トランプ王国から抜け出してから二週間ほど、例の事件から四日ほど経ったある日。三人は宿を転々とし、ノエラの身寄りを探した。繁華街や町はずれの市場までくまなく探してみたが、誰もが首を横に振る。
彼女自身にも聞いてみたが、祖父母は会ったことはなく、親族も皆彼女を毛嫌いしていたそう。
このまま見つからないとなるとノエラは孤児院行きだ。だが国営孤児院とは施設はあまり充実しているわけではなく、その割孤児はあふれんばかりにいるので適切な扱いを受けられるかどうか。下手すれば完全に彼女の心を潰してしまうだろう。
クローバーは椅子から立ち上がり、スペイドの隣に腰かけ直す。その視線は宿の中庭で蝶々と戯れるノエラを追っていた。
ノエラは随分と笑う子になった。二人にもすっかり懐き、泣くことや怯えることが減った。異常なほどにやせ細っていた身体もある程度力を取り戻し、猫やうさぎと鬼ごっこをするくらいには体力も回復していた。子供慣れしていなかった二人も段々とノエラと親しくなっていき、可愛がるようになった。そういうこともあってか二人はノエラと別れるのが苦痛なのかもしれない。
二人して苦い顔していたからかノエラは遊びを放りこちらに駆け寄る。
クローバーはそのままノエラを掬い上げ、膝に乗せる。
ノエラは期待の眼差しで首を振り、クローバーの袖を掴む。
そう言うと今度はスペイドの膝に渡り、小さな両腕を首に回される。暖かかった。
みるみる赤くなるクローバー。突然の不意打ちを食らって動揺しているようだ。
そして3人はルーメリアを出る準備を進めるのだ。失踪中の王太子に元怪盗の執事、そして異色の瞳を持つ少女。この者たちがトランプ王国にどんな未来を招くのか…楽しみである。















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。