第5話

ひな壇【ホラーもどき】
9
2024/03/18 07:53 更新
【注意】
ちょいホラーです。
それでも良きなら読んでください。







少し前から、友人と連絡が取れなくなった。
元々フレンドリーな性格の人だったので、ついに私は飽きられてしまったか、と思った。
しかし、その頃から学校にも来ていない。
あまりにも体調が悪いのかな、と思っていた。
そして私の好きな人の姿も見なくなった。
元々その友人と仲が良さげなので、ちょっと不安でいる。



そして、今日。やっとメッセージの既読がついたと思ったら、彼女のものとは思えないメッセージが届いた。
「19時。北廃工場」
北廃工場とは、私たちが通う高校からはすこし遠く、かと言って歩けない範囲ではない。
しかしなぜそんな時間なのだろうか。
不安な気持ちでいっぱいだった。
この状況で不安に思わない方がすごい。
でも彼女以外に頼れる人など中々いないので、行ってみることにした。




3月に入ったばかりだからだろう。まだ寒く、暗い。
親には適当な嘘をついて18時半あたりから家を出た。
わざわざ廃工場に行くのかと思うと、嫌な予感がして悪寒が止まらなかった。





やっと着いた。
なかなか運動などしないので、少し疲れてしまった。
少し休もうと手を着いた錆び付いた金属の壁は、ペンキが剥がれて触ると痛い。
息が落ち着いたので、覚悟を決めて中に入ることにした。
がしゃん。






「なに……これ………」
薄暗い工場の中には、大きな階段のようなものがあった。
階段にしては大きすぎる。
まるで大きなひな壇のようだ。
神輿や嫁入り道具などのお飾り、三人官女、お内裏様。
ひな壇だと分かると、お雛様のところだけ不自然に空いている。

そのとき私は、わたしは、気付いてしまった。
人だ。
このひな壇に座っているのは、人形ではない。
人間だ。
どれも目隠しがされているが、きっと、きっとみんな、死んでいる。
そして、きっと、この中に彼女はいる。
「いや…嫌だ…!!」
私は逃げようとした。
工場の出入口の方へ向いた。
その時だった。
なんだか、胸がふと、熱くなった。




















私は気付いていた。
あの子が私の幼なじみを好きだと。

ずっとあいつの目を見ているもんだから、早く結婚でもしろよ、とずっと思っていた。

そこでいいことを思いついたのだ。
確かあの子の家の近くに使われていない工場があったはず、と。
ちょうどテストも終わって、ゆっくり出来るタイミングなのだ。

「ふふ…2人とも、綺麗だよ。」

2人の目隠しを外して、目を伏せている2人を見てそう呟いた。

ちょうど今日は桃の節句だ。









お内裏様とお雛様。2人並んですまし顔。

プリ小説オーディオドラマ