第4話

第三話︰芽生える悪意と、恥辱の始まり
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2026/08/07 21:18 更新
​春。新しいランドセルに身を包み、小学校の門をくぐった主人公の学校生活は、最初はごく穏やかに始まった。
​朝のホームルーム。最初の簡単な授業でのことだ。
先生が黒板に書いた簡単な計算問題や国語の読み方に、クラスの子供たちが首を傾げる中、前世の記憶を持つ主人公は難なくスラスラと手を挙げて正解を導き出した。
担任の先生
おっ、あなたの下の名前ちゃん素晴らしいですね! よくできました!
先生に笑顔で褒められ、クラスのあちこちから「すごーい」「頭いいんだね!」という声が上がる。
その日の放課後も、まだ周りとの溝は深くなく、ルビーと一緒に同じ下校路を歩きながら今日あった楽しかったことをおしゃべりしていた。
星野ルビー
ねえねえ、今日の授業であなたの下の名前ちゃんすぐ答えられたのカッコよかった! 私も負けないぞ〜!
星野アクア
……お前はまず漢字のドリルを終わらせろよ
星野ルビー
もう! アクアはすぐそういうこと言う!
他愛のない会話をしながら、笑い合って家に帰る。家族と過ごす日常はまだ眩しく、学校生活も「少し目立つけれど普通の小学生」の枠内に収まっていた。
​――だが、その「平穏」は、春の終わりから少しずつ狂い始める。
​何度か授業で先生に褒められ、テストでも良い点を取ると、クラスの女子グループの間でひそひそと不穏な空気が流れ始めた。
彼女たちにとって、主人公の何気ない言動や隠しきれない才能・美貌は、自分たちのプライドを脅かす「鼻につく存在」でしかなかった。
​(どうにかして、あいつの鼻をへし折ってやりたい)
​そう企んだクラスメイトの女子グループは、ある日の春の授業中、クラス全員の前で主人公に盛大な恥をかかせるための罠を仕掛けた。
​その日、算数の黒板の発表の授業。
担任の先生に指名され、主人公がスルスルと見事に難しい応用問題を解き終えたときだった。
教室の隅から、主犯格のぶり子がわざと大げさな溜息をつき、周囲に聞こえる声で声を張り上げた。
ぶり子
ねえ、待って。それって昨日、お母さんの知り合いの塾で教えてもらったから解けただけじゃないの? 前から思ってたけど、自分で考えてるふりしてズルいよね
ぶり子の取り巻き
えっ、そうなの? なんか毎回できるアピールして、先生に媚び売ってるだけじゃん!
ぶり子
めっちゃカッコつけてるけど中身カンニングみたいなもんでしょ? 超ウケるんだけど!
突然のことで、教室の空気がざわめく。
もちろん完全な言いがかりであり、予習と自前の知識で解いたものだったが、クラスメイトたちは「やっぱりあいつは裏でずるいことをしているプライドの高い見栄っ張りだ」と勝手に納得し始めた。
​そして、トドメとばかりにクラスメイトAは、主人公の机の引き出しからノートを無理やり引っ張り出し、皆の前でそのページをびりびりと引き裂いた。
ぶり子
ほら、先生の前では優等生ぶってるくせに、本当はこんな裏技ノート隠し持ってんでしょ? みんなも、こいつの言うこと真に受けないほうがいいよ。ただの嘘つきで、計算高いぶりっ子なんだから!
​教室中に響く嘲笑の声。
向けられる冷ややかな視線と、バカにするようなヒソヒソ声の数々。
完璧であるはずの主人公が、皆の前で「ずるい嘘つき」として赤っ恥をかかされるその瞬間、女子グループは満足げな笑みを浮かべていた。
その場に立ち尽くし、嘲笑を浴びせられながらも、主人公は表情一つ変えず、ただスッと綺麗に微笑んで見せた。
あなた
……ごめんね、気を付けるね
​あえて従順に、作り笑顔で頭を下げる。
けれど、その胸の奥では、カチリと冷たい音がして何かが決定的に歪んでいた。
​まだこの頃は、恥をかかされたり陰口を叩かれたりする程度の「小さな嫌がらせ」でしかなかった。
しかし、この春の終わりに女子グループが味方を巻き込んで仕掛けた「侮辱と孤立の罠」は、やがて来る灼熱の夏に向けて、さらなる悪意の炎を燃え上がらせていくのだった。
ここまで読んでくれてありがとう、次回からは夏の二学期、夏休み編になります!またね!

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