ソヒョンは
どうしたんだろう。
私がここにいることを、
ソヒョンは知ってるの……?
そんなことをぐるぐる考え込んでいると
片付けを終えたジョングクが
隣に座ってきて、
思わず、こぶしひとつ分
ほんのちょっとだけ横に避けた。
カフェのお客さん風に注文をしてくる彼に
私も合わせてのってみる。
指をVにして
にっ、と口角を上げて微笑む彼。
胸の中できゅーんって音がしたのは
もう言うまでもない。
でもそれは、表に出すことの無い
私の中だけの秘密なの。
もし、いつかこの甘ったるい沼から
無事抜け出せたなら。
その時は、言ってもいいのかもしれない。
お酒のおともに、軽い笑い話として
あの時あなたのこと好きだったのーって。ㅎ
















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。