気まずい空間に耐えきれず、出掛けに誘ったは良いものの...
何がそんなに珍しいのやら、騒ぎっぱなしで悪目立ちだ
指が示す方向に目をやると、ガラスケースに身を包まれた古いフランス人形
目線を上へと移動させると、ここがアンティークショップだと分かった
人形ねぇ...
「ありがとうございました〜」
買ってしまった...
てか、あれで5000とか...人形に5000も使ったなんて
飯食いに行ける金額だよなぁ
人形を大事そうに抱え、満面の笑みを浮かべる紅
子供ってのはこんなにも無邪気だっけなと、ふと思ってしまう
帰宅後
ガシャンッ!
上の階、紅のいる部屋からガラスが割れる音がした
続けて悲鳴も
何事かと思いながらも、冷静さを保ち部屋へ向かう
ガチャ
割れていたのはフランス人形と入れ物のケース
どうやら人形は陶器製だったようだ
ぴーくんとは、きっと人形の事だろう
ボロボロと涙を流しながら言う
指で自分の胸を指す
わしゃわしゃと紅の頭を無造作に撫でる
あの時見た笑顔の意味を、俺は知る由も無かった
To be continued...
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。