あなたの下の名前side
目を覚ますとそこには、
久しぶりに見る
焦凍とエンデヴァーさんの顔があった。
でも何だか、
2人とも心配そうな顔をして、
此方を見つめていた。
隣には、ホークスさんも居た。
昨日 会ったばかりの
“ 戸籍上の ” 兄。
兄は居るか、と聞かれ、
咄嗟にホークスさんを
指差してしまったが、
ホークスさんは
私を認めてくれるだろうか?
目良さんという人に教わった。
ホークスさんのことは
“ ホークスさん ” ではなく、
“ お兄ちゃん ” と呼べと。
でも、其れと此れとは話が別だ。
ホークスさんが
私を認めた事にはならない。
急いで、“ 戸籍上の兄 ” と
関係性を言い直す。
ホークスさんが
くしゃっと顔を緩ませる。
笑ってる…………?
でもその表情は
笑ってる、と云うには
あまりにもお粗末で、
哀愁が漂った表情だった。
3年前……?
先刻、お医者様が言っていた通り、
本当に記憶喪失なのか……?
だとすると、
私とホークスさんは
兄妹になって3年。
“ 戸籍上 ” と云う表現は
あまりにも冷たすぎるのかもしれない。
雄英高校……
日本屈指のヒーロー育成校。
嬉しい……筈なのに
何だろう、これ。
悔しい?
哀しい?
怖い……?
焦凍に置いてけぼりにされるのが
怖いの……?
変な質問。
でも、聞きたかった。
焦凍の足を引っ張ってないか
迷惑をかけていないか
不安だった。
エンデヴァーさんの……
背後を取る?
先手を打つ?
そんなの、私じゃない。
私なんかに
そんな凄いこと出来るわけない。
今の私じゃ、駄目なんだ。
未来の私じゃなきゃ……
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
未来の私になれなくて
お兄ちゃん?
あったかい……
ふわふわする。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!