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第2話

2.この街を抜けて
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2026/02/03 13:15 更新
下水街げすいまち。私が住んでいる街はそう呼ばれている。
まだ地上に出られていた頃─50年前も、差別されていた人々がここで暮らしていたという。
私達はその"差別された人々"の子孫なのだ。

チア
チア
(相変わらず汚いし、臭い…)


地上探査官になれば給料も高くつく。
チア
チア
(お母さんを安心させられるよね)

ゾーラ
ゾーラ
チア

チア
チア
ゾーラ!!


数十メートル歩いたところで、親友の一人、ゾーラに出会った。思わずかかとを浮かせて抱きつく。

ゾーラ
ゾーラ
どうしたの、いきなりやめてよ

チア
チア
…ああ、ごめんごめん

ゾーラ
ゾーラ
寂しくって、泣いたんじゃないよね?

チア
チア
泣いてないし!ずっと入学の日を楽しみにしてたんだから


これから私達が行くのは、地上探査官訓練学校。 

もう一度地上を居住地とするため文字通り地上を探査する、地上探査官になるための学校だ。

ゾーラ
ゾーラ
冗談だよ笑
それにしてもなんか見慣れないね、その制服
チア
チア
確かに…でもゾーラは似合ってる

濃紺の迷彩服に同じ柄のスカート。

確かに、見慣れないし可愛いとは言えないが私は好きだ。

ゾーラ
ゾーラ
あらありがと
ゾーラ
ゾーラ
とりあえず、早くエリオ達に合流しましょ

チア
チア
そうだね


二番街、三番街と書かれた標識を次々に通り過ぎる。エリオが住んでいるのは三番街だ。

チア
チア
エリオいないね
ゾーラ
ゾーラ
先行ったんじゃない?


コツコツと足音が聞こえる。

チア
チア
エリオぉ…
エリオ
エリオ
っ!

真後ろにいるエリオを睨みつける。

ゾーラ
ゾーラ
バレバレだったね、今回は
チア
チア
私のほうが一枚上手だったなっ!
ゾーラ
ゾーラ
この前後ろから押されて倒れてたくせに
チア
チア
ちょっとゾーラ!

エリオ
エリオ
ははっ、やっぱここでやるのは良くねえな
エリオ
エリオ
音が響く

どう見ても悪役顔のエリオ。彼も私の古くからの親友だ。

この地下社会は狭いから、ほとんど皆顔見知りなのだけれど。

ゾーラ
ゾーラ
エリオ、似合ってる


私達は会話をしながら歩き始めた。

エリオ
エリオ
?この制服か? どうも
チア
チア
良かったねえ制服あって
チア
チア
エリオ私服ダサいから
エリオ
エリオ
黙れや…
ゾーラ
ゾーラ
チアも人のこと言えないと思う
チア
チア
ゾーラ?!



取り留めのない言葉をつなげるごとに、笑いが起こったり起こらなかったり。つまらなかったり、そうでなかったり。

私達の中で会話が途切れることはほとんどない。

エリオ
エリオ
結構歩いたな
ゾーラ
ゾーラ
そうだね

エリオ
エリオ
…押すか

私達は今、扉の前に立っている。

ここを開けて通った先はもう下水街ではない。

チア
チア
もうしばらく戻ることはないね

チア
チア
くさいし、汚い

正直この臭いには慣れた。

チア
チア
でも、ここが私達のふるさとで私が好きな場所


涙の膜が目に張り付いて喉が痛む。

もう一度振り返って叫ぶ。


チア
チア
さよなら、また戻ってくるから!


三人、精一杯の勢いで扉を押した。



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