ナミは苛立ちを発散させるためにルフィの身体を海へ落とそうと、強く押した。
当然、ルフィは慌てて抵抗する。
痛みが消えたわけではないだろうが、ゾロはそんな二人の様子に傷の痛みも忘れて高笑いした。
ルフィとナミが騒がしくしている間、シャルがララに声をかけた。
彼女が表情を歪めて声を漏らす。
何もシャルが言わないのでララは宝珠の力を使ったことがバレていないと思っていた。
眠たそうにしている彼女を見て察したのだろう。
ララは口篭った。
二十歳を過ぎた女性がこの小さな黒猫に怒られている。
異様な光景だ。
ララがそう言った途端、海は大きく揺れた。
風もなく、下から突き上げるような揺れだった。
嵐とかそういう類ではないことは、ルフィ達にもすぐわかった。
——ザバーン!——
大きな水飛沫を上げてその揺れの源は勢いよく四人の前に姿を現す。
青く透き通った神話でしか見聞きした事ない大きな龍が。
あんぐりと口を開けて絶句する三人。
それはそうだろう。
龍など神話の世界の生き物だ。
誰も実在するものとは思うはずがない。
彼奴の船というのは白ひげの船、モビー・ディック号のことを言っているのだろう。
自分が去った後も家族が安全に暮らしているのか、ララは少し心配だった。
彼等が強いことはよく知っている。
心配する必要など本来はないはずだ。
だが、それでも心配なのだろう。
大好きな人たちが暮らす船なのだから。
水龍が去り際に放ったその言葉はララを安心させた。
水龍が去ると、絶句していたナミがようやく口を開いた。
興奮気味にララへと問い詰めるが、暢気なルフィの声がそれを遮断する。
ナミの拳が彼の頭に強く当たるが、ゴムに打撃は効かない。
平然とした顔がさらに彼女を苛立たせる。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!