前の話
一覧へ
次の話

第1話

序章  立夏 〜Prologue〜
198
2025/01/09 09:04 更新






生まれてはじめて私が愛した人は、特攻隊員だった。
大きな愛を胸に秘めた、優しくて強い、あたたかな人。
私の大切な人。


彼は、私と出会ったときには、
もうすでに死を覚悟していた。





「愛する人たちを守るために、俺は死にに征くよ」










揺るぎない瞳で、そんな悲しいことを言った。











「行かないで」


と泣いてすがる私を、彼はただ静かな眼差しで包み込むだけで…

そしてある夏の日、怖いくらいにきれいに晴れた青空の向こうへ、一点の小さな光となって消えていった。






















ねぇ、彰。
私の声が聞こえてますか。
あなたは今、どこにいるの?
そこは、痛みも苦しみも悲しみもない、
穏やかな場所ですか?







風に吹かれる花びらのように儚く散ってしまったあなたが、せめて今は、優しい夢の中で、


安らかに眠っていることを祈ります____。

プリ小説オーディオドラマ