ぞろぞろと入ってくる第8に、紅丸は玄関に座り込んだ。
空緒桜も黙って紅丸の隣に腰を下ろす。ヒナタとヒカゲが2人の後ろに隠れた。
紅丸はヒカゲに引っ張られてズレた着物を直した。
それを聞いた空緒桜は訝しげに第8を見た。
紅丸は立ち上がって背を向けた。
ヒカゲが慌てて飛び退くと紅丸の着物がずり落ちた。気にせずヒカゲは空緒桜の後ろに隠れた。
紅丸は着物を直しながら呟いた。
すると、1人の少年が口を開いた。
否定するように言うと、少年はムッとしたような顔をした。
ビュッ
少年が言うとともに、空緒桜の身体が動いた。
ガッ
空緒桜は少年の足を引っ掛けて転ばせると、膝を着いた少年の首を両手で固定した。
空緒桜は森羅と呼ばれた少年を睨みつけた。
ギリッ
空緒桜は手に力を込めた。
紅丸が一言言うと、空緒桜はすぐに手を離した。
近くの女性が森羅に駆け寄った。空緒桜は紅丸の元へ戻った。
紅丸は、不満そうな空緒桜の頭をくしゃ、と撫でた。
それから、咳き込んでいる森羅を見る。
空緒桜は顔をしかめて森羅を見る。
空緒桜の言葉にカチンとくる森羅。紅丸は呆れたような顔をした。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!