焦げた匂い。
崩れた瓦礫。
遠くでなり続ける警報音。
その瞬間。
低い声と同時に、
頭上から崩れてきた鉄骨が
弾き飛ばされた。
振り返れば、心底面倒くさそうな
顔をした小柳が立っている。
すぐ近くから、呆れた声が飛んだ。
なのに。
その会話の最中ですら、
全員の視線は、周囲の状況を捉えている。
ほんと、仲良いわけじゃないのに
なんでこんなに噛み合うんだろう。
煙のせいで視界が悪い。
誰かが泣いてる。
遠くで、警備隊が怒鳴っていた。
でも何を言っているのかは、
上手く聞き取れない。
空気が熱い。
息を吸うだけで、喉が痛かった。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!