第6話

続き
922
2025/04/08 10:03 更新

前回の続き(B軸条太)です!🎶 奇妙な同棲生活九日目のお話になっています


太宰治
「……なにこれ」
机に設置された小型の機械を見つめながら聞いた。白く、しかし真ん中に眼のような黒いものがついていて……
条野採菊
「所謂監視カメラですよ。今日は遅くなりますから、貴方が変な事をしないように。」
赤いマントを羽織りながら条野さんが答える。こんなに小さく、そして堂々としている監視カメラは初めて見た。

こんなので僕を監視できるとでも?随分と舐められたものだ。
太宰治
「ふーん」
興味無さそうに返事をしてそのままソファに寝っ転がった。今日は帰るのが遅くなるらしいし、お留守番は僕とこのポンコツ機械だけ。

久しぶりに自殺できる機会だ。今回こそは成功して見せよう
条野採菊
「それじゃあ行ってきます。くれぐれも、変なことはしないように」
太宰治
「はあい」
そうして条野さんが出ていくのを見届けた後、早速行動に移した。自殺できる方法は限られているし、これ以上生き延びて赤ちゃん扱いもされたくない。

必ず死ねる、欲を言うなら苦しまずに死ねる方法は……
太宰治
「首吊りかなあ」
条野さんが普段制服に使っているベルトを手に持って、にこりと笑った。実は少し前に拝借していたのだ。今日この日のために
太宰治
「当日に拝借するとバレるもの」
実際に、拝借した時はベルトの行方を尋ねられたが、上手くはぐらかしてやった。伊達にポートマフィアの首領をやっていた訳じゃあない。
太宰治
「〜♪」
鼻歌を歌いながら準備を進めている。ドアノブにベルトを巻いてしっかりと解けないようにした後、丸く結んだベルトの穴にゆっくりと首を通した
そして後は体重を……
こら
そこで、どこからか制止の声が入った。……条野さんだ、でもどうして?
太宰治
「仕事に行ったはずじゃ……」
そう言って玄関の方を振り向いた。が、そこにはまだ誰もいない。それじゃあ一体何処から?
条野採菊
「ここです」
右後ろで声がした。ゆっくりと音を辿ると、目線の先には小さな小さなポンコツ機械が。
太宰治
「条野さん、すっごい小さくなったね……うちの犬そっくりだ…」
条野採菊
「貴方わかってて言っているでしょう」  
太宰治
「それにしても凄いね。まるで条野さん本人がいるみたいだ。」
声が立体的過ぎて逆に気持ちが悪い。声はそこにあるのに姿が無いので、まるで幻聴のような錯覚を覚える。
条野採菊
「えぇ。猟犬内でもきっての技術を持つ部下達を集めて作られたものですから。」
太宰治
「これだけの為に?技術無駄使い上司じゃないか。」
コンコンとポンコツ機械を叩いてみると、少し軽そうな金属音がした。多分、僕がわざと落としても壊れないようにしているのだろう。

先回りばかりされて気味が悪い。その役は僕の役であるべきなのに。
条野採菊
「とりあえず、良い子で待っていて下さい。もうすぐ帰りますから。」
太宰治
「帰ってこなくていいよ」
そんな会話と同時にぷつん、と何かが切れる音がした。声を掛けても反応がなかったので、接続が切られた音なのだろう。
こちらからは向こうの様子を確認する事ができないので、下手に動くのはあまり宜しくない。それでこそ自分の首を絞める行為と同じだからだ。

そんなこんなで、束の間のひとりぼっち(と一体)を過ごしていた。
時刻は日付を跨いで丑三つ時。正に真夜中。
家の明かりも殆ど消えてしまっており、星の光だけが外を支配していた。
太宰治
「……遅くない?」
カーテンの隙間から見える小さな景色を見上げながら、そんな事を呟いた。普段は二十時には帰宅してくるというのに、流石にこれは遅過ぎる。

鬱陶しいくらいに眩しい天井の電球は、眠気を刺激して瞼を痙攣させた。床に座りながら、ポンコツ機械が置かれている机に頭を預ける。
太宰治
「……う」
驚かせてやろうと思った。些細な日常の仕返しをしようと思った。赤ちゃん扱いを始めたのは向こうなのだから、少しくらい年齢に見合わない行動をしたって許されるだろう。
太宰治
「は、はは……首領だった頃は徹夜なんて当たり前だったのにね…」


どうしても人間という種族である以上、寝ている間は意識を手放して無防備な姿だ。命を狙うことなんて容易い。

だというのに、ここは安全だと、守られているんだと意識の底から囁かれてしまって、数日足らずで人間らしい生活に戻ってしまったのだ。

条野の赤ちゃん扱いによる副産物、とも言えるだろうか。
太宰治
「……ねぇ、まだ帰ってこないの」
太宰はポンコツ機械兼、条野と繋がる電話機器に話し掛けた。

眠気で睫毛が降りては、視界を少しずつ黒に染め上げている。太宰の意識もギリギリで、悪戯心だけが彼の帰宅を待つ為の理由になっていた。
太宰治
「……条野さん」
太宰がこんな姿を見せるのは初めてだった。

今まで記憶でしか知らなかった愛情や暖かさを、太宰は知ってしまったのだから。経験してこなかった幼少期時代を今更なぞっていた。

太宰の願いが届いたのか玄関から物音がした。
条野採菊
「おや、まだ起きてたんですか?」
少し肌寒い空気を纏いながら、条野が帰宅した。大きく驚いた訳ではなかったが、予想外の出来事に疑問を抱いている条野が見れたので満足である。
太宰治
「遅すぎるよ。自分から僕を見殺しにする気?」
そう言って、九日目にしてようやく少しばかりの悪戯が成功した。


閲覧ありがとうございますー!🫶
Twitterの相互様のネタをお借りして書いたものです!いやほんとに素晴らしすぎませんか????
最近小説書くものがないので、よかったらCPとシチュのリクエストくれると嬉しいです🥲
(私が太宰さん右しか書けないので、そこだけはご了承ください……🙏)

それではまた!

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