……I know 通り過ぎてしまいそうになって〜♪
改札口君の横顔見た〜♪
部屋中に鳴り響くスマホのアラーム。
それと共に鳴った
「ガタガタン!」
という急な音。
きっとスマホか何かが床に落ちたんだろう。
スマホを手に取り、電源を入れると
「7:47」
と表示される。
あくびをしながら
私はリビングに向かった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
心臓がどく、どくとリズムを刻んでるのが
自分でもよく聞こえる。
まだ会うまで時間はたっぷりあるのに
とても緊張してる。
すごく不思議。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
私が選んだ服は、
ジェルくんがいつも配信で好きって言ってる、
いわゆる「量産型」の服。
ジェルくんに会えるんだし、
ジェルくんに可愛いって思ってもらいたくて。
ちなみに髪型のほうほ、
ジェルくんが似合うねって言ってくれた
ハーフアップ。
メイクもばっちり。
あの時から少しはかわいくなったかな…?
そう言いながらタクシーに乗り込む。
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
そう言ってスマホを覗くと、
握手会まであと一時間だった。
いつもなら
周りの景色を見たり、
スマホを触ったりで、
タクシーはあっという間に着くのに
今日ばかりは違った。
髪の毛大丈夫かな
とか
何も忘れてないよね
とか
とにかく物凄く緊張しています……。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
辺りを見回すと、
小学生くらいの小さい子から、
私たちみたいな大学生まで。
沢山の人が集まっていた。
そう言って私達は列に並んだ。
着々と進む列。
楽しそうに話してる親子や
写真を撮ってる女の子。
沢山の人達がみんなに会いにここに集まってる。
心臓がばくん、ばくんと鳴っているのが
自分でも聞こえるくらい、
緊張してる。
次の人がスクリーンの中へと進んだ。
あの中にジェルくんがいると思うと……
そう言われ、
私はジェルくんに会いに中へと入った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!