パチッ
目を開けるとそこは真っ白な世界
俺一人がぽつんと立っていた___
周りを見渡しても特に目立ったものはなく…
取り敢えず、探索してみることにした
…………………
ここに来て気づいたことがある
それは疲れないことだ
歩いて数十分たったと思うが全然疲れない
ためしに走ったりしたが全くと言っていいほど疲れない。
それに腹もすかなきゃ喉も渇かない
なんの根拠もないがこう思う…
小説や漫画だったらこんなことを言えるが今は現実。
そう簡単にはいかない
では、此処はどこなのだろう…
何もないこの世界は…
…まるで今の俺みたいだった
"無能"でなんにもない俺
ポチャン どこからか水たまりを踏んだような音が聞こえた
一瞬…一瞬だけ見慣れた髪色の奴が見えたのは気の所為だろうか…
振り向くとさっきまで何もなかったところには草木が生え、高い建物が建ってた
見慣れたその建物は俺たち幹部の家でもあり交流の場でもある軍基地だった
あまりのことに驚きを隠せないでいと聞き慣れた声
いつもベットで横たわっていた俺の相棒はそこに居た。
起きているそいつを見れたのが唯一の救いだった。
何故か思いどうりに表情や口が動かない
…それよりももっと驚くことはこれが"あの時"とそっくりなことだ
行動や言動、情景まで全てが一緒
いや…これはきっと記憶なのだろう
俺の嫌な記憶だ
もう二度と見たくない
もうあんな目に会いたくない
そんな我が儘すぎる自分が笑える
そんな俺の気持ちを無視し、場面は動いて行く
ジーッジーッ
耳に付けていたインカムに触れ、声の主からの指示を待つ
ジーッジーッ
ジーッジーッ…
…………………だめだ!!!!
この思いは誰にも届くはずなく、どんどんと時は流れてく
…そして、"あの時"になってしまった
その時だった。
赤いライトがチラつき、気付いた時にはもう遅く生暖かい液体が地面を流れた。
だが、なにも痛みは感じなかった
そして気付いた。その液体が流れるは俺から流れているのではない。
笑えない冗談。現実を受け入れられなくていつもよりも口が回る
コネシマは過呼吸になっていく、どんどんどんどん……脈が弱くなっている気がきで仕方なかった。
吐血……、
急に目の前がぐらっとしてなにも考えられなくなった。
それと同時によぎる言葉。
失望……絶望…
なにもない僕…
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!