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第1話

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2024/03/13 10:53
うるさいニワトリの声で目が覚める。
今まで住んでいた場所ではニワトリの声なんて聞こえなかった。
うるさい。
______
鳴!起きなさい!学校遅れるよ!
深瀬鳴
もう起きてるってば
何でこんなとこに来てしまったんだろう。こんな何もない田舎に。
______
そこに学校で必要なもの置いてあるから着替えて学校に行ってね。
せめてもの抵抗として返事はせずに制服に着替える。田舎特有のだっさい学ランに腕を通す。
まだ早いけど、電車が通ってないらしいからもう家を出るしかない。
都会だったらこんなことなかったのに。めんどくさい
お母さんの『行ってらっしゃい』をまた無視して家を出る。
古ぼけた街並み、無駄に生い茂った木々、赤錆びた電車が来ない線路と駅。
それら全てがこの地の寂しさを出している。
徒歩約1時間。学校に着いた。学校もまた、田舎特有の雰囲気を醸し出している。
ホームルームの時間、先生が入っていくと生徒は静かになる。
______
今日は転校生がいます。
深瀬鳴
深瀬鳴です。
小さく一礼して先生が教えてくれた席に座る。
天宮紬
俺、天宮紬!よろしくな!
隣の席のやつが早速声をかけてくる。何だこいつ。
天宮紬
鳴はどこから来たん?
深瀬鳴
関東
天宮紬
マジか!すっごい都会やんシティーボーイってやつ?
______
天宮、まだ休み時間ちゃうぞ〜?
すんませーんと謝る気も反省する気もないような謝罪をしている。でも、先生も怒るわけでもなく笑っている。
______
紬相変わらずやな
クラスメイトの奴らも心底愉快そうに笑っている。
______
今日の連絡事項は以上だ。天宮、号令。
天宮紬
はーい。きりーつ気を付け〜礼〜。
______
ありがと〜ございました〜
なんと、天宮紬というやつは学級委員長のようだ。
まじか。
天宮紬
なぁ、鳴〜?
こいつ、、馴れ馴れしすぎだろ。距離近いな。
田舎ってこんなもんか?
天宮紬
なーるーさーん?
深瀬鳴
やけに馴れ馴れしいな
天宮紬
あ、やっと反応してくれた〜!
目は細められていて小柄な体をぴょんぴょんと跳ねさせて全身で嬉しさを表現している。
天宮紬
俺、このクラスの学級委員やけんわからんことあったら何でも聞いてな!
天宮紬
わかる範囲なら答えるわ!
深瀬鳴
大丈夫。聞かなくても何とかなる。
連れないなぁと天宮は苦笑する。
その姿を見て、少し可愛いと思ってしまった。
______
紬!ちょっと来てくれる?
天宮紬
ちょっと待ってな、今行くわ!
天宮紬
すまん鳴!呼ばれたけん言ってくるわ!
天宮はクラスメイトのところまで全力疾走をする。人って見かけによらないんだなぁと感じる。
______
あいつ意外と真面目なんやなって思ったやろ?
天宮がどっかに行ったあと別のクラスメイトがやってくる。
深瀬鳴
あぁ、まぁそりゃ
______
昔のあいつやばかったけんな。
マジで真面目な権化やったよ。
深瀬鳴
へぇ、、
あんなやつにそんな時代があったことに内心びっくりする。失礼だとは分かっていても意外だと思っている自分がいる。たかが10分しか一緒にいないのに。
______
あいつは今でも真面目なやつやで。
不真面目なフリしとるだけのな。
深瀬鳴
ふーん。
俺は少し、この生活もいいなと思い始めていた。

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