下水街。私が住んでいる街はそう呼ばれている。
まだ地上に出られていた頃─50年前も、差別されていた人々がここで暮らしていたという。
私達はその"差別された人々"の子孫なのだ。
地上探査官になれば給料も高くつく。
数十メートル歩いたところで、親友の一人、ゾーラに出会った。思わずかかとを浮かせて抱きつく。
これから私達が行くのは、地上探査官訓練学校。
もう一度地上を居住地とするため文字通り地上を探査する、地上探査官になるための学校だ。
濃紺の迷彩服に同じ柄のスカート。
確かに、見慣れないし可愛いとは言えないが私は好きだ。
二番街、三番街と書かれた標識を次々に通り過ぎる。エリオが住んでいるのは三番街だ。
コツコツと足音が聞こえる。
真後ろにいるエリオを睨みつける。
どう見ても悪役顔のエリオ。彼も私の古くからの親友だ。
この地下社会は狭いから、ほとんど皆顔見知りなのだけれど。
私達は会話をしながら歩き始めた。
取り留めのない言葉をつなげるごとに、笑いが起こったり起こらなかったり。つまらなかったり、そうでなかったり。
私達の中で会話が途切れることはほとんどない。
私達は今、扉の前に立っている。
ここを開けて通った先はもう下水街ではない。
正直この臭いには慣れた。
涙の膜が目に張り付いて喉が痛む。
もう一度振り返って叫ぶ。
三人、精一杯の勢いで扉を押した。















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。