色んなトラブルが起きながらも、それぞれが自分たちの準備を進め、とうとう学校祭の日がやって来た。
残夢の格好は、推しのライブ会場に行くような、ピンクの半被にメッセージが書いたうちわやペンライトなど、見るからにオタクみたいな感じだった。
学園祭ってそんな格好で回るもんちゃうと思うねんけど…。
一緒に来た、亥織と梨が苦笑いしながら残夢の方を見る。
いつもは水も来るのだが、今回は風邪を引いて来れなくなってしまったらしい。
一眼レフを構えながら注意する梨に、亥織は気にもしてないような返事をする。
いや、こっちもこっちですごいな。写真って普通スマホちゃうんか?
学園祭当日、魅悪ちゃんから呼び捨てにされるようになってまだ日が浅いから少し驚きつつも、お客さんが来るまで教室で待機する。
私たちのテーマは、海賊。それに合わせて、金品を海賊船の中から探し出す、宝探しゲームにした。
私たちはNPCのような役割で軽くヒントなどを与える役だ。
受付でお客さんの案内をしている永が教室のドアを開けて、お客さんを中に通す。
お客さんはどんな人かな~………って。
兄ちゃんたちじゃん!!虚無家の人もいる~!
なんかオタクみたいな残夢さんは、見なかったことにしよう。
うん、気のせい気のせい。
ヒントは直接言わずに、セリフの中にさりげなく入れる。
これは、めたさんのアイデアね!流石いつも予算誤魔化してる人は違うな~。
結局ゆきねぇと十六夜様にバレて怒られてるけど。
手際よく、全部の宝物を見つけた兄ちゃんたちを見ていると、兄ちゃんが袋を渡してきた。
中を見ると、よく冷えたラムネが2本入っていた。
やった!もうすぐ受付と交代だから飲める~!
私たちのテーマは、アイドル。
アイドルと言えば、歌とダンスと言うことで2種類のゲームを用意してある。
一つは、カラオケ。サビの部分だけでどちらの方が点数が高いかを競う。
もう一つは、ダンスの完コピ。有名なダンスを完コピできるか挑戦するゲームだ。
後ろから、顔を顰めながらやってきた十六夜に苦笑しながら、スタッフとしてのルール説明を始める。
代表って事で、虚無さんが私とカラオケ勝負をすることになった。
虚無さん、歌うまいんだよな~…。勝てる気がしない。
虚無さんが選んだ曲が始まって、サビを歌う様子を見ていると、一瞬頭にノイズが走った。
多分、気のせいだろうと思いながら、マイクを受け取って、サビを歌う。
点数は最後に同時発表なので、どちらもドキドキしながら待たないといけない。
まさかの同点なのには驚いたけど、勝敗がつくより良いかもしれない。
悔しそうな顔をする虚無さん達を扉前までアイドルらしく見送る。
次はどこに行こうか決めかねていると、タイミング良く、宣伝に回っていた風霊に会った。
へぇ、風霊達のクラスはRPGか…。俺、ゲームはほとんどしないんだよなぁ…。
たま~に、残夢に2Pしようって誘われるけど下手くそすぎて話にならないし…。
風霊に案内されて、教室に向かうと入り口は洞窟のような雰囲気になっていて、かなり完成度が高かった。
すっごいな…。本当に洞窟の出口に向かうみたい…。
風霊と別れて、入り口に入ると案内役の魁斗が出迎えてくれた。
衣装も凝ってるんだなぁ…。さっきの風霊は忍だったけど、魁斗は魔法使いっぽい。
役職は、計4つ。
剣士、魔法使い、僧侶、武闘家。
うん、なんで風霊は忍の格好してたんだろう…。忍の役職ないじゃん!!
まぁ、残夢がなんだかんだ言いながら魔法使いを選択。
亥織は武闘家をやってみたいと言うことで、残った役職はたくやとジャンケンをして決めた。
剣士・珠紀、魔法使い・残夢、僧侶・たくや、武闘家・亥織のパーティーメンバーだ。
あからさまに風霊の工作道具に似ている。
上に、魁斗の不穏な発現に少々引っかかりを覚えつつ、何もないことを願いながら、教室内を進む。
ラスボスとして出てきた黒羽にそれぞれが渡された杖を構える。
雷マークのついたボタンを押すと、杖の先に静電気のようなバチバチとしたオーラが纏う。
その内に、黒羽は金属製のものを外して、避雷針のようなものを自分の少し前にセットしていた。
黒羽が倒れ、いつの間にか近くにいた魁斗が拍手を送る。
2人にねぎらいの言葉をかけてから、道具を返して、教室を出る。
ちょうど日が一番高い時間だからか、来たときよりもさらに暑くなっていた。
いやいや、本物のマフィアが何やっちゃってんの。
おもしれぇじゃねぇか!!!
教室に向かっている途中で、休憩中の久那さんと莉亜さんが話しかけてくる。
2人とはそんな話したことねぇんだよなぁ…。あぁ、別にそんなことねぇわww
久那さん幹部だし、莉亜さんセキュリティ得意だし。よくお世話になってましたわ。
さぁて、それは楽しみになってきましたねぇ…。
思う存分、からかってやろうじゃねぇのww
と、思っていたのが5分前…。
受付を済ませて、いざみんなで教室に入るといかにも柄が悪そうな男共が床に転がっていた。
いや、え?そういうお店?
唖然とする俺たちに髪をハーフアップにして紫色のチャイナドレスを着た青葉さんが状況を簡単に説明してくれた。
なんでも、ヤンキーの方々が青葉さんに手を出そうとしたところを、一緒に当番をしていたまれいさんとゆきさんにボコボコにされたところだったらしい。
ちなみに、青葉さんもムカついて一緒に蹴散らしたらしいけど。
ゆきさんの姿を探していると、赤いチャイナ服に黒い小さめのサングラスをかけた春乃さんが先生を連れてやってきた。
後ろには薄紫色から青にグラデーションされたチャイナドレスを着たゆきさんもいる。
倒れていたヤンキー達を先生方が運んでいって、少しした後、軽くゲームの説明をしてくれた。
このクラスのゲームはカジノ。
手持ち金5000円をどれだけプラスに出来るか挑戦するゲームらしい。
3ゲームでそれぞれの担当と勝負するらしい。
ちなみに、
青葉さんがポーカー
まれいさんが丁半
ゆきさんがルーレット らしい。
春乃さんはプレイヤーの手助けをする助っ人キャラだそうだ。
暗い室内の中で笑っている3人の幹部の目が、怪しげに光った気がした。

































編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。