貧民街時代のある日___
私が椅子に座ってホットミルクを飲んでいた時だった
オペラさんが私の持っているコップに顔を近づけ、中に入っている液体の匂いを嗅いでくる。
オペラさんはまだクンクンとホットミルクの匂いを嗅いでいる。
気に入ったのかな?
オペラさんは地面にそのままドンッと座って飲んでいる。
なんだか微笑ましい。ジト目でこちらを見つめるのはやめてほしいが
彼はどうやら椅子に座るのが慣れないらしくて地面に直座りするのがいいらしい。
いやまだ見つめてくるんだけどーー
そんなに?え?まじか え?
ちょっと飲んじゃったから、コップ半分くらいの量だけど、足りるかなぁ
てかやだ!これって間接キスじゃない!?
えぇ〜〜〜ヤダなぁ~もう〜〜照れちゃうな
そんな、こんな乙女に粋なことを…
あ、普通に別のとこ口つけてるわ
ぷはっとオペラさんが飲みきったようだ。やっぱり気に入ったのかな
ちょっと腹が立った
そして今
イルマの食事を毒見するオペラさん。
このやりとりを見ているとなんだか心にくるものがある。
ちなみにオペラさんに私が毒見役をすると言ったら
すんごい顔で俺がやると言い始めたので私が退かざるを得なかった過去がある。
あれはすごかった。チビるかと思った。
心にくるのはこの出来事を思い出すからだと思う 多分
気づいたらオペラさんのコップが空になっていたので口直しのミルクを注ぎ足す。
貧民街時代では、受け答えが遅いなと感じていたが最近はなんだか普通に答えてくるので、少し寂しい。
_______
するとオペラさんはクソデカため息をついてこう言う
そう言うとオペラさんは眉間にシワを寄せる
「そんなものに縋り付いて」
そんなものってなんのこと
こちらに顔を背けながらおっしゃる。
そういうのは目を合わせて言うものなんですよ
ホットミルクが嫌ならもっと拒否することはできたはずだ。
それでも彼はそんなこと一回もしなかった。
でもこれは言わない。これ以上彼の気持ちを乱したくない
『ミルクを飲むと、胃に膜を張って刺激物から守ってくれる』
私もそんな存在になれたらいいな
でも、そもそもそんなことはありえない











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!