第32話

みんなの優しさ
78
2026/04/29 13:33 更新
あなたの下の名前side
休日後 翌朝
あなた
(…うん。調子、だいぶ戻ったかも。)

あの日、みかくんに看病してもらって、大事を取って昨日は学校を休んだ。

おかげで体温も平熱に戻ったし、久々にゆっくり休んですっきりした。


スケジュール帳を開いて今日の予定を確認する。
あなた
(今日も、Trickstarと…あとはSwitchのレッスンか。明日はKnightsとUNDEADか。隙間にみかくん…うん。スケジュール、パンパンだ。)

病み上がりとはいえ、私を信頼してプロデュースを任せてくれている皆の期待には応えたい。

あなた
(自分の体力に見合わない仕事量かもしれない…けど。)

今回、体調を崩してしまったことは、正直少しショックだった。

私には、この量の仕事は無茶なのだと突き付けられたように感じてしまったからだ。

それに、体調管理が出来なければ、昨日一昨日のようにレッスンの予定がズレてしまう。
あなた
(でも、みんなの期待に応えたい…私は、私のやるべきことをやらなくちゃ。)
あなた
(そのためには、まずみかくんに「みかくんばかりに時間を割くのは難しい」ってこと、伝えなくっちゃな…)

自分の中で、伝える言葉を必死に考えて覚悟は決めたつもりだった。
あなた
(…彼からの告白は、素直に嬉しい。でもそれはきっと人に好かれた事象が嬉しかっただけで。私はプロデューサーなのだから、彼の気持ちにはそもそも応えられない。)
あなた
…うん。頑張れ、私。
自分の中で、考えの整理はついた。

私は自分を鼓舞し、学校へ向かった。












朝 教室




教室に入って早々、Trickstarのみんなが駆け寄ってきてくれた。
夢ノ咲学院の生徒
あなたの下の名前、体調は大丈夫か?決して今後は無理はしないで欲しい。
夢ノ咲学院の生徒
そうだよっ、あなたの下の名前。今日の俺たちのレッスンはまた別日でいいから!
あなた
心配してくれてありがとうございます。でも、昨日も1日休んだのでもう大丈夫ですよ。
夢ノ咲学院の生徒
…ううん、僕たちだけでも進められる練習だってあるし、あなたの下の名前ちゃんにはまだ無理しないでほしいな。病み上がりでしょ?
あなた
でも、昨日一昨日もスケジュールがズレてしまいましたし…
夢ノ咲学院の生徒
あなたの下の名前はいつもそうやって頑張ってくれるが、お前は女の子なんだ。そこまで丈夫ではないだろう。そこをまた俺たちは失念していた。もう無理して倒れて欲しくはないんだ。
あなた
………そう、ですね。

そこまで、みんなを心配させてしまっていたのだろうか。

今後は自分の体力を理解することも自身の課題だと感じた。
あなた
…みんなが、そこまで言うなら。ありがたくお休みをいただきますね。

私の返事を聞いて、彼らはほっと安心したような表情になった。
夢ノ咲学院の生徒
あなたの下の名前のスケジュールが落ち着いたら、またお願いするねっ!
あなた
分かりました。ありがとうございます。

みんなの気遣いは嬉しいが…スケジュール調整のためにみかくんに伝える覚悟も決めて来ていた分、少し出鼻を挫かれたような思いもあった。

あなた
(…そういえば、今日はみかくん、教室に遊びに来ないな。)

朝の挨拶が恒例となっていた今、少し違和感を覚えていた。

あなた
(…まあ、どちらにしてもみかくんには会うだろうし、その時に伝えよう。)
あなた
(今日の空いた時間は、久々に図書室に行って資料探しでもしようかな。)













午後 Switch レッスン室

あなた
(…久々にゆっくり図書室で勉強できたな。)


私は久々にゆっくりと図書室で資料探しができ、充実感に包まれながらSwitchのレッスンに向かっていた。



_コンコン。ガチャ
あなた
__失礼します。おつかれさまです。
夢ノ咲学院の生徒
ああ、子猫ちゃん。おつかれサマ。
夢ノ咲学院の生徒
あなたの下の名前!おつかれさまな~。
夢ノ咲学院の生徒
あなたの下の名前ちゃん。おつかれさまです。
あなた
(よし。午後からは気合を入れて、数日ぶりのプロデュース頑張ろう。)
夢ノ咲学院の生徒
ねえ、あなたの下の名前ちゃん。折角来てくれたところ申し訳ないんだけド。
あなた
…?はい。
夢ノ咲学院の生徒
ボクたちも相談して、あなたの下の名前ちゃんにはもう少し休みを取って欲しいと思っていたんダ。
夢ノ咲学院の生徒
だから、ボクたちのプロデュースも、今はお休みしてほしいナ。
あなた
…お気持ちは嬉しいですが、それでは私の仕事が無くなってしまいます。
夢ノ咲学院の生徒
でも、あなたの下の名前は無理しすぎな~?宙から見てても心配になります!
夢ノ咲学院の生徒
俺もそう思います。学生にとっては勉強も仕事ですし、たまには授業にもっと専念してみてはどうでしょうか?

みんなの雰囲気が、やけに優しくて。

その分、強くて。

跳ね返すことは出来なかった。
あなた
……そう、ですか。…分かりました。

そう言うと、Switchのみんなも安心したような顔をしていた。

夢ノ咲学院の生徒
それじゃあ、ボクたちのことは心配しないで休んでネ。子猫ちゃん。
あなた
…ありがとうございます。

3人にぺこりとお辞儀をし、レッスン室を後にした。






やることを失くした私は、あてもなく散歩を始めた。


適当に見つけたベンチに腰掛け、先ほどからやたらと鳴っていた携帯を開く。
あなた
…うわっ。
アイドルのみんなから、沢山のメッセージが届いていた。


内容はどれも同じ。

私の体調を心配してくれているのと同時に、プロデュースは暫くお休みしてほしいというものだった。
あなた
(…みんな、優しいなあ。)
あなた
(…今回のことは、みんなの中でそこまで大きな出来事だったのかな。)

気を遣ってくれることは嬉しい。

でも少し、心配し過ぎではないだろうか?


みんなが、私のことを心配してくれているのは分かっている。

が、同時に自分の能力や体力が信頼されていないような、この量の仕事は無謀なのだと思わせてしまったような感覚にもなって、途端に自分に自信が無くなっていた。
あなた
まあ、体調管理出来てなかった自分が悪いんだけど…

みんなに、無条件に頼って欲しい。

気なんて遣わず、頼ってもらって、それに必死に応えることが、大変ながらも好きだった。

やりがいを感じていた。

そういう性格なのだ。
あなた
(…これ、いつまで休めばみんなにまた頼ってもらえるのかな。)

携帯しているスケジュール帳を開く。
あなた
(プロデュースは、一旦お休み…)
あなた
(…スケジュール、スカスカになっちゃったな。)

どこか少し寂しい。

たった2日、体調を崩しただけなのに。

自分に与えられる仕事が一時的に無くなってしまったのだから。
あなた
あなた
(…私、動いてないと自分に価値が無い気がしちゃう。良くないなあ。)

だが、みんながこう言ってくれているのだ。

実際体調を崩したばかりである手前、自信を持って「無理をしても大丈夫だ」とも言えない。
あなた
(みかくんとの打ち合わせまで時間があるし…)
あなた
(…もう一回、図書室でも行こうかな。)

折角もらった時間を無駄にするのも違うだろう。

有意義に過ごすことが、今の私に出来る彼らへの恩返しだ。





そう、自分に言い聞かせながら、また図書室へ向かった。

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