初めてのLIVE配信
ショーケース準備期間、
夜。
スタジオの照明は落として、
デスクライトだけを点ける。
スマホを固定して、
角度を何度も調整する。
「……これで、いいか」
誰に聞くわけでもなく、
小さく呟く。
SEVENTEENは海外。
スングァンもいない。
今、
本当に一人。
⸻
🔴SiuさんがLIVEを開始しました。
その通知が出た瞬間、
画面にコメントが流れ始める。
「待ってた!」
「初配信おめでとう!」
「一人?」
「声聴けて嬉しい」
思った以上の速さに、
一瞬、言葉を失う。
「……こんばんは」
少し、
緊張した声。
「初めての、
ライブ配信です」
軽く頭を下げる。
⸻
Shardsとの距離
コメント欄が、
優しい。
「緊張してるの可愛い」
「ゆっくりでいいよ」
「今日もお疲れさま」
その言葉に、
胸が、
じんわり温かくなる。
「……ありがとう」
「実は」
一度、
言葉を切る。
「今、
ショーケースの準備中で」
「一人で練習してる時間が多くて」
正直な言葉が、
自然と出た。
⸻
本音
「ちょっとだけ……
寂しいです」
言った瞬間、
後悔するかと思った。
でも。
「ここにいるよ」
「一人じゃない」
「Shards、全員集合」
画面が、
一気に埋まる。
Breathモードの
ペンライト絵文字が流れる。
Siuは、
小さく笑った。
「……ありがとう」
⸻
小さな歌
「今日は、
短くでいいなら」
そう前置きして、
アコースティック音源を流す。
「Under the Same Sky」
サビ前まで。
声は、
静かで、
近い。
息遣いまで、
届く距離。
歌い終わると、
しばらく沈黙。
そして、
コメントが溢れる。
「泣いた」
「夜に聴く声じゃない」
「そばにいるみたい」
⸻
配信の終わり
「……今日は、
ありがとう」
「こうして話せて、
少し楽になりました」
画面を見つめて、
最後に言う。
「Shardsがいるなら、
大丈夫だって思えた」
軽く手を振る。
「おやすみなさい」
⸻
配信終了後
スマホを置いて、
深く息を吐く。
さっきまでの静寂が、
少し違って感じる。
「……一人じゃなかったな」
そう呟いて、
小さく笑った。
画面越しでも、
確かに届いた。
欠片は、
ちゃんと、
ここにあった。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。