🧡side
クリスマス会のあと、一緒に個室カフェに行ったっきり西畑先輩とは会ってへん。その日の帰り道、先輩は頑なにポケットから手を出さなかった。その理由はなんなんやろ、とか、僕の想いはどのくらい伝わったんやろとか考えていたら、いつの間にか年を越していた。
そろそろ元旦気分が抜けてきた1月6日の今日、僕はいつものタピオカ屋に謙杜を呼び出した。
後からお店に入ってきた謙杜は、僕を見つけるなりそう言った。僕も謙杜に合わせて言っておく。
僕がそう答えると、謙杜は腕を組んで苦笑いする。
西畑先輩に電話をかけようとした謙杜の手首を掴んで、そう弁解する。
タピオカと一緒に頼んだケーキを1口食べながらそう愚痴をこぼした。ストレス溜まったときは甘いものと友達に逃げるのが1番やな。ここに恋人が追加されれば満点やけど、あいにくその人は鈍感すぎて僕の気持ちすらきっと伝わってない。
僕の言葉に、謙杜が小さくため息を吐いたのがわかる。
その後もしばらく謙杜とお喋りをする。みっちーと謙杜の惚気話を聞かされる度、早く西畑先輩に会いたくなってきた。
なんとかアルバイトを乗り越え、初めてお給料をもらった僕は、るんるんで帰宅した。先輩のお誕生日にあげたいものはもう決まってる。先輩の喜んだ顔を想像しながら、僕は眠りについた。
先輩のお誕生日当日。まだギリギリ冬休みやけど、僕は17時から20時までバイトがある。もはや寝起きのルーティーンになっている、西畑先輩からの連絡チェックと共有カレンダーを確認すると、今日先輩は20時半まで冬期講習があるみたい。
先輩が僕にしてくれたようにサプライズにしたかったからって、連絡せえへんかったのが良くなかったかも。でもバイト終わって着替えたりケーキを買いに行ったりしたらちょうど良い時間になるかな。
先にそう連絡をいれておく。先輩のお誕生日を直接お祝いできますようにってお願いしながら、先輩にもらった香水をつけた。
───バイト終了後
今日は特に疲れた…早く西畑先輩に癒されたい…
そう思ってスマホを確認するも、未だに既読すらついてへんかった。でも今の時間はまだ冬期講習中だし、もう少し待ってみよう。
ほんの少し抱いてしまった悪い予感を慌てて消して、ケーキを買って公園に向かった。
公園に到着して、ベンチに腰掛ける。ちょっと椅子が冷たくて寒いけど、先輩と会えるかもって思ったら我慢できる。
プレゼント喜んでくれるかな。ありがとうって抱きしめてくれるかな。
西畑先輩、早く会いたいです。
最後まで読んで下さりありがとうございます!
続きは明日の朝9:00に投稿します🕘
土曜日なのでいつもより早くしてみました!🐔🐣☀
前回週3投稿に戻す、というようなことをお伝えしましたが、予定していた投稿スケジュールにお話が間に合わなそうなので、来週からも月水金以外にも投稿すると思います!
文章量が多いと思いますので、お暇なときにゆっくり読んでいただけたらと思います😌
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。