前回の続き(B軸条太)です!🎶 奇妙な同棲生活九日目のお話になっています
机に設置された小型の機械を見つめながら聞いた。白く、しかし真ん中に眼のような黒いものがついていて……
赤いマントを羽織りながら条野さんが答える。こんなに小さく、そして堂々としている監視カメラは初めて見た。
こんなので僕を監視できるとでも?随分と舐められたものだ。
興味無さそうに返事をしてそのままソファに寝っ転がった。今日は帰るのが遅くなるらしいし、お留守番は僕とこのポンコツ機械だけ。
久しぶりに自殺できる機会だ。今回こそは成功して見せよう
そうして条野さんが出ていくのを見届けた後、早速行動に移した。自殺できる方法は限られているし、これ以上生き延びて赤ちゃん扱いもされたくない。
必ず死ねる、欲を言うなら苦しまずに死ねる方法は……
条野さんが普段制服に使っているベルトを手に持って、にこりと笑った。実は少し前に拝借していたのだ。今日この日のために
実際に、拝借した時はベルトの行方を尋ねられたが、上手くはぐらかしてやった。伊達にポートマフィアの首領をやっていた訳じゃあない。
鼻歌を歌いながら準備を進めている。ドアノブにベルトを巻いてしっかりと解けないようにした後、丸く結んだベルトの穴にゆっくりと首を通した
そして後は体重を……
そこで、どこからか制止の声が入った。……条野さんだ、でもどうして?
そう言って玄関の方を振り向いた。が、そこにはまだ誰もいない。それじゃあ一体何処から?
右後ろで声がした。ゆっくりと音を辿ると、目線の先には小さな小さなポンコツ機械が。
声が立体的過ぎて逆に気持ちが悪い。声はそこにあるのに姿が無いので、まるで幻聴のような錯覚を覚える。
コンコンとポンコツ機械を叩いてみると、少し軽そうな金属音がした。多分、僕がわざと落としても壊れないようにしているのだろう。
先回りばかりされて気味が悪い。その役は僕の役であるべきなのに。
そんな会話と同時にぷつん、と何かが切れる音がした。声を掛けても反応がなかったので、接続が切られた音なのだろう。
こちらからは向こうの様子を確認する事ができないので、下手に動くのはあまり宜しくない。それでこそ自分の首を絞める行為と同じだからだ。
そんなこんなで、束の間のひとりぼっち(と一体)を過ごしていた。
時刻は日付を跨いで丑三つ時。正に真夜中。
家の明かりも殆ど消えてしまっており、星の光だけが外を支配していた。
カーテンの隙間から見える小さな景色を見上げながら、そんな事を呟いた。普段は二十時には帰宅してくるというのに、流石にこれは遅過ぎる。
鬱陶しいくらいに眩しい天井の電球は、眠気を刺激して瞼を痙攣させた。床に座りながら、ポンコツ機械が置かれている机に頭を預ける。
驚かせてやろうと思った。些細な日常の仕返しをしようと思った。赤ちゃん扱いを始めたのは向こうなのだから、少しくらい年齢に見合わない行動をしたって許されるだろう。
どうしても人間という種族である以上、寝ている間は意識を手放して無防備な姿だ。命を狙うことなんて容易い。
だというのに、ここは安全だと、守られているんだと意識の底から囁かれてしまって、数日足らずで人間らしい生活に戻ってしまったのだ。
条野の赤ちゃん扱いによる副産物、とも言えるだろうか。
太宰はポンコツ機械兼、条野と繋がる電話機器に話し掛けた。
眠気で睫毛が降りては、視界を少しずつ黒に染め上げている。太宰の意識もギリギリで、悪戯心だけが彼の帰宅を待つ為の理由になっていた。
太宰がこんな姿を見せるのは初めてだった。
今まで記憶でしか知らなかった愛情や暖かさを、太宰は知ってしまったのだから。経験してこなかった幼少期時代を今更なぞっていた。
太宰の願いが届いたのか玄関から物音がした。
少し肌寒い空気を纏いながら、条野が帰宅した。大きく驚いた訳ではなかったが、予想外の出来事に疑問を抱いている条野が見れたので満足である。
そう言って、九日目にしてようやく少しばかりの悪戯が成功した。
閲覧ありがとうございますー!🫶
Twitterの相互様のネタをお借りして書いたものです!いやほんとに素晴らしすぎませんか????
最近小説書くものがないので、よかったらCPとシチュのリクエストくれると嬉しいです🥲
(私が太宰さん右しか書けないので、そこだけはご了承ください……🙏)
それではまた!












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!