あなたの下の名前side
休日後 翌朝
あの日、みかくんに看病してもらって、大事を取って昨日は学校を休んだ。
おかげで体温も平熱に戻ったし、久々にゆっくり休んですっきりした。
スケジュール帳を開いて今日の予定を確認する。
病み上がりとはいえ、私を信頼してプロデュースを任せてくれている皆の期待には応えたい。
今回、体調を崩してしまったことは、正直少しショックだった。
私には、この量の仕事は無茶なのだと突き付けられたように感じてしまったからだ。
それに、体調管理が出来なければ、昨日一昨日のようにレッスンの予定がズレてしまう。
自分の中で、伝える言葉を必死に考えて覚悟は決めたつもりだった。
自分の中で、考えの整理はついた。
私は自分を鼓舞し、学校へ向かった。
朝 教室
教室に入って早々、Trickstarのみんなが駆け寄ってきてくれた。
そこまで、みんなを心配させてしまっていたのだろうか。
今後は自分の体力を理解することも自身の課題だと感じた。
私の返事を聞いて、彼らはほっと安心したような表情になった。
みんなの気遣いは嬉しいが…スケジュール調整のためにみかくんに伝える覚悟も決めて来ていた分、少し出鼻を挫かれたような思いもあった。
朝の挨拶が恒例となっていた今、少し違和感を覚えていた。
午後 Switch レッスン室
私は久々にゆっくりと図書室で資料探しができ、充実感に包まれながらSwitchのレッスンに向かっていた。
_コンコン。ガチャ
みんなの雰囲気が、やけに優しくて。
その分、強くて。
跳ね返すことは出来なかった。
そう言うと、Switchのみんなも安心したような顔をしていた。
3人にぺこりとお辞儀をし、レッスン室を後にした。
やることを失くした私は、あてもなく散歩を始めた。
適当に見つけたベンチに腰掛け、先ほどからやたらと鳴っていた携帯を開く。
アイドルのみんなから、沢山のメッセージが届いていた。
内容はどれも同じ。
私の体調を心配してくれているのと同時に、プロデュースは暫くお休みしてほしいというものだった。
気を遣ってくれることは嬉しい。
でも少し、心配し過ぎではないだろうか?
みんなが、私のことを心配してくれているのは分かっている。
が、同時に自分の能力や体力が信頼されていないような、この量の仕事は無謀なのだと思わせてしまったような感覚にもなって、途端に自分に自信が無くなっていた。
みんなに、無条件に頼って欲しい。
気なんて遣わず、頼ってもらって、それに必死に応えることが、大変ながらも好きだった。
やりがいを感じていた。
そういう性格なのだ。
携帯しているスケジュール帳を開く。
どこか少し寂しい。
たった2日、体調を崩しただけなのに。
自分に与えられる仕事が一時的に無くなってしまったのだから。
だが、みんながこう言ってくれているのだ。
実際体調を崩したばかりである手前、自信を持って「無理をしても大丈夫だ」とも言えない。
折角もらった時間を無駄にするのも違うだろう。
有意義に過ごすことが、今の私に出来る彼らへの恩返しだ。
そう、自分に言い聞かせながら、また図書室へ向かった。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!