第14話

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2026/03/10 23:11 更新
あなたの名字あなたの下の名前s.










































放課後の雄英は、昼間より少しだけ静かだ。













寮に向かう足音と、





校舎に残る生徒の声が、ゆっくり薄れていく。















私は職員室に戻る前、





廊下の窓際で、ほんの少し立ち止まっていた。














グラウンドでは、誰かが訓練をしている。









遠くで、爆発音と歓声。










―― ここは、前に進む場所だ。













分かっている。












分かっているのに。




































轟焦凍
轟焦凍
 … 先生 、  
































後ろから、落ち着いた声。










振り返ると、



轟焦凍くんがそこに立っていた。






















































轟焦凍
轟焦凍
  相澤先生に提出物を 
 届けに来たんですが … 
轟焦凍
轟焦凍
 もう戻られましたか 。  
(なまえ)
あなた
 ううん 、 まだだと思う 























































そう答えると、







轟くんは小さく頷いて、私の隣に立つ。











二人で、窓の外を見る。


















気まずさは、ない。







会話がなくても、変じゃない距離。
















































轟焦凍
轟焦凍
 …… ここ 、 好きですか 。  














































突然の質問。














































(なまえ)
あなた
 … 嫌いじゃないよ 




















































正直な答えだった。










































轟焦凍
轟焦凍
 俺もです 。  
轟焦凍
轟焦凍
 騒がしいのは苦手ですが …… 
轟焦凍
轟焦凍
 ここは 、 外を見ていられる 。  




























































彼は、視線を外さない。












逃げない。




踏み込まない。











その在り方が、妙に心に残る。














































(なまえ)
あなた
 … 轟くんは 、 忘れたい 
  過去ってある ?























































少しだけ、間を置いて聞いた。










轟くんは驚いた顔をしなかった。






























































轟焦凍
轟焦凍
 … あります 。  

















































即答。












































轟焦凍
轟焦凍
 でも 、 忘れようとはしていません 。  
(なまえ)
あなた
 どうして  ? 
轟焦凍
轟焦凍
 忘れたら 、 それまでの自分が 
  いなくなる気がするから 。




























































胸の奥が、静かに鳴った。













――同じだ。







その言葉は、口に出さなかった。
































































(なまえ)
あなた
 … 強いね 












































そう言うと、




轟くんは少しだけ眉を寄せた。













































轟焦凍
轟焦凍
 強くはないです 。  
轟焦凍
轟焦凍
 ただ … 置いてきていないだけです 。  





















































置いてきていない。













その言葉が、






胸の奥に、深く沈んだ。























































轟焦凍
轟焦凍
 先生も 、 忘れない人だと思いました 。  



























































責めるでもなく、





同情でもなく。










ただの事実みたいに。
























































(なまえ)
あなた
 … そうかもね 



















































それ以上、何も言わなかった。












言えば、




傑の名前が出てしまう気がしたから。































































轟焦凍
轟焦凍
 無理に 、 前を向かなくて 
  俺はいいと思います 。


















































彼は、そう言ってから、少しだけ間を置いた。










































轟焦凍
轟焦凍
 でも 、 ここに立っているなら … 
轟焦凍
轟焦凍
 それだけで 、 十分だと 。  



















































優しい言葉じゃない。





慰めでもない。










でも、それが――一番、残酷で、救いだった。




















































(なまえ)
あなた
 ありがとう 











































短く言う。












轟くんは何も言わず、





静かに一礼して、その場を離れた。













一人になった廊下で、






私はもう一度、窓の外を見る。

















前を向く世界。




立ち止まったままの私。












それでも、







誰かはちゃんと、見ていた。






変えようとしないまま。
















――それが、



轟焦凍という存在の、始まりだった。

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