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[ マスside ]
俺の彼氏は、今風呂に入ってる。
かっこよくて、可愛いくて、大好きな人。
暇で、独り言をこぼす。
今日は本当に久々で早くあいつと
話したいからかもしれない。
甘えたい。だなんて面と向かって言える
勇気もタイミングも無かったから
なおさらだ。
とりあえず、
アイツはあと5分は戻ってこないだろう。
スマホでも見て暇潰すか。
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ガチャッと風呂場のドアが開く音がした。
彼がもうすぐ戻ってくる。
アイツが戻ればこんなに寂しくもない。
はやく、早く帰ってきて。
まもなく彼はリビングに顔を見せた。
ケチャが俺の隣に座る。
目の前にビール缶が渡される。
どこのメーカーかも忘れているが、
美味しいことは知っている。
ふわっとしたありがとうを言うと
カチッとプルタブ開ける。
いつの間にかいつもの手袋は取ったらしく
真っ白く細い手を動かしている。
少し前にした情事を思い出せるような
そんな手付き...。
いや何考えてんだ俺、勝手に思い出して
生唾飲み込んでる場合かよ。
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《ケチャside》
あれから、どのぐらいたっただろうか。
オレよりも酒に弱い彼はとろっとした
瞳で甘えたいと伝えてくる。
彼はこうでもならないと本音は
ずっと隠してしまう。
長い間一緒にいるから
オレだけは、ひと目見ただけで
大体何を考えているかは
わかるようになった。
隣りにいる人生でたった一人の恋人に
優しく、彼が好む音色で訪ねた。
こて、とオレの膝の上にマスは寝転んだ。
まるで猫のように目を細め、撫でるようにせがむ。
優しく撫でると
マスタードは気持ちよさそうに
深紅の瞳を揺らす。
だめだなぁ、オレはこの目が大好きなんだ。
そんなふうにされちゃ、
食べちゃうだろ?いいのか?
ぐい、とパーカーを引っ張られ、
つい間抜けな声が出る
小声でこしょこしょと
話しかけてくる。
子音がありもしない耳を撫でる
ようで心地良い。
こしょ、と彼に答えてあげてあげる。
にぃ、と口の端を上げるかれは
可愛くて仕方がなかった。
同時に理性の糸がぷつんと切れた
気がするけれども。
夜はまだ長い。
明日起きるのはひるになりそうだ。
どうせ休みだし。大丈夫。
朝、ソウルの色が変わったって怒るかもしれないな。
まぁ誘ったのはそっちだし、
顔真っ赤にすること間違いなしだろうな。
はぁ、かわいい。
その後、オレは
マスタードを抱き上げ
彼の部屋に向かっていった。
【終】
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!