❤️side
しばらくの間流星を見つめていると、流星は急にそんなことを言い始めた。
鞄から小さな箱を取り出した流星は、静かにそれを俺の前に置いた。
丁寧にラッピングされた箱を開けると、見覚えのあるリップが1本入っていた。思わず流星の方を向いて呟く。
いつもより落ち着いたように話す流星。似合うと思って用意してくれたことも、流星と色違いなのも嬉しい。
こてんと首を傾けて不思議そうに言う流星の頭を撫でて俺は続けた。
そう言って、静かに流星の前にプレゼントの箱を置く。流星は驚いた顔してて可愛い。
流星の大きな目が、俺に向けられる。
意味が伝わったらしく、流星の目がうるうるし始めていて、今にもその大きな目から涙がこぼれそうになっている。
これを買ったのは流星への恋心に気付くちょっと前。やましい気持ちは一切無くて、純粋にお揃いの香水ってことに惹かれたけど、よく考えたら好きでもない人からのこんなプレゼントなんて引かれても当然だよな。
香水を手首につけて首元を優しく擦る。途端に広がる甘いバニラの香りに吸い寄せられるように、俺は流星の首元に顔を寄せた。
そう言い終わるよりも前に流星に腕を引かれて、俺の首元に流星の顔が近づく。一瞬にして、顔が熱くなった。
今日はとことん流星にどきどきさせられっぱなしや。
リップの蓋を開けた流星は、俺の唇に少しリップを乗せて、指で優しく叩いた。流星はリップに集中しとるみたいやけど、俺は流星のことばかり考えてしまう。
柔らかく笑って言う流星の顔を見てたら、正常じゃいられなくなってくる。
またや…プールのときと同じ感覚を思い出しながら、俺は流星に顔を近づけた。でもあのときとは違って、流星は俺の肩を優しく押し返してくる。
急いで身体を離すけど、流星との距離がひどく遠くなってしまった気がする。
流星は当たり前に俺を受け入れてくれるもんやと思い込んでやりすぎてしまった。
キスしようとする前に告白していたら、もしかしたら付き合えたんやろうか。でも流星が言う付き合った人っていうのは、そもそも俺やない。
考えれば考えるほど分からなくなって、俺の気持ちを隠すように、帰り道はずっと手をポケットに突っ込んでいた。
1年目のクリスマス編はこちらで終了となります!
クリスマス編は続けて読んでいただきたかったので、お買い物デート編から毎日投稿しておりました☺️
たくさんの♥️やコメント、スタンプ等本当に嬉しかったです!✨️😭✨️
両片想いのもどかしさが存分に伝えられたら良いなと思ってます…🫣
1日あけて金曜日の17:00に続きを投稿いたします!
この辺りから急加速でお話が進むので、ぜひ見届けていただけたらと思います😊
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!