第31話

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2026/01/23 14:48 更新













数日後。
やっと熱も抜けて、喉も“声”として戻ってきた夜。

部屋は静かで、スマホの画面だけが淡く光ってる。
連絡先の一番上――兄、スングァン。

指が、少しだけ躊躇う。
ショーケースのこと、声が出なくなったこと、
最後に戻った瞬間のこと。
伝えたいことは山ほどあるのに、
一言目が、どうしても決まらない。

深呼吸して、通話ボタンを押した。

……数秒のコール音。

「もしもし?」

聞き慣れた声。
それだけで胸の奥が、きゅっとなる。

「……スングァニヒョン」

一瞬の沈黙のあと、少し柔らかくなる声。

「回復したんだな」

それだけで、全部お見通しみたいで。
Siuは小さく笑って、ベッドに背中を預ける。

「うん。ちょっと寝すぎたけど」

「ショーケース、映像で見た」

心臓が、どくんと鳴る。

「……どうだった?」

また少しの間。
海外の夜の向こうで、スングァンが息を吸う気配。

「正直に言うぞ」

「うん」

「……最後の曲、声戻った瞬間」

声が少し、詰まる。

「画面越しなのに、泣いた」

その一言で、喉の奥が熱くなる。

「よく耐えたな。
一人で、あそこまで」

「一人じゃないよ」

思わず、即答してた。

「Shardsがいたし……
ヒョンがいない分、ちゃんと光らなきゃって」

短い沈黙。
それから、少し照れたような笑い声。

「それ、ヒョンに言うセリフか?」

「……スングァニヒョンだから言うんだよ」

また、静かになる。

「次は」

スングァンの声が、はっきりする。

「俺が客席で、Shardsと一緒に振る」

「ペンライト?」

「ああ。割れてても光るやつ」

Siuは、目を閉じて微笑む。

「約束だよ」

「約束」

通話が終わっても、胸の奥は温かいまま。
Shardsの光と、ヒョンの声が、
同じ場所で静かに呼吸していた。












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