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第1話

白い光は、戻らなかった
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2026/01/25 14:30 更新
本作は、Part1『七人で生きる』第90話から続く物語です。

Part1のコメント欄にて「Bad Endのお話も読んでみたい」というお声をいただき、その想いをきっかけに、本作を書かせていただくことにしました。

物語の流れや登場人物の想いをより深く感じていただくためにも、ぜひPart1から読んでいただけると嬉しいです。



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集中治療室の前は、異様なほど静かだった。
天井の蛍光灯が白く照らし、消毒液の匂いが鼻につく。

一定のリズムで聞こえていたはずの機械音が、ふいに乱れた。

——ピピッ、ピピッ、ピピッ。

一つ、また一つ。
違う方向から、ほぼ同時に警告音が重なる。

和也が顔を上げた瞬間、扉が勢いよく開いた。
看護師
血圧落ちてます!
看護師
心拍不安定!
看護師
先生呼んできて!
看護師たちが慌ただしく行き交い、次々と中へ吸い込まれていく。
白衣の裾が翻り、扉が再び閉まった。
大吾
……え、今の……
返事はなかった。
丈一郎は無意識に拳を握りしめていたが、力が入らない。

恭平は状況が分からないまま、丈一郎の服を掴む。
恭平
……じょうにぃ
恭平
なんか、へんな音……
丈一郎は答えられず、ただ前を見つめた。

——嫌な予感だけが、胸の奥に沈んでいく。

扉の向こうからは、声が聞こえる。
専門用語が混じり、何を言っているのか分からない。
ただ、必死なのだけは伝わってきた。

時間の感覚が、完全に失われていた。

誰かが座れと言った気もする。
水を持ってきてくれた気もする。
けれど、誰一人、口をつけなかった。

ただ待つしかなかった。



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どれくらい経ったのか分からない。
扉が、ゆっくりと開いた。

出てきた医師の顔を見た瞬間、丈一郎の背中を冷たいものが走った。

視線を逸らさない。
言葉を選ぶ前の、あの間。
医師
……申し上げます
4人は、同時に立ち上がった。
医師
最善を尽くしました
医師
ですが……
一拍、間が空く。
医師
三名とも、蘇生には至りませんでした
その言葉は、淡々としていた。
責任を果たすための、正確な説明だった。
和也
……は?
声が、ひどく小さかった。
医師
心停止を確認し
医師
この時間をもって、死亡と判断しました
理解が追いつかない。
大吾
……ちょ、待って
大吾
意味……意味分からん……
医師は視線を落とし、静かに頭を下げた。
医師
申し訳ありません
その瞬間、和也の膝が崩れた。
和也
……嫌や……
和也
そんなん……急すぎるやろ……
床に手をつき、呼吸が乱れる。
泣き声というより、息がうまくできていなかった。

丈一郎も、その場に座り込む。
丈一郎
……俺が……
丈一郎
俺が一緒に行ったのに……
声が震え、最後まで言葉にならない。

大吾は立ったまま、動けずにいた。
唇を噛み、涙が無言で落ちていく。
大吾
……助かるって……
大吾
思ってた……
恭平は、ただ泣いていた。

状況も、言葉の意味も、完全には分からない。
それでも、何か取り返しのつかないことが起きたことだけは分かっていた。
恭平
……りゅう……?
恭平
もう……おきひんの……?
誰も答えられなかった。




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医師は必要な説明だけを残し、静かにその場を離れた。
白い廊下に残されたのは、4人だけ。

泣き声は次第に弱くなり、代わりに重い沈黙が落ちる。

丈一郎は床を見つめたまま、動かない。
長男として、何もできなかった現実が、じわじわと胸を締めつける。

和也は声を失い、肩だけが小刻みに震えていた。

大吾は壁にもたれ、天井を見上げる。
涙が止まらないのに、拭う気力もない。

恭平は、その場にしゃがみ込み、嗚咽を漏らす。
恭平
……みんな……
恭平
おうち……かえろ……
帰る場所は、もう同じ形では存在しなかった。

白い光に照らされた廊下で、
取り残された四人は、泣きながら立ち尽くすしかなかった。

時間だけが、容赦なく先へ進んでいく中で。




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Part1
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サブ垢で新作を書いたのでご覧いただけると嬉しいです❤︎

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