第20話

No.20 あなたの本当の気持ち
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2024/01/10 07:00 更新


江戸川乱歩
卑怯だよ、言い逃げなんて。
彼の淡々とした言葉が私を容赦なく貫く。

本当のことだから、何も言えなくて俯いてしまう。
あなた
ごめんなさい…
私が謝罪を伝えると、乱歩さんは
何故か苦しそうな顔をして私を見詰めていた。
江戸川乱歩
ねぇ、自分の気持ちだけ言っておいて僕の気持ちは聞かないわけ?
その時、私はハッとした。
私は乱歩さんから
返事をもらうことを考えていなかった。

だって、断られるに決まってる。
聞かなくても判る。


そうやって私は無意識に考えていたらしい。

江戸川乱歩
……僕、初めて君を見たあの日から君のことが忘れられなかったんだ。
乱歩さんは落ち着いた調子で、とても
愛おしいものを眺めるような瞳で話を始めた。

私はそれを静かに聞く。
 
江戸川乱歩
あの日、僕は歩道の角で人を待っていた。その時君のことを見つけた。
あなた
ぇ…?
江戸川乱歩
君は僕のこと
気付いてすらいないかもだけど。
あなた
いや…そうじゃなくて……
違う。そんなわけない。

あの日のことなら
昨日のことのように鮮明に覚えている。


忘れるわけがない。


それより___
あなた
覚えていてくれたんですか…?
私がそう聞くと、彼は外方そっぽを向いてしまう。


だけれど…彼のさらさらとした髪の隙間から、
彼の耳が少し赤くなっているのが見えた。


あなた
そっか…
覚えていてくれたんだ……
私はどうしようもなく
幸せな気分に包まれた。


初めてあった日のことなんか、
乱歩さんは知らないと思っていた。




だから彼に聞くのが怖くて、
あの日のことは胸の中に仕舞っていた。



だけれど……
あなた
嬉しい…とっても、嬉しい。
私の目からは自然と涙が流れていた。

悲しいからじゃない。


私は今とっても嬉しくて、堪らなく幸せで……

江戸川乱歩
あなた。
乱歩さんが優しい声で私の名前を呼んだ。


江戸川乱歩
僕は君のことが好きだ。
江戸川乱歩
あなたを愛している。
その一言はまるで、今何処にいるのか判らないような暗闇の中で、手を差し伸べられる様だった。




だけど……
あなた
……っ、ごめん…なさい…
私、は…貴方に相応しくない…
私は猟犬部隊やポートマフィアに追われている。

彼らから逃れる術はない。



もし、ここで乱歩さんの手を取ってしまったら、乱歩さんも巻き込むことになってしまう。


そんなこと、したくない。


私は何度も彼に謝った。

貴方が好き。貴方の手を取りたい。
貴方に好きって言ってもらえて嬉しい。

なのに、現実はそうはいかない。


その残酷な事実が辛くて辛くて仕方がなかった。


江戸川乱歩
だったら……
彼は何か思い付いたようにそっと口を開く。



江戸川乱歩
______。
あなた
……ぇ?
私は彼が放ったその一言に驚いて
時が止まったかのように固まってしまった。



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