ボクはそんなことを言って交渉したのだった。我ながら大きなことを言っていたと思う…どんな強敵かもわからないし勝てる見込みもないのにだ。
それにそもそも魔女祝宴の夜が終わってしまえば、魔法が消えてしまう。
一緒に戦うという交渉を付け加えることで、ボクは彼女の敵ではなくなる。同時に『星』を分け与えるという口実も生まれてくる。
一番いい手。
最善手。
しかし一番正しい事ではない。
響華に言い寄られる。
しかしこれは答えないわけにはいかないだろう…ボクもこの実姉に帰ってきてもらうという、最終目標を終えた後の話なのだから、仕方がないと言えば仕方がない。
最初から言い訳をしておこう。
ここで玲音さんにも言い寄られる…
ボクなんか悪い事したのかな?
この二人に。
ボクが最も弱い立場になる二人に言い寄られたら、ボクはこのことを言わなくてはならない。
そもそも、ボクがコレを思い出した今、現在。そう現在進行形でコレを実行に移す気しかないボクはどうすればいいのだろうか?
ナニを言ったかを言うとコレをすることがバレてしまう…コレはバレたら困るのだ。
ボクが言い淀んでいると、すぐさま響華が口をはさむ。
更に言い寄られる。
これは白状したほうがいいな。
けれどこれって、当事者からしたらハァ?ってなることだけど、ボクからしたら、ボクと玲音さんと実姉からしたらどうでも良いってなる内容かもしれない。
だからボクは意を決して話すことにした。
どう話せばいいのか。
ボクはどうしようもないダメな人間だ。
ここまで言われたら、スっと言うしかない。
一瞬、意味がわからなかったのか、伝わらなかったのか、二人は沈黙した。
ボクはその時、思いついたのだ。
一緒に魔王を倒す。
つまりは協力をする。
それなら『星』を全て与えて、宵闇の処刑人さんを魔王を倒せるくらいの『真祖の魔法使い』になってもらった方が早いと考えた。
そしてボクは。
ボクの望んでいた通り魔女祝宴の夜からおさらば。『黎明』しようとしていた。
つまりは…
魔王を押し付けて、バックレようとしていたのだ。
だから響華が怒っても無理はないと思った。
でもだからって…
『真祖の吸血鬼』になってまで怒ることないじゃんか!!!!!
一瞬で練られた闇を凝縮した魔法がボクを直撃した!
空中にすっ飛ばされ、夜空に舞う。
間一髪のところでボクは全力防御したけど、腕と脇腹の砕ける音を感じた。それと引き換えに闇の魔法を夜空へと受け流すことができた。
たぶん、この辺のビルとか平らになる威力あるやつだ。
なんでこんなん喰らって生きているかって?
『夜鴉』としてのボクの経験値に『夜雀』としてボクの経験値が上乗せされたのだからだ。
っていうか響華、めっちゃ怒ってるやん!?














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!