第70話

Comfort.
160
2026/01/03 15:00 更新
トランプ王国から抜け出してから二週間ほど、例の事件から四日ほど経ったある日。三人は宿を転々とし、ノエラの身寄りを探した。繁華街や町はずれの市場までくまなく探してみたが、誰もが首を横に振る。
彼女自身にも聞いてみたが、祖父母は会ったことはなく、親族も皆彼女を毛嫌いしていたそう。
スペイド王子
スペイド王子
埒が明かないな…
クローバー
クローバー
まぁ仕方ないよなぁ
このまま見つからないとなるとノエラは孤児院行きだ。だが国営孤児院とは施設はあまり充実しているわけではなく、その割孤児はあふれんばかりにいるので適切な扱いを受けられるかどうか。下手すれば完全に彼女の心を潰してしまうだろう。
スペイド王子
スペイド王子
…なぁクローバー
クローバー
クローバー
ん?
スペイド王子
スペイド王子
…もしこのままノエラに行く当てがなかったらーーー
クローバー
クローバー
行く当てがなかったらトランプ王国に連れて帰りたい
クローバー
クローバー
だろ?
スペイド王子
スペイド王子
…!
クローバーは椅子から立ち上がり、スペイドの隣に腰かけ直す。その視線は宿の中庭で蝶々と戯れるノエラを追っていた。

ノエラは随分と笑う子になった。二人にもすっかり懐き、泣くことや怯えることが減った。異常なほどにやせ細っていた身体もある程度力を取り戻し、猫やうさぎと鬼ごっこをするくらいには体力も回復していた。子供慣れしていなかった二人も段々とノエラと親しくなっていき、可愛がるようになった。そういうこともあってか二人はノエラと別れるのが苦痛なのかもしれない。
クローバー
クローバー
大丈夫
クローバー
クローバー
俺も同じ気持ちだから
スペイド王子
スペイド王子
二人して苦い顔していたからかノエラは遊びを放りこちらに駆け寄る。
ノエラ
ノエラ
スペイドにいさま、クローバーにいさま、大丈夫?
ノエラ
ノエラ
どこか痛い?
クローバー
クローバー
大丈夫だよ
クローバー
クローバー
少し考え事をしていただけ
ノエラ
ノエラ
そっかぁ、大人のはなしだね
クローバー
クローバー
あぁそうだ
クローバー
クローバー
だけど答えを持ってるのはノエラなんだ
ノエラ
ノエラ
ノエラが?
クローバーはそのままノエラを掬い上げ、膝に乗せる。
クローバー
クローバー
もしもここで家族が見つからなかったら…
クローバー
クローバー
俺とスペイド兄様がノエラを自分たちのおうちに連れて帰りたいんだ
ノエラ
ノエラ
えっ…
クローバー
クローバー
ノエラはどうしたい?
クローバー
クローバー
ここにいたい?
ノエラは期待の眼差しで首を振り、クローバーの袖を掴む。
ノエラ
ノエラ
ううん!
ノエラ
ノエラ
にいさまたちといたい!
ノエラ
ノエラ
にいさまたちがノエラの本当の家族だもん!
ノエラ
ノエラ
ノエラがうまれるばしょをまちがえちゃっただけだもん…
クローバー
クローバー
そうか
クローバー
クローバー
なら一緒に帰ろうか
ノエラ
ノエラ
うん!
そう言うと今度はスペイドの膝に渡り、小さな両腕を首に回される。暖かかった。
ノエラ
ノエラ
これからはにいさまたちと一緒だ~
スペイド王子
スペイド王子
スペイド王子
スペイド王子
そうだな
クローバー
クローバー
よし、じゃあそろそろ帰りますか~
クローバー
クローバー
流石に国王陛下もあまり時間稼ぎできないからな
スペイド王子
スペイド王子
あぁ
スペイド王子
スペイド王子
き…クローバー
クローバー
クローバー
ん?
スペイド王子
スペイド王子
連れ出してくれてありがとう
スペイド王子
スペイド王子
心が救われた気がする
スペイド王子
スペイド王子
そういうところも俺はすごく好きだ
クローバー
クローバー
…!
みるみる赤くなるクローバー。突然の不意打ちを食らって動揺しているようだ。
クローバー
クローバー
...あまりそんなことしないで
クローバー
クローバー
我慢できなくなるから
スペイド王子
スペイド王子
ふふっ、なんだそれ
そして3人はルーメリアを出る準備を進めるのだ。失踪中の王太子に元怪盗の執事、そして異色の瞳を持つ少女。この者たちがトランプ王国にどんな未来を招くのか…楽しみである。
そばちか
そばちか
おつそば!

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