ふと目を覚ましたヨンボクが、ぼんやりと天井を見つめる。
身体の奥にじんわりと残る熱と、肌にまとわりつくシーツの感触_______
昨夜の記憶が一気に蘇り、思わず顔を覆った。
隣にいるはずの温もりがないことに気づいて、目をこすって起き上がると______
部屋の片隅から、微かにカリカリ……と音が聞こえた。
シーツを引きずったまま音のする方へ顔を向けると、
そこには、ズボンだけを穿いたヒョンジンが、鉛筆を走らせていた。
声をかけると、ヒョンジンは少し驚いたように振り返えった_______
その手元には、広げられたスケッチブック。
シーツをまとって眠る“今の”ヨンボクの姿が描かれていた。
芸術と呼べば、確かに間違いなく芸術なのだろう。
でも______紙に書かれた、事後を物語るような、力の抜けた自分に、ヨンボクの頬みるみる朱く染まった。
ヨンボクは枕をつかんで、ヒョンジンをバシバシ叩く。
ヒョンジンは笑いながら「ごめん、ごめんってばㅋㅋㅋ!」と身をよじる。
その拍子に、机の上に積まれていた紙の束がバサッと音を立てて床に落ちた。
怒りながらも思わず手を止めたヨンボクが、床に散らばった紙を覗き込む。
そこには、たくさんの“自分”がいた。
笑っている顔。
お弁当を頬張り、楽しそうにしている顔。
踊りに夢中になっている瞬間も、
眠りに落ちた姿も。
美術室の窓辺から空を仰ぐ_____
静かな横顔も。
丁寧に、丁寧に、彼の線で描かれている。
後ろから、ヒョンジンの腕がそっとヨンボクを包む。
まだ温もりの残る裸の肌が、背中越しに触れて、息が止まる。
ヨンボクは顔を伏せるようにして、小さく呟いた。
正確に言うと、“怒っている”というより“恥ずかしい”に近いだろう。
でも、素直になれなくって、むくれたフリをする。
ヨンボクは少し考えてから、ヒョンジンのスケッチの中でいちばん笑っている自分の絵を拾い上げた。
ヒョンジンがふっと微笑んで、ヨンボクの頬にキスを落とす。
ヨンボクの頬がますます赤く染まり______
でも_______
ヒョンジンの腕に抱かれたまま、嬉しそうに、目を細めて笑った。

















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!