プロポーズから1年。
今日は今日で大事な日。
彼と、私の、パン屋さん。
店名は"Gypso"。
フランス語でカスミソウ。
ちなみに1号店Soleilはヒマワリだよ?
ずっとバイトしてたパン屋さんの2号店。
私はそこの店長さん。
崇裕先輩は、オーナーのお店と私のお店の経営戦略を立てるポジション。
だから、お店を行ったり来たり。
とにかく。
今日は私のパン屋さんの開店日。
従業員は紗菜ちゃんと紬。
紗菜ちゃんは私がパン屋やりたいって知って、隠れて勉強してくれてた。
店番も調理もできちゃう強い味方。
紬は中間先輩と結婚して仕事やめたけど、やっぱり仕事したい…って。
店番と経理をしてくれる。
小さいお店だけど、自分の店、持てた。
夢が叶った日。
大好きな人と一緒にやるお店。
ちょっと想像と違う形になったけど。
でも、仲間に支えられて、お店を持てて、本当に幸せ。
みんなでつまむお菓子。
なんか学生時代を思い出す。
なんていう雑談を少しして、開店準備に戻る。
もう少し惣菜パンの種類、増やしたいな。
…なんて考えながら、パンを並べていく
彼はわざと私の左耳に口を近づけた。
今度は右耳に近づいて、ささやいた。
顔から火が吹きそうなくらい、恥ずかしい。
なんてタイミングで言うんだろう…
謝りながらも私の頭をポンポンする。
そしてニコッと笑った。
私たちのパン屋がオープンします───
fin.













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。