第4話

彼が奏でてくれたおといろ
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2021/04/02 08:17 更新

何の変哲もない日々が続いて一年。


私は、お風呂から戻ると、部屋のドアに1枚の紙が挟まっていた。


「明日、空けておいて」

と書かれたメモ紙だった。恐らく、大和からの手紙だろう。


何の用なのか、私は高鳴る胸を撫で下ろし、眠りについた。


* * *


朝の気持ち良い光が部屋に差し込む。

私はベッドから体を起こした。軽く身支度を済ませ、大和の部屋をノックする。




音峰 紗妃
音峰 紗妃
大和、何の用?
崎津 大和
崎津 大和
入って

そう言われ、私は大和の部屋に入る。

一年経っても相変わらず殺風景な部屋だ。

崎津 大和
崎津 大和
聞いて欲しい曲がある
音峰 紗妃
音峰 紗妃
……私に?
崎津 大和
崎津 大和
ああ


大和はそう言うと、部屋を出た。私は、急いで大和の後を追う。


彼が向かった先は、1階の共同スペースにあるピアノ。

初めて彼のおといろを聴いた時の光景が脳裏に映し出される。




崎津 大和
崎津 大和
今から俺が弾くのは、俺が紗妃に作った曲。どんなおといろをイメージしたか聞かせてほしい
音峰 紗妃
音峰 紗妃
う、うん

そうして、彼は手をピアノに伸ばし、優しいタッチで音を奏で始めた。

どこか寂しげで、儚く聞こえる音。

どうしてこんな音を奏でるのだろう……と思っていると、転調した。

少し明るい音色が見える気がする。


何とも言葉では言い表すことの出来ない感動が私の身体を包み込んだ。


しばらく夢中になって聴いていると、彼の手がピアノから離れた。



崎津 大和
崎津 大和
どう…だった?
音峰 紗妃
音峰 紗妃
凄く綺麗だった。私がこの曲から感じたおといろは虹色。様々な感情が入り交じって、ひとつの言葉じゃ表しきれないような音楽の素晴らしさを感じた。


私は様々な感情を色に置き換え、様々な色が合わさった虹を想像した。

この曲にピッタリだと思う。

崎津 大和
崎津 大和
そうか。じゃあ、この曲名は虹にしよう
音峰 紗妃
音峰 紗妃
私にも演奏させて、この曲。
崎津 大和
崎津 大和
もちろん


そうして、私は大和とともにこの曲を弾いた。


この時は、この曲に込められた全ての意味など知る由もなかった。

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