第16話

第14話 静謐の騎士 - 適応
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2026/07/03 22:47 更新
あなた
最初は、君


あなたが指さしたのは、岩本照だった。

岩本は迷わず前に出る。

他の八人は、黙って見ている。

あなたは奈落の奥へ歩き出す。
あなた
ついてきて


岩本だけが、その後ろを追った。

しばらく進むと、空気が変わる。

重い。濃い。息が詰まる。

佐久間がいた場所より、さらに奥。

魔物の気配が、濃密に漂っている。

あなたが立ち止まる。
あなた
ここ


岩陰から、巨大な影がこちらを見ている。

奈落の魔物。

しかも、主級。

岩本が剣を握る。

あなたが、静かに言う。
あなた
抜かないで

岩本の手が止まる
あなた
戦わない
岩本照
でも_____
あなた
大丈夫だから、見てて


あなたは、魔物に向かってゆっくり歩いていく。

敵意も、殺気も、何もない。

魔物が唸る。

だが、襲わない。

あなたは魔物の目の前まで行き、振り返った。
あなた
奈落で1番大切なのはね…
あなた
恐れないこと


岩本の呼吸が荒い。

魔物の圧に、体が震える。
あなた
怖いと…感情をもつとね、敵認定される


あなたが魔物に触れる。

巨大な牙のすぐ横。

それでも、何も起きない。
あなた
奈落の魔物は、感情に反応する


岩本の目が見開く
あなた
君、ずっと前に立ってきたでしょ
あなた
守るために


岩本は頷く
あなた
でもそれ、奈落では逆

静かな声で、でもはっきりと
あなた
守ろうとする=戦おうとする=敵になる


言葉が、胸に刺さる。

あなたが手招きする。
あなた
こっち来て

岩本は、一歩踏み出す。

足が重い。

それでも進む。

魔物の目の前に立つ。

喉が焼ける。心臓がうるさい。

あなたが言う。
あなた
守らなくていい。戦わなくていい
あなた
ただ、立ってて


岩本は、剣から手を離した。

魔物が、じっと見ている。

長い時間が流れる。





やがて。

魔物が、視線を外した。

興味を失ったように、岩陰へ戻っていく。

岩本は、息を吐いた。

全身の力が抜ける。

あなたが微笑む。
あなた
今のが、奈落の前衛


岩本は、理解する。

今までの“前に立つ”は、間違いだった。

奈落で前に立つとは。

何もしないで、そこにいること。
あなた
君、才能あるよ


あなたは、ふいに岩本の裾をクイッと引っ張った
岩本照
なに?

岩本は、あなたと目線を合わせる
あなた
君の能力は、"あらゆる攻撃を「無かったこと」にする防御"


岩本は驚きのあまり声を失った

誰にも話したことない、自分ですら知らなかった能力
あなた
今までは、はずれだって言われてたかもしれないけど
あなた
あの8人は、こころから信頼してる
岩本照
…なんで
あなた
鑑定で見たの、あの8人は昔からの仲間でしょ?
岩本照
!!
あなた
8人が君のこと信用してるの、見たら分かるよ
岩本照
っ…


岩本は、久方ぶりに涙腺が緩んだ

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